創業融資を利用したいと考えている人の中には、
✔︎創業融資を利用するための条件はあるの?
✔︎自分が創業融資の条件を満たしているか知りたい
✔︎そもそも利用するメリットはあるの?
✔︎創業融資を受けるために必要な準備はあるの?
など、疑問を抱えている方は多いことでしょう。
創業融資を受けようと考えている方のほとんどが初めての創業のことと思います。
そのため審査がどのように行われるかや、審査に必要なものは何か、創業融資を受けるための条件は何かなど、疑問は多いことでしょう。
本記事では、その中でも創業融資を受けるための条件にフォーカスして解説していきます。
創業融資を受けようと思っているけど、自分が融資を受ける条件を満たしているのかわからない方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
創業融資とは?
創業融資を受けるための条件をお伝えする前に、創業融資には3つの種類があることを知っておくべきですので、先にご紹介します。
創業融資とはこれから創業しようと考えている方向けに融資を行ってくれる制度のことです。
創業融資は様々な機関から多くの種類の融資制度が設けられています。
融資を行う機関は大きく3つに分かれます。
・日本政策金融公庫
・地方自治体
・金融機関
つまり、創業融資という融資があるのではなく、複数の融資制度の総称を創業融資と呼ぶのです。
銀行などの金融機関の創業融資
創業融資の中でも審査が厳しいのが、金融機関の創業融資です。
金融機関の融資制度があるのは事実ですが、審査が厳しく通ることはほとんどありません。
そのため、本記事では主な創業融資として、日本政策金融公庫と地方自治体を扱います。
金融機関の融資は創業後、事業が軌道に乗った後、融資を受けた方が効果的です。
日本政策金融公庫による創業融資
日本政策金融公庫の創業融資は国が行っている融資政策です。
他の機関を介さずに融資政策を行っているのが特徴で、融資を受けるまでの期間が短いことが特徴です。
また、国の事業を活性化させるために行われる融資政策のため、創業者には積極的に融資を行ってくれます。
とはいえ、審査はありますので、審査の対策は必要です。
一般的に融資を受けられる割合は3割前後と言われています。
新規開業資金
新規開業資金は新規事業の立ち上げ、創業者向けに行われる創業融資です。
融資上限額は7,200万円と非常に多く、大量に資金が必要な事業を立ち上げる際に有効な、融資政策だと言えるでしょう。
また、返済期間は設備資金に関しては20年、運転資金に関しては7年と、返済期間が長めに設定されていることも特徴です。創業から事業が円滑に回るまで時間がかかる場合には有効的です。
長めの返済期間と融資上限金額が高いのにもかかわらず、金利が1〜2%と低く設定されていることも特徴です。
新規開業資金の利用条件
新規開業資金の利用条件としては、
・新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
・地域おこし協力隊として活動した地域において、活動終了後1年以内に新規開業すること。
と定められており、違反した場合には利率が基準に引上げられますので、注意しましょう。
参考:日本政策金融公庫HP
新創業融資制度
新創業融資制度の最大の特徴は、無担保・無保証人で融資が受けられるということです。
つまり、創業の代表者が負債を負わずに融資を受けられるということです。
一般的に、他の融資政策であれば代表者を保証人として立てることが義務付けられますので、代表者のリスクが少なく融資を受けられるのは大きなメリットではないでしょうか。
とはいえ、融資限度の額が3,000万円と新規開業資金と比較すると約半分になってしまいます。
また、自己資金の額によって融資額が決まってしまうこともありますが、自己資金が十分用意できるのであれば、融資は受けられるので問題ありません。
一般的に融資額は自己資金の約3倍程度が審査に通るラインだと言われています。
なので、1,000万円の融資を受けたいのであれば、300万円程度の自己資金を用意しましょう。
審査に関しても、新規開業資金と比較して厳しい印象がありますので、融資のプロに相談することが重要になるでしょう。
新創業融資制度の利用条件
新創業融資制度の利用条件としては、対象者の要件と、自己資金の要件が定められています。
