税理士事務所での仕事の覚え方を教えて!ついていけない時の自主学習方法

2020年10月12日

税理士事務所での仕事は専門性が高く、独特な風習があるため自分で学ぶことが重要になります。

しかし、税理士事務所に入ったばかりの新人や、未経験の税理士補助だと、どんな風に自主学習をすればいいのかわかりません。

そこで今回は、税理士事務所での仕事の覚え方やついていけない時の自主学習方法について解説します。

実際の実務に役立つ勉強方法や調べ方も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

税理士事務所は仕事を教えてくれない?

税理士事務所は一般企業のように先輩や上司が付きっきりで指導するケースは少ないです。

なぜなら、会計や税務に関する知識や法律は非常に高度で、なおかつ税法は時勢に合わせて重要な改正が度々行われるため、誰もが自分の仕事や勉強で手一杯になってしまいます。

税理士事務所に入ったばかりの新人が、仕事の資料と「これやっといて」の一言で放置されることも珍しくなく、先輩に質問しても「本を読んだのか?」「条文を調べたのか?」と逆に聞き返されたという体験談も目にします。

また、税理士事務所は3月の確定申告や9月の法人決算などに締め切りがあるため、従業員の繁忙期が重なりやすいです。

自分が忙しければ、先輩や上司も忙しいため、新人に対応する時間が取れなくなってしまいます。

新人への態度としては理不尽に思えますが、これらはすべて意地悪でやっている訳ではありません。

なぜなら、税理士事務所の先輩や上司でも、すべての条文や書類の作成方法を知っているわけではなく、仕事のやり方を経験則として学んできたのです。

そのため、税理士事務所の仕事は「わからないことは自分で調べて覚える」という風潮が根付いており、新人であっても座学面における個人の勉強や努力が重要となります。

税理士事務所で活躍するためには「自学力」が問われる

税理士事務所で活躍するためには自分で学ぶ力、「自学力」が重要になります。

税理士に限らず、士業や資格を必要とする職業は資格を取ることがゴールラインではありません。

資格を取ったことでその業務に就けるようになる、いわばスタートラインに立ったといえます。

上記にあるように、税理士業界は新人に対する指導に熱心ではないため、自分で問題点を見つけて、自分で解決するように努力し、仕事を学習できる人が伸びます。

そのため自学力が重要になりますが、自学の方法は人それぞれになります。

例えば、下記のような自学が代表的な方法といえます。

本から学ぶ

世の中にはハウツー本や最新の税法に関する解説本など、様々な本が販売されています。

本から学ぶのは自学のスタンダードで、ちょっとした休憩時間や移動時間で取り組むことが可能な勉強方法です。

最近では電子書籍でも販売されているため、複数の本を同時に持ち歩くこともできて便利になっています。

闇雲に本を購入して勉強するのではなく、税理士事務所の業務内容に沿った本を選びましょう。

税理士事務所に入ったばかりの新人が任せられる業務は下記の5つが代表的です。

  • 記帳代行
  • 法人の決算申告
  • 個人の確定申告
  • 税金に関する各種相談
  • 年末調整

まずは、これらに関する本を選んでみましょう。

専門学校に通う

税理士事務所は未経験・資格なしの方でも「税理士補助」として就職できます。

主な業務は記帳代行や決算書などの作成などに携わります。

これらは非税理士でも行える業務ですが、税法や決算書の読み方などを知っていれば、業務をスムーズにこなせるのは間違いありません。

そのための自学方法として、専門学校が上げられます。

専門学校はほかの自学方法に比べて費用が高く、拘束時間も長いですが、税理士事務所に必要な業務の知識を身に着けられます。

税理士の資格コースなら、そのまま税理士の資格を取得するチャンスもあります。

過去の記録を見る

専門学校に通ったり、本で勉強したりする時間がないときは、過去の記録を見るのが最も効果的です。

なぜなら、実際の業務は参考書や専門学校で学んだ内容と異なる場合があり、ケースバイケースです。

そのため、税理士事務所にある過去の記録を見たり調べたりすることで、似たような事例のときに対処できる可能性があります。

調べる習慣をつける

わからないことがあったときは、周りを頼る前に自分で調べる習慣を付けましょう。

なぜなら、周りの税理士が貴方の疑問に答えられるとも限らないからです。

税理士において重要なのは、「いかに早く問題解決の糸口となる情報を見つけられるか」だといわれています。

つまり、調べる力が業務の処理能力に直結します。

