焼肉屋のダクトをどのように選べばいいだろうかがわからない、ダクトを設置する費用を知りたい。
焼肉屋をオープンさせる時、このような悩みを抱える人もいるでしょう。
そこで、今回は焼肉屋のダクト選びを解説します。
ダクトがなければ店内が匂いで充満し、顧客が離れるリスクがあるため設置は必須です。
Contents
焼肉屋のダクトの種類
焼肉屋のダクトには種類が5つあります。
- SA(Supply Air)
- EA(Exhaust Air)
- OA(Outdoor Air)
- RA(Return Air)
- SEA(Smoke Exaust Air)
それぞれ役割が違うため、ここで焼肉屋のダクトを詳しく見てみましょう。
SA(Supply Air)
SA(Supply Air)は、日本語にすると給気ダクトです。
主な役割は、空調機から屋内へ空気を送り込み、SAとは逆のRA(Return Air)と呼ばれる換気ダクトと共に室内の空気入れ替えのために用いられます。
思ったほど吸ってくれないと換気がうまくできないケースもあるため、排気量に合わせた給気口が必要です。
また、必要に応じて冷風や温風を流せるタイプもあります。
EA(Exhaust Air)
EA(Exhaust Air)は排気ダクトのことで、基本的には室内の空気を外に排出するために設置するものです。
そのため、空気の流れは一方通行になります。
厨房だけではなく、匂いや煙がフロアに流れることや、店外への漏れ出すのを防止する役割を持っているので必ず設置しなければなりません。
OA(Outdoor Air)
OA(Outdoor Air)は外気取り入れダクトで、屋外から外気を取り込む役割を持つダクトです。
外の空気を取り込むため、虫やゴミが入り込まないように金網が取り付けられています。
また、大きな寸法のものは鉄板製でなくコンクリートダクトにして建物外壁面や独立した形で設ける場合も多いです。
RA(Return Air)
RA(Return Air)は、給気とは逆に屋内から空調機に空気を引き込む還気ダクトを指します。
屋内から空気を循環させる役割で、SAと対になるダクトです。
双方なければ意味を成しません。
SEA(Smoke Exaust Air)
SEA(Smoke Exaust Air)は排煙ダクトを指しており、火災発生時に煙を屋外に排出し延焼を防ぎます。
火災発生時に使用されるため、火災警報器や煙拡散防止シャッター、スプリンクラーなどと連動して作動する仕様になっているケースがほとんどです。
万が一のとき、排煙ダクトがあれば素早く有害な煙を外へと出すことができて、一酸化炭素中毒などのリスクを軽減できます。
無煙ロースターとは?
肉を焼くと煙が出てしまいますが、無煙ロースターがあれば煙の発生を抑えられます。
煙だらけで衣服に臭いがついてしまうと客が離れる可能性もあるため、焼肉屋は無煙ロースターを導入することが多いです。
これから焼肉屋をオープンする場合やまだ未導入ならば、無煙ロースターを検討するといいでしょう。
無煙ロースターの種類
無煙ロースターにはダクト式とノンダクト式の2つの種類があります。
ここでは2つの無煙ロースターについて詳しく見てみましょう。
ダクト式無煙ロースター
ダクト式無煙ロースターは、煙を焼き台近くの排気口から吸ってダクトで屋外に逃がす方法で排気しており、排気ルートを定期的にメンテナンスすることで安定した排煙効果を得られる特徴があります。
ロースターと屋外に設置した排気ファンとダクト管を接続し、天井や床下に設置された排気ダクトから煙を排気ファンの吸引力で屋内から屋外へ排出可能です。
バリエーションも多く、デザイン性に凝ったものもあり、使い勝手やコスト面からも多くの焼肉屋にダクト式無煙ロースターが採用されています。
ダクト式無煙ロースターには、天上から下りてきたフードを通して煙を上に吸い上げる上引きフードタイプと、無煙ロースターテーブルで吸気した煙を、床下に通した排気ダクトから店の外に出す下引きフードタイプがあるため、コストやデザインを考慮して選ぶといいでしょう。
ノンダクト式無煙ロースター
ノンダクト式無煙ロースターは、発生する煙をロースター内部の電気集塵機を通過させて煙を吸着し、フィルターを通過させて臭いを軽減させます。
排気ダクトを設置する必要がないのでダクト式と比較すると厨房設備費を削減し、ダクトを設置するスペースを無くせるため店舗の空間を広く使用できるのが特徴です。
また、煙を処理する機能が無煙ロースターのテーブル内に組み込まれているので自由に移動でき、その場に応じたレイアウト変更もできます。
焼肉屋のダクトの選び方
焼肉屋のダクト選びで重要なポイントは、以下3点です。
- 内部のメンテナンスができる
- しっかり排気できる
- 交換部品が製造されている
理由を詳しく見てみましょう。
内部のメンテナンスができる
長期間稼働しているダクトには、油汚れが付着し衛生的でないだけでなく満足いく効果がありません。
