会計事務所の大手ってどんなところ?特徴や仕事内容、求められるスキルについて

2020年10月8日

日本全国に数多の会計事務所がありますが、規模の大きい大手会計事務所というのが存在しています。

大手会計事務所にはその他の会計事務所には持ち得ない特徴があります。

その特徴とはどのようなものなのでしょうか?

また、仕事内容や求められるスキル、ベンチャーとの違いはどうなっているのでしょうか?

これらの疑問に1つ1つお答えしていきます。

大手会計事務所とは?

会計士が勤務する先として会計事務所・税理士事務所・監査法人・税理士法人の4つになります。

基本的に会計事務所と税理士法人は類似しており、税理士法人はこれらが法人化したもの、監査法人は監査業務に特化した法人と簡単に分類できます。

名前が異なるため混乱するかもしれませんが、結局働く場所によって業務は違うため、事前に調べるようにしておきましょう。

今回は大手の会計事務所だけでなく、4大監査法人と4大税理士法人についても説明します。

4大監査法人

4大監査法人とは、BIG4と呼ばれる世界規模の4つのグループどれかに所属する日本最大級の監査法人のことを指します。

EY新日本有限責任監査法人

BIG4の中のEYグループに所属する監査法人です。

監査や税務をはじめとして、様々なサービスを提供しています。

有限責任 あずさ監査法人

2003年に組織化されたKPMGグループの監査法人です。

およそ6000人の社員とともに日々業務に励んでいます。

有限責任監査法人トーマツ

BIG4の中のDTTグループの監査法人です。

国内の約30都市に支社を持ち、監査・保証業務やリスクアドバイザリー業務などを行っています。

PwCあらた有限責任監査法人

世界157カ国にネットワークを持つPwCグループの監査法人です。

監査を始めベンチャー支援まで幅広く担当しています。

4大税理士法人

4大監査法人と同じく、BIG4に属する税理士法人になります。

デロイト トーマツ税理士法人

2002年に設立されたDTTグループの税理士法人です。

国内向け業務の他、国際的なネットワークを活かした業務も行っています。

EY税理士法人

多種多様な人材を持つEYグループの税理士法人です。

税務のプロ集団として、法人税や国際税務など様々なサービスを提供しています。

PwC税理士法人

700人の社員を有するPwCグループの税理士法人です。

M&Aや関税など多岐にわたる幅広い分野の税務に関して扱っています。

KPMG税理士法人

1945年に日本進出を果たしたKPMGグループの税理士法人です。

税務の専門家として様々な要望に応えるためのサービスを提供しています。

独立系の大手会計事務所

BIG4に属さない大手の会計事務所も存在します。

100人単位の社員が働いており、部門が細かく分けられ組織化しています。

給料が高いことに加えて、教育制度や福利厚生がしっかりと整備されている所がほとんどです。

地方の大手会計事務所

都会に集中する傾向にある大手会計事務所ですが、地方にも大規模な会計事務所はあります。

都市部と比較して規模が小さいところでも、地域によっては大手とみられていることがあります。

大手会計事務所の仕事内容

大手と呼ばれる形態には会計事務所・税理士事務所・監査法人・税理士法人がありますが、仕事内容に関して共通していることもあります。

もちろん当てはまらない業務もありますが、ここでは主な仕事内容について説明していきます。

税務に関する顧問企業へのサービス業務

大手会計事務所ではクライアント企業の経理に携わり、税務書類を作成したり経理の観点から見たアドバイスなどを行います。

税金が絡む案件は専門的な知識がないとできないものが多く、それらを会計事務所などが担当しています。

会計業務

記帳代行や年末調整、毎月の決算書の作成など、会計業務に関するものも扱うことがあります。

顧客である企業が経理部の負担を減らすために、業務委託などの形で会計事務所に依頼するケースが多いです。

コンサルティング業務

会計事務所のメンバーは経理に関するプロフェッショナルのような存在です。

そのため、経理の観点から見た経営分析やアドバイスなどのコンサルティングを行っていることがあります。

資金調達や事業承継、M&Aといった様々な案件を扱うことがあります。

国際関係の業務

BIG4に連なる監査法人・税理士法人や外資関係をあつかう会計事務所などの中には、国際関係の税務などを扱います。

移転価格や関税など範囲が膨大でより複雑化するため、高度な専門知識が要求されるようになります。

大手会計事務所の特徴

業務が細分化されている

大手会計事務所の特徴として、上記で述べた仕事内容がどれも細分化されており、自分は業務の一端しか担えなくなってしまっていることが特徴です。