日本政策金融公庫公式HPを見ていただければより詳細に分かると思いますが、
1.対象者の要件
新たに創業を始める場合と、事業開業2期を終えていない場合
2.自己資金の要件
創業時の資金総額の10分の1以上の自己資金額を必要とする
と言ったようなことが書かれていますので、各条件を満たすようにしましょう。
中小企業経営力強化資金
中小企業経営強化資金は、創業・新規立ち上げとして融資を受けることもできますが、すでに事業を行っている場合にも融資を受けられます。
こちらは経営力や資金調達力を上げることが目的の融資政策です。
融資限度額は7,200万円、返済期間は新規開業資金と同じ設備資金20年、運転資金7年となっています。
また、金利も1〜2%となっておりそれほど高くはありません。
しかし、こちらの創業融資を受けるには厳しい条件があります。
この融資の特徴とも言えるポイントではあるのですが、認定経営革新等支援機関の助言を受けている必要がありますので注意しましょう。
中小企業経営力強化資金の利用条件
中小企業経営力強化資金の融資を受けるためには、以下の条件のうち、どちらかをクリアする必要があります。
1. (1)経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む)を行おうとする方
(2)自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている方
2.(1)「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用している方または適用する予定である方
(2)事業計画書を策定する方
参考:日本政策金融公庫公式HP
新事業活動促進資金
新事業活動促進資金とは、新事業を立ち上げる際に活用できる融資制度です。
融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金20年、運転資金7年と、金利も1〜2%と、新規開業資金と同じになっています。
新規開業資金や、新創業融資制度では事業を立ち上げてから2期を終えていないことが条件となっていますが、新事業活動促進資金では、そう言った要件が記述されていません。
そのため、2期を超えた場合でも利用可能な創業融資と言えます。
たとえば、新創業融資や新規開業資金を活用して、事業を進めていく。
新しい事業のアイデアが生まれたら、こちらの新事業活動促進資金を活用することもできるのです。
新事業活動促進資金の利用条件
新事業活動促進資金の利用条件はたくさんあります。また、条件によって利率が変わるのも特徴ですので、後利用したい方は日本政策金融公庫のHPからご覧ください。条件は以下の通りです。
1.「経営革新計画」の承認を受けた方
2.「農商工等連携事業計画」の認定を受けた方
3.農林水産業支援サービス業を営む方であって、農商工等連携事業を行う方のうち、3年間で2%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方(注1)
4.「地域産業資源活用事業計画」の認定を受けた方
5.「地域産業資源活用支援事業計画」の認定を受けた方
6.「経営力向上計画」の認定を受けた方
7.中小企業等経営強化法に基づく中小企業等の経営強化に関する基本方針に定める新たな取り組みを行い、2年間で4%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方(注1)
8.技術・ノウハウ等に新規性がみられる方(注1)
9.上記1~8に該当しない方で、次のいずれかに該当する方
・新たに経営多角化・事業転換を図る方
・経営多角化・事業転換後おおむね5年以内の方
参考:日本政策金融公庫HP
地方自治体による融資
日本政策金融公庫は国が運営しているわけですが、同じように地方自治体でも融資を行っています。
地方自治体による融資は一般的に「制度融資」と呼ばれています。
こちらの場合には地方自治体が独自で融資政策を行っているわけではありません。
地方自治体が信用保証協会や金融機関と連携して、融資制度を提供しています。
創業する際や新事業を立ち上げる際に利用できるのは同じですが、3つの機関が連携して融資を行うため、審査が慎重だということや、地方自治体によって金利、融資の限度額などが違うことも特徴です。
制度融資
