会計士/税理士事務所の繁忙期と閑散期、年間のスケジュール

2020年10月12日

税理士事務所の繁忙期と閑散期

税理士事務所の仕事は、クライアントの税務・会計についてサポートすることです。

税務署などへの書類の提出期間、クライアントの決算スケジュールなどに合わせて仕事をすることになるため、仕事の量が多い時期と少ない時期があり、繁忙期と閑散期とに分けられます。

繁忙期と閑散期の時期と、具体的な業務内容は、以下のようになります。

繁忙期

一般的に、税理士事務所の繁忙期は11月から翌年度の5月までといわれています。

税務手続きは年末から年度末にかけての時期に集中するので、この時期には多数の税務書類を作成し、税務署へ提出することになります。

また、法人クライアントの年次決算に関する業務は5月と11月に集中します。

なので、11月(年次決算)~年末(年末調整など)~年度末(確定申告)~5月(年次決算)の期間が税理士事務所の繁忙期です。

繁忙期中にも、時期によって業務内容や仕事の量は変わっていきます。

繁忙期の業務は、具体的に以下のようになります。

個人の確定申告に関する業務(2月、3月)

個人の確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日です。

税理士事務所では、この期間に提出できるよう個人事業主の確定申告書を作成し、税務署に提出します。

個人の確定申告の業務は、通常の業務と同時進行で行う必要があるために、税理士事務所にとって、個人の確定申告の期間がもっとも忙しい期間といえるでしょう。

不動産投資や株式投資を行っている法人オーナーの場合も、個人事業主の確定申告の対象となります。

年次決算に関する業務(5月、11月)

法人クライアントを対象とした業務です。

クライアントの決算日の翌日から2か月以内に、法人税や消費税などの確定申告書を作成し、税務署に提出します。

決算月は3月と9月が多い傾向にあり、その2か月後にあたる5月と11月には、法人クライアントを対象とした年次決算に関する業務が集中します。

年末調整(12月、1月)

年末調整を税理士事務所へ依頼するクライアントもいます。

年末調整の業務を行う時期は、12月から1月です。

法定調書の作成、償却資産税の申告(1月)

法定調書作成と償却資産税の申告は、1月末日までに税務署や市区町村に書類を提出する必要があります。

そのため、法定調書と償却資産税に関する業務は1月に集中します。

法定調書とは、賃貸物件の家賃や給料など特定の項目について、1月1日から12月31日までの年間の支払額と源泉徴収税額を、税務署に対して報告するための書類です。

償却資産税の申告は、自動車を除いた所有する動産の固定資産の明細書を作成し、市区町村へ提出します。

閑散期

6月から10月の期間には前述のような業務がないため、税理士事務所の閑散期とされています。

この時期には、通年で行う通常の業務だけを行い、通常業務の中でも大変な年次決算に関する業務は少なく、臨時で生じる業務は税務調査の立ち合いくらいです。

通常の業務と臨時の業務については後で説明します。

税理士事務所の仕事内容

税理士事務所の仕事を大きく分けると、通年で定期的に行う通常の業務と、臨時で生じる業務に分類することができます。

通常の業務

税理士事務所における通常の業務とは、通年で定期的に行う業務のことです。

具体的には以下のものがあります。

  • 巡回監査
  • 月次決算
  • 年次決算(5月と11月に多い)

臨時で生じる業務

臨時で生じる業務とは、通年で定期的に行う通常の業務以外の業務のことです。

具体的には以下のものがあります。

  • 税務調査の立ち合い(通年)
  • 個人の確定申告(2月、3月)
  • 年末調整(12月)
  • 法定調書の作成、償却資産税の申告(1月)

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税理士事務所で繁忙期を乗り切るコツは?