例えば、経営のコンサルティングであれば、企業の事業計画を元に資金繰りを調整するのみで仕事が完結してしまいます。

もちろん、ジョブローテーションがある場合もありますが、いろいろな業務を同時に行うことはできないでしょう。

このため、「独立のためにいろいろなスキルを学びたい!」という場合や、「複数の業務を経験したい!」という人には向きません。

研修や教育制度が整っている

しかし、研修や教育制度が整っているため、学びを提供してくれるというメリットはあるでしょう。

特に大手になると、手厚い研修が数時間にわたって用意されていたり、また、試験のお金を補助してくれたりする場合があります。

これらの手厚い教育は、中小企業にはあまりない制度です。

大手会計事務所で求められるスキル

大手会計事務所で働く上ではやはりある程度の能力が必要になりますが、求められるスキルとはどのようなものになるでしょうか。

税理士科目の合格

税理士試験は国家資格であり、5つ全て合格するまでには数年単位の時間が必要とされています。

科目取得制度により1科目ずつ試験を受けることができます。

そのため、税理士法人などに勤めて経験を積みながら全ての試験合格に向けて勉強するのが一般的です。

公認会計士試験の合格

公認会計士試験も税理士試験と同様に国家資格です。

4科目の短答式と5科目の論文式の試験に合格する必要がありますが、こちらも数年間の勉強が必要になります。

公認会計士の試験は毎年10%の合格率と難関になっています。

英語スキル

BIG4や国際関係の業務に携わっている会計事務所では英語スキルが必要になります。

海外展開を行っている会社などを扱っていると、英語スキルの取得は避けては通れません。

TOEICのスコアで言うと、700点がボーダーラインとなり採用時の評価アップに繋がります。

スコアが800点以上になれば、実務が捗るためより重宝されるようになります。

実務経験

一般企業や転職者など、前の職場での実務経験を持っている方は必要とされやすいです。

実務経験は一朝一夕で身につくものではないため、新しく業務を覚える人と比べてより円滑に業務を進めることができます。

また、税理士になるための条件として税理士科目の取得と合わせて2年以上の実務経験を積むというものがあります。

公認会計士も同様に2年の補助業務が必要です。

このように実務経験が重視されていることがおわかりいただけるのではないでしょうか?

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大手会計事務所と中小会計事務所の比較

大手会計事務所と中小会計事務所では何が違うのでしょうか?

もちろん規模が大幅に違うことが挙げられますが、その他にも多数の違いがあります。

例えば、クライアントに関して、大手になればなるほど大企業になる傾向があり、小規模から中規模では一般企業や個人を扱うケースが多いです。

大手会計事務所ではその分、案件も難しくやりがいがあるでしょう。

一方で、仕事量が多く激務であるため、試験勉強の時間が取れないなど他の問題が生じています。

また、大手会計事務所では部門細かく分かれているため、専門的知識は深められるのですが全体的な知識を得にくい環境です。

そのため、自分のスキルアップには一定の制限がかかってしまうことになる可能性もあります。

以上のことを簡単に表でまとめると、以下のようになります。

大まかな分類になりますので、全ての会計事務所に当てはまるわけではないことに注意してください。

大手会計事務所 中小会計事務所
クライアント 一般企業~大企業が多い 個人~一般企業
案件難易度 比較的高い 比較的低め
仕事量 比較的多い 比較的少ない
知識の種類 専門的知識を深められる 会計に関する全体的な知識を得られる
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まとめ

今回は会計事務所の大手と呼ばれる場所に関して、まとめてきました。

大手会計事務所の定義は難しいのですが、会計士が専門として働ける場所には会計事務所の他、税理士事務所や監査法人、税理士法人が挙げられます。

この中から大手と呼ばれる規模である4大監査法人と4大税理士法人、その他の大手会計事務所と地方大手会計事務所について触れました。

これらの大手と呼ばれる職場では、税務に関する業務や会計業務、コンサルティング業務、国際関係の業務などが扱われています。

大手の職場で活躍するためには、税理士科目への合格や公認会計士試験の合格、英語スキルや実務経験などが必要となってきます。

また、大手会計事務所と中小会計事務所を比較したことで大手のいい点悪い点についても見えてきたのではないでしょうか?

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