「制度融資」は地方自治体が信用保証協会や、金融機関と連携して融資を行う制度のことです。
起業の際や、新規事業を立ち上げる際に利用できる融資制度です。
具体的な仕組みについて解説します。
流れとしては、まず、地方自治体の窓口で制度融資を利用したい旨を伝えます。
相談の後、金融機関が指定されますので、そちらに申し込みを行います。
最後に、信用保証協会が信用保証をしてくれるという流れになっています。
また、信用保証は保証料がかかりますが、万が一事業に失敗してしまっても返済額を支払ってくれるので、リスクヘッジとしては非常に助かるでしょう。
しかし、制度融資は日本政策金融公庫の新創業融資制度と比較して、融資実行までの機関が長いのが特徴です。
一般的に審査は1.5〜2ヶ月程度かかってしまいます。
制度融資の条件
制度融資の条件は各地方自治体によっても様々ですので、一概に条件はこれだと言えません。
制度融資の条件を調べるには、各自治体や支援機関のWebページを確認するのが一番早い方法です。
各種創業融資の条件表
こちらでは、各種創業融資の条件を表にまとめました。
ご自身がどの融資を受けるべきか、判断材料としてご参考ください。
創業融資制度 | 条件 |
新規開業資金 | ・新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 ・地域おこし協力隊として活動した地域において、活動終了後1年以内に新規開業すること。 新規開業資金 |
新創業融資制度 | 1.対象者の要件新たに創業を始める場合と、事業開業2期を終えていない場合 2.自己資金の要件創業時の資金総額の10分の1以上の自己資金額を必要とする 新創業融資制度 |
中小企業経営力強化資金 | ※条件が少し複雑ですので、公式HPをご覧ください。中小企業経営力強化資金 |
新事業活動促進資金 | 1.「経営革新計画」の承認を受けた方 2.「農商工等連携事業計画」の認定を受けた方 3.農林水産業支援サービス業を営む方であって、農商工等連携事業を行う方のうち、3年間で2%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方 4.「地域産業資源活用事業計画」の認定を受けた方 5.「地域産業資源活用支援事業計画」の認定を受けた方 6.「経営力向上計画」の認定を受けた方 7.中小企業等経営強化法に基づく中小企業等の経営強化に関する基本方針に定める新たな取り組みを行い、2年間で4%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方 8.技術・ノウハウ等に新規性がみられる方 新事業活動促進資金 |
制度融資 | 各自治体や支援機関のWebページをご確認ください |
融資の審査を通過するために重要なこと
創業融資の条件をクリアした後、一般的には書類や面接で審査が行われます。
ここでは、融資の審査を通過するために、心がけておくべきことをご紹介していきますので、こちらのポイントをもとに準備を進めていきましょう。心がけるべきポイントは以下の6つです。
・自己資金を貯める
・金融ブラックリストに載っていないか
・創業にあたって業界経験はあるか
・創業計画書を充実させる
・資金繰り計画書を充実させる
・融資希望額は無理ない範囲で
一つずつ詳しく解説していきます。
自己資金を貯める
まずは各種融資を受けるための条件にも定められていますが、自己資金を十分に準備することが大切です。
やはり、自己資金がないと「融資した金額が返済されないのではないか」融資担当者も不安になってしまいます。
そうなると、その他の条件が揃っていたとしても、審査を落とさざるを得ない状況になってしまうのです。
自己資金は通帳で、毎月コツコツと貯めてきたことを証明できるようにしましょう。
その証明が可能であれば、信用が上がり、融資審査に通る確率も上がります。
金融ブラックリストに載っていないか
金融機関のブラックリストに載ってしまっている事業者は一発で落とされてしまいます。
たとえばクレジットカードや、携帯料金の滞納など、もしくは、税金の滞納などがあると、信用は落ちてしまいます。
「融資金を与えたとしても帰ってこない確率が高いのでは」と考えられてしまいます。
あくまで融資を行ってくれるのは、創業まもない事業者の資金の手助けをしたいという、善意によるものです。
また、創業融資を行う各種機関は、事業を成功に導いてほしいと考えています。
