スマホの普及により、どこか飲食店で食事をした時に、気軽に料理や店内の内装の写真を撮ってSNSなどネット上にアップすることが当たり前になりました。
特に人の目を引きつけるような個性的だったりおしゃれな内装の写真は拡散されやすく、そのようなネットの飲食店の写真を見て、行きたいと思ったり実際にその飲食店を訪れたり、という経験がある人も多いのではないでしょうか。
飲食店にとって、内装にこだわることは以前にも増してより高い宣伝効果を生み出すものとなっているのです。
飲食店が繁盛するかどうかは提供する料理だけではなく、その飲食店の内装も重要な決め手です。
ただ、飲食店の内装に力を入れすぎると、その分内装費用がかさんでしまいます。
予算は限りあるものでいくらでもつぎこめる経営者は少ないでしょう。
そのため、内装費用を抑えるところ、逆に費用をかけるところのメリハリをつけることが大切です。
Contents
飲食店の内装費用について
飲食店にとって内装にこだわることはとても重要ですが、あまりにもこだわりすぎると内装費用がかさみ予算オーバーということになりかねません。
飲食店の開業資金の予算と兼ね合わせた内装をしっかり検討することが大切です。
ただ、初めて飲食店を開業する場合、予算をたてるのも相場などわからずかなり困難な作業です。
そのために飲食店の内装費用についてしっかりと知識をつけましょう。
飲食店の内装費用の平均はどのくらい?
飲食店を開業するための開業資金は、一般的に1,000万円が必要とされています(日本政策金融公庫調べ)。
その開業資金の中でも、飲食店の内装費用は約40%かかります。
単純計算ですが、飲食店の内装費用に400万円前後の資金が必要になり大きな金額が動くことがわかるかと思います。
ただ、この金額はあくまでも開業資金の平均から計算した金額です。
飲食店の内装費用は坪単価の計算になり、坪単価平均で20万円~60万円といわれています。
また、広さだけではなく営業する飲食店の業種や物件によっても変わってくるため、一概に飲食店の内装費用の平均値を出すことはできません。
広さや業種によっては1,000万円超える場合もあります。
そのため、飲食店の内装費用の予算を自分で計算しづらいのです。
飲食店の業種による内装費用の違い
飲食店を開業するといっても、カフェ、レストランから居酒屋、焼き肉屋、ラーメン屋と飲食店の業種は多岐に渡ります。
飲食店の内装費用は業種によってもかなり変動があります。
飲食店の業種別 内装費用の平均坪単価
カフェの内装費用 20万円~50万円
レストランの内装費用 25万円~70万円
ラーメン屋の内装費用 30万円~80万円
和食屋の内装費用 30万円~80万円
焼肉屋の内装費用 20万円~150万円
内装費用の平均の金額にかなり幅があるのは、飲食店の店舗物件がスケルトン物件か居抜き物件かによって内装費用が大きく異なるためです。
飲食店の内装費用は厨房設備に関する費用の割合が大きく、ラーメン屋の麺茹で機のように独自の厨房設備を必要とする場合、内装費用がかさむ傾向にあります。
特に焼肉屋は各テーブルに焼くための七輪やコンロの他、煙を逃がすための配管ダクト、空調設備などいろろな設備が必要なので、その分内装工事は高額になります。
開業する飲食店の業種によっても内装費用はかなり変わるので、どんな飲食店を経営したいかしっかり検討しましょう。
飲食店の内装費用を節約するには居抜き物件がおすすめ
飲食店の開業をするにあたり物件を探すと、スケルトン物件と居抜き物件の2種類あります。
スケルトン物件とは、設備や内装などがすべて取り払われていて、壁と床、柱のみ残されたコンクリート打ちっぱなしの状態の物件です。
対して居抜き物件は前の飲食店の設備や内装がそのまま残された物件です。
一般的に残された設備がそのまま使える居抜き物件の方が内装費用は安く済むと言われていますが、それぞれメリット、デメリットがあるので注意してください。
スケルトン物件のメリット
厨房や客席など自分の自由に飲食店のレイアウトができる
スケルトン物件は、柱や床だけの骨組みで他の設備が全くないコンクリート打ちっぱなしの状態の物件です。
そのため、厨房設備や空調設備、客席など好きなようにレイアウトできるため、すでに飲食店の具体的なイメージが出来上がっていてそれを実現させたい人や、飲食店の内装にこだわりのある方におすすめです。
飲食店のすべての内装設備を新品で揃えることができる
スケルトン物件では、飲食店に必要な冷凍冷蔵庫やガス台、作業台、またエアコンなどの空調設備などすべて自分で用意する必要があります。
新品で購入すると、その分最新の機能がついていて便利です。
また、故障の際の保証などもはっきりしており管理しやすく、万が一設備が壊れた時にも安心です。
スケルトン物件のデメリット
内装費用が高額になる
スケルトン物件の場合、設備を一から用意しなければいけないため内装費用が高額になります。
飲食店の内装費用の内訳で最も費用がかかるのが、ガス台や冷凍冷蔵庫などの厨房設備です。
新品で揃えるとかなり高額になるので、中古やリースで厨房設備を用意して費用を抑えることも検討するといいでしょう。
開店まで時間がかかる
スケルトン物件は長期間の内装工事が必要です。
