会計事務所のテレワークって?仕事上のメリットや問題点などをまとめて解説
2020年09月26日
会計事務所の業務をテレワークで行おうとしている動きがあるのをご存じですか?
インターネットの普及によって在宅業務を取り入れる職場が増えてきましたが、会計事務所でも同じようにテレワーク導入を推進する動きが高まっています。
今回はそもそもテレワークが何なのかや実態をご説明した上で、会計事務所でテレワークをすることについてご紹介していきます。
現在注目されているテレワークに目を向け、時代にあった働き方について確認していきましょう。
Contents
テレワークとは
最近テレワークという言葉を耳にするようになりましたが、そもそもテレワークとは何なのでしょうか?
テレワークは「tele」(離れた場所)+「work」(仕事)という意味を持っている造語です。
厚生労働省はテレワークの定義について「情報通信技術(ICT=information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定めています。
テレワークの区分としては以下の3つが挙げられます。
・モバイル勤務:移動中の交通機関や顧客先、カフェなどを就業場所とする働き方
・サテライトオフィス勤務:本拠地のオフィスから離れたところに設置した部門教養オフィスで就業する施設利用型の働き方
テレワークの導入効果・効用として主に以下の5つがあり、企業側にも社員側にも多くのメリットがあります。
・新規雇用・離職防止
・社員のワーク・ライフ・バランス向上
・コスト削減/節電
・事業継続性確保(BCP対策)
全国のテレワークの実態
近年急速に普及してきたテレワークですが、現在の実態とはどのようなものなのでしょうか?
全国のテレワークの実態について確認していきましょう。
総務省が出した企業編の令和元年通信利用動向調査報告書では、テレワークを「導入している」と答えた企業の割合が20.1%でした。
前年度と比較しても1.1ポイントの増加となっており、「導入していないが、今後導入予定がある」と答えた企業を合わせると29.5%を占める結果となっています。
ただ、会計事務所が分類されるサービス業、その他ではテレワークの導入状況が16.3%と他業種と比較しても低くなっています。
テレワークを導入しない理由に関しての企業の回答では、71.3%を占める「テレワークに適した仕事がないから」、次点の「情報漏洩が心配だから」、「業務の進行が難しいから」となっています。
会計事務所でもこれらの事柄が当てはまると考えられ、テレワークの導入が難しいことがわかります。
会計事務所でテレワークが難しい理由
全国のテレワークの実態でも少し触れたように、会計事務所は「テレワークに適した仕事がないから」「情報漏洩が心配だから」「業務の進行が難しいから」という理由で導入が難しいですが、それ以外にも大きな問題点があります。
会計事務所がテレワークを行う上での一番の難題は、法律に違反してしまう部分が出てしまうことです。
主に問題視されているのは、税理士法第38条「秘密を守る義務」、同法40条第3項の「二か所事務所の設置の問題」、同法54条の「税理士の使用人等の秘密を守る義務」の3つになります。
それぞれの問題点について順番に説明していきます。
税理士法第38条「秘密を守る義務」の条文は以下のように記されています。
税理士でなくなつた後においても、また同様とする。
また、税理士法第54条の「税理士の使用人等の秘密を守る義務」の条文は以下の通りです。
税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなつた場合においても、また同様とする。
税理士は秘密保持に力を入れなければならず、テレワークではどうしてもセキュリティに限界があるため、情報管理が難しい点があります。
税理士法40条第3項の「二か所事務所の設置の問題」の条文は以下の通りです。
これに対して日本税理士会連合会の見解は、テレワークには3種類の区分がありますが、その中で在宅勤務とモバイル勤務については問題ないと示しています。
しかし、サテライトオフィス勤務は法律に触れると判断されており、この方法を取ることはできません。
会計事務所はこれらの法律を克服したテレワークが求められています。
それと同時に、時代に合った法律の改正も必要になってくるでしょう。
会計事務所へのテレワークが注目されるきっかけ
日本で最初にテレワークが導入されたとされているのは、1984年です。
ある電気会社が取り入れ、その後1990年代に政府が主導でテレワーク協会が置かれたりテレワークの改革が行われたりしました。
このような流れの中で徐々にテレワークが普及してきたのですが、会計事務所では様々な面から、なかなか普及していませんでした。
しかし2020年にコロナウイルスが流行し、全国に緊急事態宣言が出された影響で会計事務所に直接勤務するのが難しくなりました。
