自分でお店を持ちたい!そう考えた時に1番不安を感じるのは資金面だと思います。
開業資金はいくらくらいかかるのか、自己資金はいくらくらい必要なのか、そう考えると開業までの道のりが遠く感じる人も多いかと思います。
自己資金が少ないけれどなるべく早く自分のお店を持ちたい!そういう人におすすめなのが「リース店舗」を利用した開業です。
リース店舗って何?
「リース店舗」という言葉にあまり聞きなれない人もいるかと思います。
リース店舗とは、リース料金を毎月支払うことで利用できる店舗です。
店舗の内装や必要な設備、什器などはすべて備わっているため、新規開業に必要な内装工事が不要です。
その分開業費用をぐんと抑えられて、また開業までの日数も短縮できます。
リース店舗と賃貸借契約との違い
では、リース店舗と賃貸借契約の店舗との違いについてみていきましょう。
リース契約と賃貸借契約の大きな違いは、造作や什器、各種設備の所有者がどこにあるかです。
賃貸借契約では、スケルトン物件の場合には店舗オーナーが内装の設備はイチから揃えます。
また、居抜き物件でも造作譲渡料を支払うため、内装の設備、什器はどちらも店舗オーナーにあります。
そのため、好きなものを揃えることも処分することもできます。
リース店舗の場合には、設備の所有権がリース会社にあるため、勝手に交換や売却ができません。
他にも、賃貸借契約の店舗を解約する場合には、3~6ヵ月前に申し出る必要があり、明け渡しまでの賃料が発生します。
リース物件を解約する際には、原則途中解約ができません。
リースとは、中長期的に使用することを前提として利用できるサービスです。
そのため、万が一解約する場合には残りのリース料金や違約金の支払いが発生します。
解約時には、リース料金の残金や違約金がいくら発生するのか事前にリース会社に確認しましょう。
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リース店舗を利用するメリット
では、リース店舗を利用すると得られるメリットについて説明します。
・開業費用が抑えられる
リース店舗の大きなメリットは、開業費用が抑えられることです。
一般的に店舗を開業するときには500万円~1,000万円前後という大きな金額が必要となります。
開業資金の大きな割合を占めるのが、
1.物件取得費(保証金、礼金、仲介手数料、前家賃)
2.内装、内装設備費
の2つです。
リース店舗を利用して開業する場合、これらの費用がほとんどかからないため、開業費用を大きく抑えることができます。
ただし、保証金が分割になったり、毎月の家賃とは別に設備利用料、管理費などがかかるので注意してください。
・銀行からの借り入れが0円で開業も可能!
店舗の開業資金は平均で1,000万円ほどかかります。
多くの経営者は銀行や日本政策金融公庫などから足りない分の融資を受けて開業します。
開業時にはほとんどの経営者が借金を抱えているといっても過言ではないでしょう。
リース店舗は開業費用をぐっと抑えることができるため、銀行などからの借り入れなしで開業することが可能になります。
・内装工事が不要のため早く開業できる
リース店舗は、すでに内装工事が完了している物件です。
そのため、リース店舗との契約が完了すれば、すぐに開業をすることも可能です。
通常店舗物件が決まってから内装工事が開始されますが、内装工事が完了するまでに3~6ヵ月ほどかかります。
その間も賃料は発生しているため、内装工事の期間が長ければそれだけ収入がないのに賃料を払わなければいけない期間も延びてしまいます。
リース店舗では、工事期間がそもそもないので収入がないのに賃料を払わなければいけない期間を最小限に抑えることができます。
・メンテナンスや修理はリース会社がおこなう
厨房設備や空調設備の定期的なメンテナンスや故障した場合など、通常であれば店舗オーナーが手配します。
ところが、リース店舗の内装や設備の所有権はリース会社にあるため、リース店舗の場合には、メンテナンスや故障の修理の手配はすべてリース会社がおこないます。
オーナーは設備に関して気を配る必要がなく、その分経営に専念することができます。
・本来内装費用などの開業設備に充てる資金を運転資金に回せる
リース店舗は開業資金がほとんどかからずに開業できます。
そのため、本来開業資金として使用する予定だった資金を運転資金に充当できるのがメリットの1つです。
運転資金はあればあるほど、店舗運営にプラスに働きます。
一般的に店舗を開業してから軌道に乗るまでに半年~1年かかるといわれています。
開業して経営がなかなかうまくいかないと、運転資金が底をついてしまえば閉業せざるを得ません。
運転資金が潤沢にあれば、軌道に乗るまで営業を続けることができるのです。
運転資金をどれだけ用意できるかは、店舗の営業に大きな影響を及ぼします。
・閉店する際に手間がかからない
店舗を閉店する時には、基本的に原状回復の義務があります。
原状回復とは、入居した当時と同じ状態に戻す、ということです。
