税理士がする副業の種類|メリット・デメリットや増収、キャリアアップについて

2020年10月5日

今回は、税理士の副業についてご紹介します。

税理士資格を持っている人が、実際に「税理士資格を生かしてどのような副業をしているのか」ということや、「税理士が副業をすることのメリットとデメリット」などを解説するので、副業を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

現在の「副業」の定義

厚生労働省「モデル就業規則」より、労働者は原則として、事前に会社に所定の届出をすれば、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事できるとされています。

しかし、①労務提供上の問題がある場合②企業秘密が漏洩する場合③会社の名誉や信頼を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合④競業により、企業の利益を害する場合には、会社が副業や兼業を禁止、または制限することが可能です。

税理士は、一般的な「副業」の定義に加え、「守秘義務」や「忠実義務」などが税理士法により課せられています。

つまり、税理士は、企業に事前に副業の内容を申請して、税理士法を遵守すれば、勤務労働時間外の時間をどのように利用するかは自由なので、企業に悪影響を及ぼさない範囲で好きな仕事を副業にすることができます。

税理士が副業をする理由

試験勉強に始まり、資格取得まで膨大な時間のかかる税理士資格を苦労して取得したなら、その資格を生かした仕事をしたいという方が多いようです。

しかし、元々サラリーマンとして勤務していたり、主婦(主夫)だったり、定年後に税理士としてチャレンジしようとしていたりする方が、いきなり今までの生活スタイルを変えて、税理士としてバリバリに働くのは難しいでしょう。

だから、今までの生活を保ちつつ、税理士として働きたい、または、スキルアップしていきたいという方が副業をしています。

税理士の3つの働き方

税理士には、登録形態が3つあります。

社員税理士

税理士法人で働く税理士が、「社員税理士」です。

しかし、立場的には一般企業の「役員」に当たります。

所属税理士

税理士法人や事務所で、税理士業務を行います。

補助税理士と混同されがちですが、所属税理士は勤務先の上司の承認を受ければ、顧客を抱えることが可能です。

開業税理士

「個人事業主」として、自分で税理士事務所を開業し、税理士業務を行うのが「開業税理士」です。

「開業税理士」として登録する税理士が一番多く、副業として税理士業務をする人も含まれます。

本業の方はもちろん、経営する自社とは別の一般企業の役員として税理士業務だけ担当している方、普段はサラリーマンとして勤務している方、主婦(主夫)の方、定年後に税理士業務をしている方など働き方は様々です。

「開業税理士」というと堅苦しく聞こえますが、一番働き方の選択の幅が広いので、開業税理士として登録している人の中でも自分の事務所を持っている人は、案外少ないかもしれません。

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税理士の副業の種類

実際に税理士が副業をする場合、どのような職種があるのかをご紹介します。

マスメディアへの出演

テレビやラジオなどのマスメディアにコメンテーターとして出演する方がいます。

しかし、これは強固な人脈や知名度が関わってくるので、税理士全体の中でもごく一部の少数の方のみが対象です。

タレント事務所に所属していると、マスメディアへの出演機会が多くなります。

アフィリエイト

アフィリエイトとは、端的に言うと「広告収入」のことです。

ブログやYouTubeなどSNSで自ら情報を発信して、アクセス数を稼ぎ、広告として掲載された商品が受注されれば、お金を稼ぐことができます。

初期投資や時間の制約なしで、発信する内容によっては、個人指名で税理士としての仕事獲得につながることもあります。

始めるのは簡単ですが、軌道に乗るまで忍耐力も必要になるため、「副業でお金を稼ぐ」という意識ではなく、「自身の知識を整理する」くらいの気持ちでやった方が良いかもしれません。

とはいえ、税理士の持つ知識は世の中に非常に需要があるので、税理士としての経験や資格がある以上、成果を生みやすい副業とも言えます。

書籍の出版

出版社の編集者の目に留まるような内容を書くことができるなら、書籍の出版をするという方法もあります。

面白く、楽しく税理士業務を学べたり、税理士試験の教科書よりわかりやすく解説できたり、自身の税理士に合格するまでの波乱万丈な物語などががあったりしたら、書籍を出版しやすいかもしれません。

また、紙媒体ではなく、電子書籍でコストを抑えて自費出版するなど、工夫しながら挑戦するのも良いでしょう。

税理士予備校の講師

税理士の方ならご存知でしょうが、税理士試験を受験する人の多くは予備校に通います。

自身の実務経験の中に、今後の税理士に生かしてもらいたいことがあれば、税理士予備校の講師になるのも良いかもしれません。

しかし、副業として税理士予備校の講師をすると、授業の前準備に加え、勤務後に夜遅くまで教鞭を執ることになるので、体力的にかなり厳しくなります。

クラウドソーシングでの税務処理

インターネットのクラウドサービスに登録して仕事を受注し、在宅で税務処理を行います。

様々なクラウドソーシングが最近出てきていますが、資格所有者のみしか担当できない案件は単価が高いのが特徴です。

税理士のクラウドソーシングでは、給与計算で5,000円〜15,000円、申告業務のサポートで5,000円前後、記帳代行で時給1,000円〜2,000円が相場です。

