税理士事務所と会計事務所は何が違う?税理士と公認会計士資格や仕事内容について紹介

2020年10月8日

税理士事務所の求人を検索してみると、会計事務所も一緒に出てきてどうしてだろうと思った方もいると思います。

自分は税理士になりたいから税理士事務所の求人のみをチェックしている方はちょっと待ってください。

この記事で税理士事務所と会計事務所の違いについて確認してからでも遅くはありません。

税理士事務所と会計事務所の違いに加え、仕事内容や税理士資格と公認会計士資格などの情報もまとめていますので、一度読んでみてください。

税理士事務所と会計事務所の違い

税理士事務所の求人を見ているにも関わらず会計事務所が出てきたことはありませんか?

反対に会計事務所で調べて税理士事務所が出てきたこともあるかもしれません。

何が違うか疑問に思うかもしれませんが、税理士事務所と会計事務所の違いに関しては、実は呼び方の違いしかありません。

税理士法の第40条1項には、「税理士(税理士法人の社員(財務省令で定める者を含む。第4項において同じ。)を除く。次項及び第3項において同じ。)及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなければならない」と書かれており税理士事務所が必要であることが書かれています。

また2項には、「税理士が設けなければならない事務所は税理士事務所と称する」と規定されています。

つまり会計事務所ではなく、税理士事務所が正式名称であることが書かれているのです。

それでは、どうして会計事務所という別名が現れたのでしょうか?

この理由としては、税理士事務所と表示してしまうとその他の会計業務や経営コンサルティング業務などを扱っていることを理解してもらいにくいからではないかという説が有力です。

また、公認会計士が税理士として開業していることを示すためという説もあります。

いずれにしても、税理士事務所と会計事務所は同じです。

転職先などを探す際には、税理士事務所だけや会計事務所だけを確認するのではなく、どちらも視野に入れて探すことをおすすめします。

税理士事務所と税理士法人の違い

税理士事務所と会計事務所は同じであることをお伝えしましたが、税理士の転職先として税理士法人もあることをご存じですか?

税理士法人とは税理士2名以上を社員とすることを定められた、合名会社に準ずる特別法人です。

税理士法人は会社で、税理士事務所は個人事業の形態だと認識してもらえれば問題はありません。

業務内容は税理士事務所や会計事務所とほぼ変わらず、事業規模が大きくなるイメージです。

税理士事務所は所長が中心となって運営している関係で、給料や福利厚生などが良くも悪くも所長によります。

顧客は個人やベンチャー企業、一般企業であることが一般的で、より近い距離で接することが可能です。

また、少人数の所属であることが多く、1人1人が広範囲の業務を扱います。

一方で税理士法人は組織として運営されています。

税理士法人として設立した時点で、社会保険に自動的に入ることになり雇用者にとってメリットです。

顧客は税理士法人によって個人から大企業など様々になり、取り扱う業務も増えることが多くなります。

そのため部門が細かく分けられており、より深い経験を得られると考えられます。

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税理士事務所と会計事務所の仕事内容

税理士法の第2条1項によると税理士が行える業務は、税務代理・税務書類の作成・税務相談です。

また、2項には税理士業務に付随する財務書類の作成や記帳代行、その他財務に関する業務を扱えるとされています。

税理士事務所や会計事務所はこの条文に基づいて、税務関係の業務に加え会計業務などを行っています。

以下の業務は一例になりますが、詳しく見ていきましょう。

税務代理・税務相談

そもそも税理士は税務に関する専門家という位置づけであるため、税理士の基本的な仕事になるのは税金関係の業務です。

税務官公署に提出する税務書類を作成したり、申告したりと顧客の税務を代理で行います。

また、これらから派生する税務の相談に関しても対応しています。

税金の種類は多数ありますが、よく扱う分野としては法人税や所得税、消費税などが挙げられます。

記帳代行・決算書作成

税理士業務に付随する会計業務も税理士事務所が取り扱える範囲です。

顧客の会計帳簿を代行して記入したり、決算書を作成したりと財務に関する業務を行います。

現在は記帳代行などに関して、会計ソフトを使用し簿記の知識を用いてパソコンに入力することが多いです。

単純なデータ入力ではなく、専門知識を求められる業務となっています。

巡回監査

顧客の元に直接赴く巡回監査というものがあります。

巡回監査は月ごとに顧客を訪問して経理状況を確認したり、必要に応じて経理担当者を指導したりします。

状況に応じたアドバイスができ、柔軟に対応できます。

また、円滑なコミュニケーションを図る手段にもなっています。

経営コンサルティング

税理士事務所は税務や会計業務を行っている関係で、顧客の経営状況を把握しやすい立ち位置にあります。

そのため、お金の流れを把握した上で今後どのように経営していくべきかアドバイスをします。

経営コンサルティング業務に関しては、税務や会計業務とはまた違ったスキルが必要となってきます。

専用の資格などが存在せず、信頼性を示すことが難しい分野でもあるかもしれません。

税理士とは

ここまで税理士事務所・会計事務所について説明してきましたが、実際に税理士として働くためには何が必要なのでしょうか?

