税理士事務所の転職は危険もある?危ない求人の避け方や失敗談を説明
2020年10月8日
「会計事務所は場所によってかなりブラックだと聞く…」「求人では時間外労働がないと聞いていたのに何故か時間外労働を強いられる…」など、税理士・会計士の転職に不安はつきものです。
転職については常に不安が付きまといますが、きちんと見極めればそうでない事務所に出会うことが可能です。
今回は、会計業界の転職のコツや危ない求人の避け方などを紹介します。
会計士や税理士の転職のコツ
会計業界で就職・転職する際には、様々な事務所を比較して考える必要があります。
これからの自分のキャリアプランや将来像を実現するために、今から紹介するコツを踏まえた上で行動してみてください。
繁忙期と閑散期を理解する
会計業界で就職・転職活動を行う際には、税理士事務所の労働実態や実情を理解しておく必要があります。
税理士事務所は、主に年末から5月頃までが繁忙期です。
毎月の決算申告業務・月末業務に加えて、12月から1月は年末調整、法定調書などの業務を行います。
2月から3月は個人の所得税確定申告業務、その後5月まで決算法人の申告業務が続いていく形になり、この時期はどの事務所も大変忙しくなっているのです。
6月以降からは通常業務だけとなり、いわゆる閑散期と言われます。
繁忙期に転職活動を行うと、事務所が忙しくてきちんと仕事を教えてもらえなかったり、事務所の雰囲気にうまく馴染めなかったりするかもしれません。
閑散期である6月以降に入社することを目指して転職活動を行うことをおすすめします。
事務所で働く人の中にはパートも多い
従業員数が10名未満の零細事務所では、その半数がパートやアルバイトによって構成されていることが多いそうです。
税理士事務所で働くパートの主な仕事内容は会計ソフトの入力で、そのほかに電話対応業務や来社されたお客様への対応などです。
税理士の業務の補佐的な役割であるため、パートの存在も事務所にとっては重要です。
パート形態で働く人は繁忙期でも残業なしで帰ることがほとんどなので、人員が足りない場合は社員がサポートする必要があります。
スタッフが20名以上の事務所ではスタッフ同士で仕事のフォローをすることが出来ますが、人数が少なく、パートの出勤時間が短い人とチームになった場合には働きにくいと感じることもあるかもしれません。
転職する際には、事務所の人数の他にパートの人の割合なども注意してみてください。
募集の意図を理解する
税理士事務所が求人を出しているのを見つけたら、どういった理由で人員を募集しているのかしっかり考えてみましょう。
事業が拡大した、新たな部署が出来た、などといった前向きな理由での募集の場合は肯定的に捉え、転職先の事務所として良いと考えてもいいかもしれません。
しかし、退職者が増えてしまったから人を雇いたいといった理由での募集は慎重に考えるべきです。
募集理由などは直接その事務所に聞きづらいので、転職エージェントを活用したり、カジュアルな面談の際にそっと聞いてみるのがおすすめです。
会計士や税理士の転職の注意点や課題、失敗談
転職する際のコツがわかったところで、失敗例などをもとに気を付けるべきポイントをより詳しく見ていきましょう。
失敗しやすい点を掴んでおけば、より良い転職活動を行うことができるはずです。
忙しすぎて仕事についていけない
先ほど紹介した会計業界の繁忙期と閑散期を理解していないと、忙しすぎてついていけない…といった状況になってしまいます。
わからないことがあっても周りも忙しくて丁寧に教えてもらえず、うまく馴染めないまま仕事をしなければならなくなります。
特に税理士業界での経験が浅かったり未経験の場合には、周りの先輩や上司に教えてもらいながら仕事を覚えていく必要があるため、繁忙期に入ることはお勧めできません。
解決するには
転職先の業務だけでなく雰囲気に馴染むためにも、余裕のある時期を選んで転職するのが良いでしょう。
事務所の方針や上司と合わない
零細事務所は所長税理士の意向が事務所の方針に強く反映されやすいため、方針が前職と大きく異なる場合があります。
転職先が零細事務所だと、それぞれの事務所のやり方の違いに戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
また、経営者である所長税理士の意向が自分と合っていないと、入ってから後悔するといったことにもなりかねません。
解決するには
単純なイメージだけで転職先を決めてしまうのではなく、職場の雰囲気などをきちんと見ておく必要があります。
選考では自分から気になったことを質問し、疑問をなるべく解消するようにしましょう。
募集背景を調べずに入社してしまった
大手の会計事務所から、より密接に企業と関わるために中小の会計事務所に転職して失敗してしまった例もあります。
条件や待遇の良さから転職先を決めたものの、入社直後にスタッフが次々とやめていってしまい、その分の仕事を負担しなければならなくなってしまったのです。
この事務所は常に離職率が高く、中途人材を募集していたのも、そういった背景があってのことでした。
最初に募集背景を確認しなかったために、このような状況になってしまったのです。
解決するには
こういった失敗を防ぐためには、転職を決める前に募集の意図をきちんと確認しておく必要があります。
離職率が高い場合は、事務所に何かしら問題があるかもしれないので避けた方が良いでしょう。
危ない求人の見分け方とは
これまで事務所の雰囲気や募集の背景を見極める必要があると説明しましたが、その他にも事前にチェックしておくべきポイントをいくつか紹介します。
避けるべき求人情報を見分け、危ない求人に応募することがないようにしましょう。
リクルートサイトや事務所の運営するブログを見る
税理士事務所の運営するブログなどはお客様も見るものなので、わかりやすく雰囲気などを確認できるでしょう。
また、スマホ対応のホームページなどを持っている事務所はそうでないところに比べて将来性があると判断してもいいかもしれません。
所長税理士の顔や働いているスタッフの顔、事務所内の風景なども参考にしてみてください。
平均年齢や年齢の割合
年齢の構成を見ておくことは重要です。
所長税理士が60歳以上でスタッフも少ない事務所は、今後急成長するといったことは考えづらいでしょう。
たとえ平均年齢が低くても、ベテラン層数人と若いスタッフだけという場合、中堅層が育ちにくく抜けていってしまう事務所なのかもしれません。
20代から30代、40代…とバランスよく人員が揃っている事務所の方が理想的だと言えます。
これらも事務所の運営するホームページやブログなどからチェックし、参考にしてみてください。
未経験者採用の有無
未経験者をどのくらい採用しているかホームページなどに記載がない場合、判断が難しいところですが、20代のスタッフやパートが多ければ未経験者や実務経験のない人もそれなりにいると判断できるでしょう。
若いスタッフが多いということはそれだけ教育体制が整っていて、事務所としても十分な教育を提供できる余裕があると考えて良いかと思います。
未経験者の採用に積極的な事務所かそうでないかもよく考えてチェックしてみましょう。
事務所内の税理士の数
その事務所にどのくらい税理士がいるのかも判断材料の1つになります。
日本税理士会連合会のホームページで、代表税理士以外にも事務所所属の登録税理士を検索できるので、その事務所の有資格者の数を調べることが可能です。
全スタッフのうちにどのくらい有資格者がいるかを確認することで、事務所がどのくらい資格を重視しているのかを知ることができます。
所長以外に税理士がいない事務所は、スタッフに十分な勉強時間がないなどの背景も考えられるため慎重に判断しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
転職の際に注意するべきポイントを理解することができたしょうか。
つい待遇や条件に注意してしまいがちですが、働きやすさや将来性なども頭に置いて転職先を探してみましょう。
税理士事務所に転職を考えている方はぜひこの記事を参考に、自分に合った事務所を探せるよう頑張ってください。