会計士の転職ベストタイミングは?年代別や時期でおすすめのタイミングを紹介
2020年10月8日
日本で最難関の一つと言われる公認会計士試験を突破した人にしかなれない公認会計士ですが、新卒で監査法人に就職した後、業務の単調さからくる飽きや、幅広いスキルの獲得、新しい業界への挑戦を理由に転職を考える人も多いです。
今回は、そんな公認会計士が転職するタイミングについて解説します。
会計士に人気の転職先
会計士に人気の転職先は、大きく以下のようなものがあげられます。
企業
まずは、一般的な事業会社などで、企業内会計士として、経理や経営企画に転職するケースです。
メリットとしては、事業の経営に関わる役割として、単なる監査、経理にとどまらず、ビジネスの成長を担っていくやりがいのある仕事ができることです。
一方で、事業会社では年収の上がり幅が少なく、監査法人で勤め続けるよりも、年収が上がりにくいというデメリットはあります。
年収は上がりにくいものの、やりがいのあるビジネス経験を積めるのが特徴のため、まだ監査法人内で年収が上がりきっていない若手のうちに転職するのがオススメです。
コンサルティング
財務・会計・経営のコンサルティング会社も、会計士に人気の転職先の一つです。
企業会計に関わる知識はコンサルティング会社でも重宝される上、公認会計士試験に合格したという論理的思考力の高さが評価され、若手でも転職しやすい傾向にあります。
年収も高水準を維持できる可能性が高いです。
ただ、外資系のコンサルティング会社などでは、英語力も必須となるケースがあるので注意が必要です。
金融機関
コンサルティング会社と同様に、金融機関、特に外資系の金融機関に転職をしたいと考える公認会計士も多いです。
外資系金融機関に転職するメリットは、なんといってもその年収の高さでしょう。
会計士のスキルを強みに外資系金融機関に転職することができれば、大幅な年収アップが狙えます。
ただ、その分転職のハードルも非常に高いのが事実です。
外資系金融機関の場合、年齢を重ねれば重ねるほど専門的知識が求められるようになるため、若手のうちに会計士資格を保持しているという強みを生かして転職しておくのがベストでしょう。
ただし、外資系金融機関は公認会計士資格を持っているからといって決して簡単に入れるものではなく、高い語学力や学歴を必要とします。
また、面接も非常に厳しいことが多いため、転職エージェントなどを利用してしっかりと対策をしてから臨むのがベストです。
フィンテックや会計IT、会計ソフト
会計・金融に関する商品を扱う会社も、会計士に人気の転職先です。
会計士は専門的な知識が身につけられる一方で、事業会社で身につくような事業の感覚が身につけづらいというのが弱みです。
ただ、会計・金融に関わる商品やサービスを扱う会社であれば、比較的簡単にビジネスモデルを理解することができるため、他の社員との差別化になりやすいです。
場合によっては、即戦力になる可能性もあります。
ベンチャー企業のCFO
ある程度経験を積み、かつ独立志向の強い会計士であれば、ベンチャー企業のCFOとして上場を目指したいと考える人も多いのではないでしょうか。
確かに、ベンチャー企業のCFOとして上場を果たせれば大きなキャリアアップに繋がるだけでなく、ストックオプションで莫大な富を得られる可能性も高まります。
ただし、上場を目指すベンチャー企業の中で、実際に上場できる企業はほんのわずかです。
CFOになったものの、事業が思うようにスケールせず会社が潰れてしまったり、やりたかった大きな規模の仕事ができずに結局経理の作業がメインになってしまうというような状態になるリスクも把握しておくべきでしょう。
会計士はいつ転職するのが良い?