そのため、返済できなそうな事業者は「事業を成功できない可能性が高い」と審査を落とされてしまいます。
現時点で信用情報に傷がある場合は少し注意しましょう。
ちなみに、信用情報は5年間でクリアになることもあります。
そのため、創業融資は受けられないかもしれませんが、創業後に融資を受けられる可能性もあるので、確認しておきましょう。
信用情報に自信がない方の確認方法は、信用情報を開示している機関がありますので、こちらにお問い合わせすることをおすすめします。
https://www.cic.co.jp/
創業にあたって業界経験はあるか
創業にあたって、業界の経験があるかは重要です。
なぜなら、業界経験がある人であれば、事業の進め方がなんとなくわかっているので、成功する確率が高いと判断されるからです。
とはいえ、業界の経験がなくても創業している人はいますよね。
そのような人で融資を受けられるのは、過去の経験が生かせることを創業計画書に書いているから。
たとえば、美容関係で働いていた人がエステを開業しようとしたなら、過去の経験は多少役立ちますよね。
このように、過去の経験が創業する業種と繋がるかを考えておくことは大切です。
もし仮に、全く繋がらないのであればこちらは見逃すしかありませんが、時間があるのなら、業界経験を半年ほど積むことで、充実させられるでしょう。
創業計画書を充実させる
創業計画書の内容を充実させることで審査に通りやすくなります。
なぜなら、創業計画が入念に練られているということは、それだけで計画が順調に進む可能性を感じさせることができるからです。
創業計画書には創業時にどのくらいの資金が何のために必要なのか。
また、どのくらいで軌道に乗せられるのかなど、細かく記載することが大切です。
5W1Hを意識して「担当者に自分の事業がこのくらい順調に進みますよ」とアピールしましょう。
・融資金はいつまでに返済する
・創業に対する意気込み
・この事業がうまくいく根拠
など、できるだけ明確に記載できれば、融資の審査に通るはずです。
資金繰り計画書を充実させる
こちらは、資金をどのように使うかなどのキャッシュフローを示す書類になります。
利益に対してどのくらいの資金が必要になるかや、利益率なども記載するものです。
利益が出ていても、その分支出が多ければ全く意味がありません。
資金繰り計画書は、倒産するリスクがないのかを示す重要な書類です。
なので、融資の審査を通過するためには、充実した資金繰り計画書を作ることが大切です。
また、資金繰りに自信のない場合には、専門家に依頼することを強くすすめます。
それほど重要な書類なのです。
融資希望額は無理ない範囲で
融資希望金額が自己資金と比較して多すぎる場合には注意が必要です。
追加融資を受けることもできるので、最初はそこまで高額な資金を要求せずに、資金が足りなくなったら、追加するというのが上手な資金調達方法です。
融資希望額は各種創業融資の条件にもよりますが、自己資金の3倍から4倍程度で考えておくのが良いでしょう。
実際に日本政策金融公庫の新創業融資制度の条件では1/10と定められていますが、現実的には3倍から4倍程度とのことですので、このくらいを基準に考えておきましょう。
融資の審査を成功させるには専門家に相談
創業融資制度の条件は様々です。
しかし、その条件をクリアしたとは言え、審査があることを忘れてはいけません。
審査を通過するためには専門的な知識が必要なだけではなく、面談での受け答えなどのことも考える必要があるのです。
創業時はどこにオフィスを構えるか、事業に必要な道具は何を揃えるべきなのかなど、考えることはたくさんあります。
その中で創業計画書や資金繰り計画書、面談のことも考えるのは非常に大変なのではないでしょうか。
そこで、融資の審査を通過するために専門家に相談することをおすすめします。
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さらには、最短1日で創業計画書を作成することもできます。
普段から創業準備を行っている事業者の方のご相談をお受けし、的確なサポートをさせていただいております。
創業に関する不安をご相談いただければ、解決に導きます。
もちろん融資の審査もお任せください。
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