スケルトン物件で開業した場合、内装設備はもちろん、壁、床なども全てはがして退去しなければいけません。
撤去費用に数百万円がかかることも珍しくないため、撤去するのにも3~6ヵ月かかり、その分の賃料ももちろん支払わなければいけません。
リース店舗であれば、内装はすべてリースのため店舗オーナーが撤去する必要はありません。
ただし、リース店舗の場合はリースの残金の支払いが生じます。
リース店舗を利用するデメリット
リース店舗はメリットも多くありますが、同様にデメリットもあります。
どんなお店を開業したいかによって、リース店舗が不利なこともあるので注意しましょう。
・好みの内装に変更することができない
リース店舗はすでに内装が決まっていて、店舗自体もリースのため所有権はリース会社にあります。
そのため、内装設備を変えたり撤去したり、自由に好みの内装に変更をしたりすることができません。
内装にこだわりたい人には、リース店舗はおすすめできません。
・毎月リース料の支払いがあるため固定費の負担が大きくなる
リース店舗ということは、毎月リース料の支払いがあるということです。
初期費用が抑えられる分、毎月の固定費はリース料の分だけ上乗せになるので注意が必要です。
開業後の運転資金の計算にもリース料を含めましょう。
・途中解約ができない、途中解約の際には違約金などが発生する
レンタルとリースの大きな違いというのが、レンタルは短期での契約に対しリースは中長期での契約になる点です。
そのため、基本的に途中解約はできません。
途中解約ができても、リースの残金と違約金がかかることが通例です。
リースの残りの期間によっては、解約時に高額な費用が掛かる場合もあるので、リース契約を結ぶ期間について契約前にしっかり検討する必要があります。
・最終的に総支払額が多くなる
リース店舗は初期費用がかからない分、毎月リース料の支払いが発生します。
内装はリース会社に所有権があるため、内装造作に関わる保険や固定資産税を負担しているのはリース会社となります。
その分の金額もリース料に含まれており、最終的な支払金額は賃貸借契約の店舗で開業する分よりも高額になるケースが多いです。
・開業したい業種や好みの内装がなかなか見つからないことも
リース店舗は、賃貸借契約の物件と比べるとそう多くはありません。
すぐ開業できるのがリース店舗のメリットですが、それは店舗が見つかった後の話です。
自分が開業したい業種のリース店舗や、見つかっても好みの内装ではない場合、物件を見つけるまでの時間がかかります。
・リース契約が満了となっても、内装造作が自分のものになるとは限らない
毎月リース料を支払って満了を迎えた場合、リース店舗の内装が自分のものになるわけではありません。
リース契約が満了になった時には、さらに契約更新をするか、リース終了になるかのいずれかを選ぶのがリース契約の恒常です。
店舗営業が長くなればなるほど損をしてしまうことにもなってしまうのが、リース店舗のデメリットです。
ただ、リース会社によっては買取などの相談にのってくれるところもあるので、必ず契約前に満了後の内装造作の所有権について予め確かめることをおすすめします。
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リース店舗の開業に向いているケース
・目標の開業資金を用意できないが店舗を開業したい
リース店舗の大きなメリットは、開業資金が少なくても開業できる点です。
そのため、銀行や日本政策金融公庫から目標の金額を借りられなかった場合などでも、リース店舗であれば開業することができます。
・店舗を長期的に営業する予定がない
ここでいう長期的とは数十年の年月を指します。
リース店舗はリース期間が満了になっても所有権はリース会社となり、自分のものになりません。
そのため、長期的に店舗を営業していけばいくほど支払額が増えて損をしてしまいます。
自分の代だけで終わりにするのではなく後継者を雇って長期的に営業したい、と考えている人にはリース店舗は向いていません。
ただし、長期的に考えているけれど軌道にのる事業かわからないので試してみたい、と考えている方にはリース店舗は向いています。
軌道にのって資金が貯まってから自分の店舗を持つというのも、1つの選択肢です。
リース店舗について まとめ
リース店舗は、物件取得費や内装費用がかからないため、開業資金を各段に抑えることができます。
店舗の開業資金に悩む店舗オーナーの方は、リース店舗での開業も視野に入れるとぐっと開業のハードルが下がります。
賃貸借契約の店舗物件と比べると情報量も少ないですが、今後手軽に開業できる方法として浸透してくると思われます。
ただし、リース店舗は毎月のリース料の支払いが生じるため、月の固定費がその分上乗せになる、また途中解約の際には残金や違約金を支払うことになるなどのデメリットもあります。
店舗の運営は開業がスタートです。
今後の運営も含めて、自分がどういう店舗を営業したいのか事業計画をしっかり立ててリース店舗にするのか、賃貸借契約を結ぶのか検討しましょう。