会計士の転職タイミングとして、適切な時期はいつでしょうか。
第二新卒の転職
まずは、会計士として監査法人に就職し、1、2年目に第二新卒として転職するケースです。
メリット
メリットは、なんといってもその若さです。
新卒に近いことから、企業もポテンシャルを見て採用してくれるケースが多いです。
会計士の実績がある第二新卒なので、第二新卒市場での市場価値も非常に高いのが特徴です。
デメリット
デメリットとしては、やはりまだ会計士としての経験を十分に積めていない点です。
会計士として大きな仕事を成し遂げた経験が少ないため、「会計士であること」で差別化をしにくくなります。
最悪の場合、転職後ただの「会計士資格があるだけの人」になってしまう可能性もあります。
新卒入社1,2年で大きな実績を残せた場合や、あまりにも新卒入社で入った監査法人の社風や待遇が合わない場合には、会計士の資格を武器に転職するのが良いかもしれませんが、やはり会計士としての強みを生かすのであれば、もう少し経験を積んだ方がよいかもしれません。
20代の転職
会計士としてある程度業務を経験した後、20代のうちに転職するケースです。
メリット
メリットは、会計士としてある程度の経験を積んでいる、かつまだ年齢的に若いということです。
会計士としてある程度実戦経験を積んでいることから、転職市場での価値は非常に高いと言えます。
デメリット
デメリットとしては、まだ会計士としての強みを存分に生かした転職ができないということです。
例えば、ベンチャーのCFOとして転職するためには、M&Aをはじめ、様々な大型案件に関わっていなければ、転職では不利になります。
ある程度の実戦経験は積んでいるものの、まだ会計士のスキルとしては不十分なところがあるために、挑戦的な転職が難しいのがデメリットです。
30代の転職
30代での転職をするメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
メリットは、なんといっても会計士としてのスキルを一通り身につけていることです。
会計士として大きな仕事を成し遂げている人も多く、同業種での転職であれば非常に有利になります。
デメリット
一方で、会計士以外の職歴がないことで、異業種への転職が難しくなってくるのがデメリットです。
30代の転職市場では、即戦力となる人材が求められるため、いくら会計・財務に長けた人物であっても、それ以外のポジションでは採用がされにくくなってきます。
40代の転職
40代での転職をするメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
監査法人内でも地位が高まり、管理職も経験した40代は、会計士としてかなりのベテランです。
このため、ベンチャーのCFOをはじめ、挑戦的なポジションに転職できる可能性が高まります。
デメリット
一方で、管理職経験がないまま40代を迎えてしまった場合は、いくら会計士としてのキャリアが長くても、転職は難しくなってきます。
会計士が円満退職するポイント
会計士が転職をする際に、円満退職をするポイントを紹介します。
繁忙期を避ける
まずは繁忙期を避けることです。
繁忙期にやめてしまうと、周りの社員の反感を買うことに繋がります。
会計業界の年間スケジュール、繁忙期はいつ?
監査法人に勤務する会計士の場合、自分が担当している企業の決算月が、繁忙期になります。
日本の企業は3月に決算月を設定している会社が多いため、3月〜5月あたりが一般的な会計士の繁忙期に該当します。
引継ぎや挨拶まわりを徹底する
会計士の世界は、非常に狭いです。
同業種に転職した場合、前職で悪い噂があればすぐに広まってしまう可能性が高いです。
「立つ鳥あとを濁さず」の精神で、引き継ぎや挨拶まわりは徹底しましょう。
競合他社の場合転職先は伝えない
競合他社に転職する場合、転職前に転職先を社内に公表してしまうと、上司をはじめ周囲から反感を買う恐れがあります。
競合他社に転職する場合には、なるべく転職先を伝えないようにすることが大切です。
会計士の転職案件が多い時期はいつ?
会計士の転職案件が多いのは、繁忙期がすぎた頃です。
期末監査業務が終了したタイミングの5月末~6月
日本の企業は、3月を決算月に設定していることが多いです。
このため、3月〜5月くらいまでは、会計士は非常に忙しくなります。
ただ、5月末以降は一転して決算業務の量が減り、閑散期に突入します。
このため、このタイミングで転職を考える会計士は多いです。
半期監査業務が終わった11月~1月など
同様に、3月に期末決算を行う企業は、9月が半期決算です。
このため、半期監査業務が増える10月〜11月は繁忙期となり、11月末から閑散期になります。
このため、年末にかけて会計士の転職案件は増える傾向にあります。
まとめ
会計士は、その専門性から非常に転職市場価値の高い職業です。
しかし、だからといって適当に転職を行うと、後悔することになりかねません。
会計士としての経験をあまりに積まないまま転職してしまって強みを活かせなかったり、逆に会計士のキャリアが長すぎて他の職務経験がないことで転職において不利になってしまったりします。
また、転職のタイミングを誤ると社内の反感を買い、転職先で自分の悪い噂が広まっている、というようなことも考えられます。
このため、転職のタイミングは非常に重要です。
もし会計士で転職を考えている方がいれば、お気軽に当社にご相談ください。