在宅で副業ができることを考慮すると、効率も良く、体力的にも始めやすいでしょう。

しかし、その分ライバルも多く、結果的に依頼を受けることができない状況になる可能性があります。

税理士が副業するメリットやデメリット

現在は副業や資産形成が謳われる世の中ですが、税理士は忙しい職業でもあります。そのような環境下で副業するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

メリット

キャリア形成できる

副業では、離職せずに別の仕事をすることができるので、主体的にキャリアを形成することができます。

副業で得た知識やスキルを、本職に生かすことができるかもしれません。

小さなリスクで起業や転職の準備ができる

副業を通じて企業や転職の準備をすると、業務時間外だけしか時間がないため、進捗が遅くなるかもしれませんが、起業や転職で失敗するリスクは小さくなります。

副業で人脈を作ることができれば、起業後すぐに顧問契約を結んでもらえたり、新たな仕事を紹介してもらったりする可能性があります。

また、副業で成功すると、自信がつき、物事に積極的に取り組めるようになるでしょう。

所得が増える

目に見える1番のメリットで、所得の増加を目指して副業を始める方は多いです。

所得が増加したら、今までできなかったことに是非挑戦してみてください。

デメリット

本業が忙しいと難しい

どうしても本業がメインになるため、副業にかける時間が本業に左右されます。

また、副業が原因で本業に支障が出ると、副業をやめなければならない可能性があります。

平日には働くのが難しい

平日の日中は、本業をしているため、働くことができません。

税務署は土日祝日が休みなので、税理士としては動きづらくなります。

また、多くのクライアントが希望する平日の日中に動けないのは、大きなデメリットと言えるでしょう。

「副業」という不安感を与える

実力的には問題がないにも関わらず、「副業」だということでクライアントに不安感を与えてしまう可能性があります。

本業で税理士をしている人と比べても遜色ないことをアピールして、クライアントを極力逃さないように工夫してみましょう。

雇用保険の適応が適応されない可能性がある

1週間の所定労働時間が短い業務を複数行う際には、雇用保険などが適応されない可能性があります。

副業を開始する前に確認しておきましょう。

副業する際の注意点

副業をする場合の注意点は、以下の3点です。

会社規定で副業OKになっているか

上述しましたが、本業がある場合、副業する際には本業の会社への申請が必要です。

本業の会社規定で副業が禁止されている場合もあるので、会社規定を再度確かめてから、副業を探し、実際にやりたい副業が決まったら申請しましょう。

働きすぎにならないか

時間の融通が効かない副業だと本業に支障をきたす可能性があります。

例えば、ご紹介した副業の中でも予備校講師は、授業前の教材の準備に時間が必要な上、毎週決まった時間に授業をしなければなりません。

本業の繁忙期でも副業のボリュームは変わらないことで、結果的に働きすぎになってしまいます。

家族の理解を得られているか

本業に加え、副業を始めると家族と過ごす時間がどうしても減ってしまいます。

今までと変わらず家族との時間を取り、睡眠時間を削ろうと考えている方もいるかもしれませんが、睡眠時間を削ると健康を害し、結果的に家族に迷惑と心配をかけることになってしまいます。

特に、お子さんがいる場合、あなたが子育てに関わる時間が減れば、その分、配偶者に負担がかかってしまうので、不満を与えるきっかけになりかねません。

副業を考えているならば、まず家族に相談してみましょう。

副業するなら目的に合わせて転職を考えることもおすすめ

おすすめなのは、転職することです。

あまり自分で思考して仕事ができず、結局ただの使い走りになってしまうケースも多いです。
もし、ポジティブな意味で、自分のキャリアアップを図りたいと思うのであれば、ぜひ転職を視野に入れてみてください。

今までの生活スタイルをあまり変えずに税理士として働きたいという方や、スキルアップやキャリア形成をしたいという方が税理士として、副業をすることが多いようです。

しかし、副業で「キャリアアップしたい」「仕事の幅を増やしたい」とお考えなのであれば、本業と副業で二足のわらじをはくのは非効率です。

どちらも手につかず、忙しさから疲弊してしまうでしょう。

さらに、副業で、本業では挑戦できない仕事に簡単に触れることができるのは大きな魅力ですが、どうしても副業では稼働時間が確保できず、少しの時間から携われないことにより、裁量権が小さくなりがちです。この結果、結局スキルアップもできず、中途半端な結果に終わってしまう人も多いです。

仕事から学びを得たい、キャリアアップしたいのであれば、おすすめなのが転職です

例えば、当社が会計業界初のスタートアップ事務所で、風通しがよくなんでも挑戦できる社風が特徴です。

当社で働く税理士や社員たちは皆、裁量権のある職場でスキルアップに勤しんでいます。

このため、副業でのキャリアアップよりかは、本業を最大限頑張り、そこで成長を掴んでいます。

もし、スキルアップやキャリアアップを目指したいのであれば、ぜひ当社へに転職も考えてみてください。

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