そのため飲食店の開店まで時間がかかります。
開業まで時間がかかると、売上がないのに飲食店の賃料を払わなければいけない期間が長くなることが何よりのデメリットです。
居抜き物件のメリット
残されている設備や内装を使えるので内装費用の節約になる
居抜き物件の最大のメリットは、残された設備をそのまま使えるため、内装費用を抑えることができます。飲食店の内装費用で最もお金がかかるのが厨房設備です。
調理台やガス台などが残されていれば、新しく買う必要がないのでかなりの内装費用の節約になるでしょう。
ただし多くの居抜き物件では、設備の譲渡費用として「造作譲渡料」を支払う必要があります。
一から新品で揃えるよりは安い金額ですが、居抜き物件に残された設備は無料で使えるわけではないので注意してください。
また、造作譲渡料は交渉の余地がある金額です。後ほど造作譲渡料の交渉についてお話します。
工事期間が短いので早く開業ができる
居抜き物件の場合、残されている設備や配管、空調などがそのまま使えれば、工事期間をかなり短縮することができます。
早く飲食店を開店できれば、その分無駄な賃料を払う期間も短く済み、飲食店の売上もその分早く得ることができます。
居抜き物件のデメリット
残されている設備が古くて使えない場合がある
設備が残されていることによって内装費用がかなり節約できますが、中古品であることに変わりはありません。
また飲食店は清潔さが求められるため、あまりに古い内装や設備だと設備を撤去して新しいものを導入しなければいけないこともあります。
そうすると撤去費用がさらにかかり、場合によってはスケルトン物件よりも高額の内装費用がかかることも。
居抜き物件は、しっかりと内覧して設備や内装をチェックすることが重要です。
前の店舗の閉店理由が影響することも
居抜き物件を利用して飲食店を開業すると、周辺の住民からは前の飲食店のイメージが残ってしまう場合があります。
居抜き物件を利用して開業する場合、前の飲食店がなぜ閉店になったのかしっかりと理由を尋ねましょう。
飲食店の内装費用を少しでも抑えるコツ
飲食店の内装費用を節約するポイント3つを紹介します。
スケルトン物件よりも居抜き物件を選ぶ
一から自分で飲食店を作り上げることができるスケルトン物件はとても魅力的ですが、その分費用がかかります。
居抜き物件を契約できれば、設備や内装をそのまま利用できるので内装費用を抑えることができます。
もともと焼肉屋だった居抜き物件に焼肉屋を開業すれば、厨房や冷凍冷蔵庫、空調設備などほとんどを使うことができ、新たに購入する必要がありません。
飲食店は、厨房設備が最も内装費用がかかります。
そのため、居抜き物件を選ぶときには、前の店舗が同業だったところにするとかなり節約につながります。
居抜き物件の造作譲渡料は交渉の余地あり!
居抜き物件の設備などを引き取るための「造作譲渡料」についてです。
この金額は、設備の価値だけではなく物件の価値によっても変わってくるといわれています。
しかし、実は明確な基準はありません。
最終的に前店舗のオーナーが設定しているものなので、実は交渉の余地があるのです。
店舗の撤退は解約通知から6か月間と決められています。
6ヵ月経っても次のオーナーが見つからない場合には、前オーナーはすべて撤去してスケルトン状態で物件の管理者に明け渡さなければいけません。
スケルトンに戻すには撤去費用や解体費用などの費用がかさむため、造作譲渡料を安くしても次のオーナーに引き渡したいと考えることがほとんどです。
なので、一般的に造作譲渡料は明け渡しの6か月目が近づくにつれてどんどん値が下がります。
そのため残り期間が少なければ交渉次第で造作譲渡料を下げられることもあります。
まずは前オーナーと交渉してみましょう。
ただ、いい物件だと交渉しているうちに他の人に取られてしまうこともあるので、造作譲渡料の交渉に長い時間をかけることは避けた方がいいかもしれません。
複数の内装業者から相見積もりを取って比較しよう
内装業者に依頼する時には、まず複数の業者に見積もりを依頼しましょう。
複数の内装業者に見積もりを依頼することで、自分の飲食店の内装費用の平均値がつかめてきます。
内装業者によっては、数十万円や数百万円単位で見積もり金額がかわってくる場合もあるでしょう。
金額だけにとらわれず、見積もりのどの項目の金額が違うかなどしっかり比較することが大切です。
安いだけがいい内装業者ではありません。
対応や施工内容などから判断して、飲食店の内装の経験豊富な信頼できる内装業者に依頼しましょう。
最後に 飲食店の内装費用に困ったらリースも視野にいれてみましょう
内装費用は極力抑えたいけれど、あまりにも節約しすぎてしまうと店舗内装に特徴がなくなり、他の飲食店との差別化ができなくなってしまいます。
人気の飲食店になるにはそのお店の個性を生かした内装が欠かせません。
あともう少し資金があれば理想の飲食店ができるのに、と思ったら、内装費用のリースを使うのも1つの方法です。
飲食店の内装は1度工事が完了すると簡単に変更はできません。
飲食店の内装費用に悩んだら、飲食店の開業サポート経験のある資金のプロに相談して少しでも資金の悩みを解決するのがおすすめです。