外出自粛が叫ばれる情勢となり、日本税理士連合会のホームページでは4月15日に「緊急事態宣言による出勤の自粛要請について」が掲示されました。
具体的な内容としては、オフィスでの仕事は原則として自宅で行えるようにしたり、出勤者の数は最低7~8割減らしたりということが示されています。
また、同時に「税理士の業務とテレワーク(在宅勤務)~新型ウイルス感染対策防止対応版~」と題されたお知らせも更新されています。
このようにコロナウイルスが原因で、会計事務所でもテレワークの必要性が高まっています。
会計事務所がテレワークを導入する主なメリット
様々な問題点があるテレワークですが、その都度改善され時代ともに会計事務所でもますます求められると考えられます。
テレワークを導入する前に会計事務所がテレワークを導入する主なメリットについて押さえておきましょう。
事業継続力の向上
コロナウイルスやインフルエンザなど、思わぬ災害や病気などで会計事務所に出勤できない状況になることがあります。
その際には仕事が滞ることにも繋がり、繁忙期には致命的な事態にもなりかねません。
もしテレワークで仕事をすることができれば、これらの事態を回避することも可能になると考えられます。
通勤時間の削減
通勤にかかる片道の時間はおよそ40分程度だと言われています。
また、通勤ラッシュと言われる朝の7:30~9:00の時間帯は、満員電車になったり車通勤でも混んでしまったりと出勤者には大きなストレスです。
この通勤時間を削減できることで、ストレスが軽減でき、より業務に集中できるようになると考えられます。
また、職場への満足度も上がり離職防止にもなるでしょう。
人材確保
出産や育児など、様々な事情から通常の働き方が難しい方はいます。
しかし、そんな方々の中には実務経験を積んでるなど優秀な人材が存在しています。
多様な働き方を提供できるというのは、良い人材を呼び込むことに繋がるでしょう。
会計事務所へテレワークを導入するポイント
テレワークを導入するためには、注意すべきポイントがあります。
ポイントを把握して、効率的で効果的なテレワークを行いましょう。
それでは、会計事務所へテレワークを導入するポイントについてご紹介していきます。
便利なツールの利用
テレワークでは様々なツールを利用して、業務を行うことになります。
便利なツールについて詳しく見ていきましょう。
ビジネスチャットツール
業務上の連絡ではオンタイムで意思疎通を行わなければならない案件がたくさんあります。
メールだとどうしても時間差が出てしまう事柄でも、時間をかけずにできるのがビジネスチャットツールです。
また、チャットツールを利用すれば、簡単にファイルのやり取りができたりグループを作成して複数人で連絡できたりします。
ビデオ会議ツール
文章のみのやり取りだけでなく、顔を見合わせながら会議を行いたいときはビデオ会議ツールを利用しましょう。
顔を見ながら意思疎通を図れるので、話し合いも円滑に進みやすいです。
また、パワポや画面を共有できるツールも多く、WEB上で会議を行う際などにはとても重宝します。
オンラインストレージ
インターネット上でデータを保管したり共有したりできるオンラインストレージは、効率的にテレワークを行う上で欠かせない存在の1つと言えます。
メールなどよりも様々なデータをやり取りすることができ、業務がより行いやすくなるでしょう。
セキュリティ対策
テレワークで大きな課題の1つとなるのが、セキュリティ面です。
公共のwifiを利用したりパソコンを共有したりするのは、情報漏洩の危険が伴う可能性があります。
所属する会計事務所が指定する機器を利用したり、ウイルス対策ソフトを活用したりするなどして万全のセキュリティ対策を行いましょう。
まとめ
今回は会計事務所のテレワーク導入について情報をまとめました。
そもそもテレワークとは、情報通信技術を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことを指し、全国で20.1%の企業が導入しています。
しかし、会計事務所では税理士法に抵触する可能性があることや適した仕事がないなどの理由からテレワークの導入が進んでいません。
2020年度のコロナウイルスの影響でにわかに会計事務所でもテレワーク導入の必要性が高まり、日本税理士連合会もテレワークを推進するという状況になりました。
会計事務所がテレワークを導入する主なメリットとしては、事業継続力の向上や通勤時間の削減、人材確保などが挙げられます。
また、便利なツールを利用したり万全のセキュリティ対策を行ったりすることが、会計事務所へのテレワーク導入のポイントです。
時代の流れとともに求められている会計事務所のテレワークについて情報を集め、対応していくことが今後必要になるでしょう。
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