税理士とはどんな職業なのか、税理士資格の取得方法について解説します。

税理士はどんな職業?

税理士とは税務のエキスパートのことです。

国家資格である税理士資格を取得することで、税理士として働くことができます。

税理士事務所や会計事務所、税理士法人などに勤め、税に関するサービスを提供しています。

また、税務に付随する会計業務なども行うことができます。

そのため、税理士の中には記帳代行や決算書作などの会計業務を担当したり、企業やITのコンサルティング業務を請け負ったりする人もいます。

税理士資格の取得方法

税理士になるには国家資格である税理士資格を取得する必要があります。

税務署勤務を経るなど他にも方法はありますが、ここでは一般的な税理士資格の取得方法についてご説明します。

受験条件

税理士資格には受験資格が定められており、一つでも満たすことができれば受験することが可能です。

大学で法律や経済学を学ぶなどの学識による受験資格、日商簿記検定1級合格などの資格による受験資格、法人などで会計業務を2年以上行うなどの職歴による受験資格の3つが主として定められています。

この他にも例外がありますので、国税庁のホームページを確認してみてください。

試験内容

試験科目の構成は「簿記論」「財務諸表論」「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税」「酒税法」「国税徴収法」「住民税」「事業税」「固定資産税」の11科目です。

このうち「簿記論」「財務諸表論」の必修2科目、「所得税法」または「法人税法」のどちらか1科目、その他3科目の合格が必要になります。

科目合格制を取っているため1科目ずつ受けることができ、合格すれば一生有効です。

実務経験

税理士資格を取得するには筆記試験だけでなく、実務経験も条件の1つです。

貸借対照表勘定をはじめ、会計に関する業務などを行った期間が2年間必要になります。

ただし、簿記会計の知識が必要のない単純なデータ入力などの業務は実務経験に含まれないので注意してください。

多くの場合、税理士事務所や会計事務所、税理士法人などに勤務しながら試験の合格を目指して勉強するようです。

実務経験は税理士事務所や会計事務所、税理士法人の他に一般企業の経理部などでも積むことができます。

税務署での勤務(勤務年数による)や弁護士資格を取得した人なども税理士になれるのですが、その際は実務経験は必要ありません。

公認会計士とは

見出しを確認して、なぜ税理士事務所や会計事務所の紹介で公認会計士なのか気になった方もいると思います。

実は、公認会計士資格を持っていれば税理士としても働けるのです。

では、そもそも公認会計士はどのような仕事を行っているのでしょうか?

税理士と公認会計士の違いについて確認し、公認会計士資格の取得方法をご説明します。

公認会計士は税理士と比較してどんな職業?

両者の違いとしては公認会計士は会計業務の専門家、税理士は税務業務の専門家と大まかに分類することができます。

そのため、公認会計士は基本的に監査業務を扱うことが多いと言われています。

前述したように公認会計士資格を持っていれば、税理士になることができますが、研修が必要になっています。

税理士として働くには税理士会への登録が必要になりますので、事前に準備しておきましょう。

公認会計士資格の取得方法

公認会計士資格はどのように取得すればいいのでしょうか?

税理士にもなれる資格であることから、会計や税務全般についての専門家になりたい人は公認会計士についても確認してみてください。

受験条件

公認会計士資格も税理士資格と同じように国家資格ですが、税理士資格とは違い受験条件がありません。

国家資格には珍しく、受験条件がなく門戸が広く開かれている試験です。

試験内容

公認会計士試験は年2回の短答式と年1回の論文式の2段階です。

短答式は「財務会計論」「管理会計論」「監査論」「企業法」の4科目です。

論文式は必須科目と選択科目に分類され、計9科目の中から5科目合格する必要があります。

論文式の必須科目は「会計論」「監査論」「企業法」「租税法」の4科目です。

また、選択科目については「経営学」「経済学」「民法」「統計学」の中から1つ選んで回答してください。

実務経験

公認会計士試験と合わせて、実務経験を積むことが必要です。

これには業務補助などを2年以上すること、もしくは実務補習と修了考査を行うことの2種類が認められています。

業務補助等に関しては、監査法人での補助業務や財務の監査などへの従事を2年間経験することで公認会計士の登録が可能になります。

実務補習と修了考査は、会計教育研修機構が主催する実務講習というのを3年間受講し、単位を取得し修了考査をすることで正式に公認会計士として働くことができます。

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まとめ

税理士事務所と会計事務所の違いを筆頭に業務内容や資格についてお伝えしてきました。

税理士事務所と会計事務所の中身は同じであり、単に名前の違いのみです。

これら2つは個人事業主となりますが、税理士法人に関しては特別法人として会社になっています。

税理士事務所と会計事務所の仕事内容については、主に会計事務代行、税務代理・税務相談、巡回監査、経営コンサルティングが挙げられます。

ここで働く税理士には、税理士資格や公認会計士資格を得ることでなれますので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

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