そのためにも、わからないことは自分で調べる習慣を身に着け、調べ方や調べるときのポイントを経験していくのです。

自分で思考した上で質問する

自分で調べてもわからないことは、周りの方に聞くのも手ですが、その際は質問の仕方に注意しましょう。

例えば、「これってどういうことですか?」とアバウトな質問の仕方だと「そんなことも分からないのか」と返される可能性があります。

「この条文ではこのようになっているので、このように解釈してもよいですか?」「これについてこの本で調べているのですが、あっているでしょうか」といった風に自分でどこまで考えたのか説明しながら質問すると、相手も理解して答えてくれます。

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自分で仕事を覚えるには?有効な勉強方法

上記で説明した自学力は、税理士補助や入ったばかりの新人が行う業務をスムーズに進めるために必要な勉強方法になります。

この項目では、税理士の独占業務などでよくある問題に対して有効な勉強方法や手段を解説します。

毎年の法改正について

上記でも触れましたが、税法は毎年のように改正されます。

日本税理士連合会のホームページでは、過去の税制改正と主な実現項目がリストとしてまとめられていますが、本当に何かしらの税制が毎年変わっています。

問題なのは、税法の改正はすべての人や企業が対象というわけではないことです。

特定分野の企業や一定の条件を満たした方々、シチュエーション、手続きの方法など、法改正の内容と対象は多岐にわたっております。

顧客が事業拡大をしていると、予想もしていなかった税法の対象となり、業務が増えてしまうというケースも珍しくありません。

そのため、毎年変わる税法に対処するために下記の方法が有効になります。

  • 国税庁のホームページを印刷・ダウンロード
  • MyKomonTaxをチェック
  • 税務通信を定期購読
  • 事務所経由で連絡がくるセミナーに参加

国税庁は税法を運用する機関であり、法改正に関する重要な更新をアナウンスしてくれます。

源泉徴収所得税の月額表やパンフレットなど、税理士事務所で必要な書式を確認できるのもポイントで、自分が作成した書類が正しいのかチェックできます。

MyKomonTaxは税理法人のグループ会社が運営する、税務情報提供サイトです。

法改正によって変更してしまった手続きのサンプルを発表し、国税庁であった重要な更新を間接的にアナウンスするため、毎朝のルーティンとしてチェックする税理士は多いです。

税務通信は税務協会が発行する週刊情報誌です。

国内でNO.1の税務専門誌で、申告時の付表の書き方や具体例が掲載されています。

電子書籍版も配信されており、小規模から大規模まで、税理士事務所なら必ずといっていいほど定期購読されています。

上記3つと違い、事務所経由で連絡がくるセミナーも新しい税法の勉強方法として有効です。

他者の視点や考え方に触れることによって、自分では気づけなかった注意点などが発見できます。

また、セミナー参加者と交流することで、仕事につながるチャンスにもなります。

仕訳について

仕訳とは簿記上の取引を借方と貸方に分けて仕訳帳に記入することで、簿記の基礎となります。

基礎であるため日商2級の知識があれば、問題なく対処できます。

しかし、担当する企業によっては普段の仕訳と異なったケースもあり、めったに出てこない仕訳処理もあります。

そんな時は「[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)」にアクセスしてみましょう。

このサイトでは勘定科目を体系的に分類しており、用語の解説や仕訳の仕方などを掲載している実務的なマニュアルとして使用できます。

日商簿記の取得

税理士補助として税理士事務所に勤めているなら、日商簿記の取得も検討してみましょう。

日商簿記取得のための勉強が、そのまま簿記や経理の経験と結びつき、資格勉強と税理士事務所での業務の両方に良い影響を与えます。

また、中小会計指針・中小会計要領の違いや適用対象を学んでおくと税理士事務所の業務に役立ちます。

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まとめ

税理士事務所の業務は専門性の高さと独特の風習もあり、仕事を覚えるのも一苦労です。

税理士や税理士補助であっても、新人が仕事を覚えるのが遅いのは当たり前です。

税理士事務所の仕事は自学力と有効な勉強方法が重要になります。

焦らずに一歩ずつ学んで努力しましょう。

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