そのため、自分たちで定期メンテナンスができるダクトを選びましょう。
とくに焼肉店ではテーブルごとにダクトを取り付けるケースが多いため、メンテナンスに時間を要します。
メンテナンスの煩雑さを少しでも解消するためには、可能な限り構造がシンプルで取り外しが容易なダクトを選ぶといいでしょう。
しっかり排気できる
しっかり排気できないダクトであれば導入しても意味がありません。
製品情報を見比べて排気・排煙機能を持っているダクトを選びましょう。
また上記で説明した通り、焼肉屋のダクトには様々な種類があるため、それぞれの用途に合ったものを選ぶことも重要です。
もちろん業者との相談も大切ですが、自身でダクトの重要性と役割を知っておく必要があります。
交換部品が製造されている
交換部品が製造されていないダクトを選ぶと、もし故障した場合はダクトを修理できなくなり、最悪の場合は新しいものを購入して設置しなくてはいけない可能性もあります。
ダクトの設置には費用が掛かりますので、交換部品がないものを選んでしまうと故障時にどうにもしようがありません。
初期投資を抑えたくて中古品のダクトを選んでしまう人もいるかもしれませんが、故障時のリスクも考えておくといいでしょう。
焼肉屋のダクトの設置費用相場
焼肉屋のダクト設置費用相場は、130~250万円です。
内訳は、無煙ロースター設置工事が約20~30万円(機材1台あたりの価格・取り付け工事込)、吸煙設備取り付け工事が、約10~20万円(機材1台あたりの価格・取り付け工事込)、そして店内全体のダクト工事が約100~200万円となります。
決して安いものではありませんが、ダクト設置は重要なので費用が掛かるものと覚悟しておくといいでしょう。
焼肉屋のダクトの設置にかかる期間とは?
焼肉屋のダクト設置にかかる期間は、店舗の広さと居抜きか新店舗かによって変わってきますが、1~3日程度で可能でしょう。
ただし、たとえば屋上までダクト工事が必要など内容によって設置期間も変わってきますので、必ず業者との確認が必要です。
とくに新店舗の場合はダクト以外の工事との兼ね合いもあるため、ダクト工事だけを考えないようにしましょう。
焼肉屋にダクトを設置する際の注意点
焼肉屋にダクトを設置する注意点は、以下3点です。
- 作業範囲を確認する
- 周辺住民の迷惑にならない排煙場所を確認する
- 休業期間を事前に確認する
それぞれ内容を見てみましょう。
作業範囲を確認する
ダクト設置をする前に作業範囲を業者に確認しましょう。
たとえば、フィルター設置は別料金という場合もあり、どこまで見積費用でやってもらえるかを確認しないと、トラブルに発展する可能性があります。
見積もり段階でどこまで依頼したいかを明確にしておくといいでしょう。
周辺住民の迷惑にならない排煙場所を確認
排煙場所が周辺住民の迷惑になってしまったら、せっかく設置してもやり直さなくてはならなくなるかもしれません。
周辺住民とのトラブルを避けるためにも事前確認をしっかり行い、迷惑を掛けない位置に排煙するようにダクトを設置しましょう。
休業期間を事前に確認する
すでに開業している店舗にダクトを設置する場合、ダクト工事には複数日かかるので店舗を休業することが必要になります。
そのため、工事を実施する際には業者に事前に工事にはどのくらいの期間を要して、店舗としては何日程度休業すればいいのかを確認しましょう。
焼肉屋はダクト設置義務がある?
焼肉屋に限りませんが、人が出入りする建物に排気ダクトの設置は法律で義務付けられています。
また、その他のダクトもなければ肉を焼いた煙で充満してしまうため取り付けるべきです。
また、排煙ダクトも安全のため必要です。
ダクトはなくてもいいのではなく、焼肉屋を営む場合、ダクトは必須なものと考えておくといいでしょう。
焼肉屋にダクトを設置するメリット
焼肉屋にダクトを設置するメリットは以下になります。
- 火災防止
- 店内に匂いが充満しないようにする
- 匂いで集客する
それぞれ詳しく見てみましょう。
火災防止
ダクトがあれば空気の換気を行い、肉を焼いた煙を排煙し、常に店内をきれいに保てるため火災を防げます。
しかし、排気ダクトが汚れていると逆に火災に結び付く場合もあるので、清掃には気を配りましょう。
店内に匂いが充満しないようにする
ダクトがあれば店内に匂いを充満させないので、清潔感ある店内を維持できます。
とくに匂いが服についてしまうと客からの評判も落ちるため、匂いを充満させないようにダクトを設置するといいでしょう。
匂いで集客できる
ダクトで匂いや煙を外に出すと集客につながります。
これは、美味しい匂いにつられて客がくるからです。
集客狙いでダクトを設置するのも1つの理由になるでしょう。
まとめ
煙と匂いを店内から排出し、クリーンに保つダクトは焼肉屋に必須といっていいでしょう。
ダクトにも種類があるため、それぞれの役割を頭に入れて業者と打ち合わせしてください。
また、取り付けには工数がかかるため、オープンに間に合わせるにはいつ工事をすべきかなど見定めておくといいでしょう。