税理士事務所で働くなら、繁忙期は毎年やってきます。

繁忙期には仕事量もプレッシャーも増えて、うまく自己管理ができないと、残業やストレスのために体調を崩してしまう可能性もあります。

ここでは繁忙期を乗り切るためのコツや心構えをいくつかご紹介します。

優先度をつける

繁忙期には仕事量が増え、優先順位を曖昧にしていると、どれから手を付けていいのかわからなくなって、パニックになってしまうことがあります。

人間の頭は複数のことを同時に考えることが苦手なので、抱えている業務の優先度を整理して、可視化すると良いでしょう。

具体的なやり方のひとつとして、抱えている業務を付箋に書き出し、それをパソコンのディスプレイの横に貼っていく、という方法があります。

優先度が高い順に上から並べていくと、より効果的です。

抱えている業務を手帳に書きだして、その横に優先度順に番号をふっていく、という方法もあります。

この方法だと、持ち歩いていつでも見返すことができます。

また、パソコンやスマートフォンのtodoリストのアプリを利用しても良いでしょう。

「どんな仕事があるのか」「どんな順番で進めていくか」がわかっているだけで、パニックにもならず、精神的にも余裕が持てます。

会社には泊まらない

「忙しいから会社に泊まろう」というのは、一見良い考えのように思えますが、おすすめできません。

会社に泊まれば、通勤にかかる移動時間分だけ睡眠時間を長くとれそうですが、良い睡眠とは「長時間眠ること」ではありません。

短時間だとしても、睡眠の質が高ければ、意外と体力は回復するものです。

また、もし眠れなかったとしても、ずっと目を閉じて身体を休めているだけでも、活動に支障がない程度に体力は回復します。

体力を回復するためには、睡眠の長さよりも睡眠の「質」や「効率」が重要です。

睡眠の質を高めるには、寝る前にストレッチをして身体をリラックスさせたり、寝る前にはお酒を控えたりすることが有効です。

会社は「寝る場所」ではないので、リラックスして質の高い睡眠をとるのに適した場所とは言えません。

しかも繁忙期の会社では、仕事のプレッシャーから離れて質の高い睡眠をとるのは困難でしょう。

睡眠は最大の癒しです。

家に帰ってゆっくり休みましょう。

残業時間に制限を設ける

繁忙期には、どれだけ仕事をしても終わらない、という状況もあるかもしれません。

「終わったら帰ろう」と考えて仕事を続けて、ついつい際限なく残業してしまうこともあります。

しかし、人間の体力や集中力には限界があります。

体力や集中力が切れた身体でダラダラと続ける仕事は、効率のいい仕事とはいえませんし、ミスも多くなってしまうでしょう。

また、際限のない残業は、休息時間を削ることにもなるため、次の日も疲れを引きずってしまうことになるでしょう。

「残業は何時まで」と制限を設けて、その時間までは集中して仕事をこなし、時間になったら早く帰って休息をとりましょう。

体力も集中力も回復して、次の日にはもっと効率的に仕事ができるようになります。

繁忙期には普段以上に体力が大事です。

仕事の時間はしっかりと集中し、しっかり休息をとり、心身ともにストレスをかけすぎないようにしましょう。

自分にご褒美

繁忙期には、どうしても仕事のことばかり考えがちですが、ずっと仕事のことばかり考えているのもストレスになってしまいます。

繁忙期を乗り切ったら○○に遊びに行こう、旅行に行こう、ずっと欲しかった物を買おう、といった具合に、自分にご褒美を用意すると、仕事のモチベーションを保つことができるでしょう。

そして無事に繁忙期を乗り越えることが出来たなら、おもいきり楽しんで、ストレスを発散させましょう。

また、「今日は一日よくがんばった」という日には、自分に小さなご褒美をあげるのも効果的です。

たとえば普段買わない高級なアイスクリームを買ったり、健康のために控えている高カロリーのおいしいものを食べたりです。

食べ物以外でも良いですが、コンビニで買える食べ物だと、気軽で安価、頻繁に自分へのご褒美ができるので、おすすめです。

小さなご褒美でも精神的な癒しになり、「明日もがんばろう!」という気持ちが湧いてきます。

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税理士事務所の年間スケジュール

巡回監査、月次決済、税務調査の立ち合いなどの通年で行う業務を除いた、特定の時期に行う業務を、以下に年間スケジュールとしてまとめました。

特定の時期に行う業務は繁忙期に集中しており、6月から10月の閑散期には通年で行う業務しかないことがわかると思います。

税理士事務所で働いているのなら、繁忙期と閑散期のスケジュールに合わせて仕事やプライベートの予定を考えると良いでしょう。

4月
5月 年次決算
6月
7月
8月
9月
10月
11月 年次決算
12月 年末調整
1月 年末調整、法定調書の作成、償却資産税の申請
2月 個人の確定申告
3月 個人の確定申告

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