2019年10月に消費税が10%になり、日々の生活でも大きな変化となりましたが、会社の経営にとっても消費税は重要な問題です。
特に起業したてで経営が安定していない時期はできるだけ節税し、経営を軌道に乗せていきたいところです。
特に消費税は多くのものに課税されているため、ここが免除になれば助かると思う方も多いのではないでしょうか。
実は消費税は免税になる場合もあるのです。
そこでこの記事では、消費税の免税やその他届出などについて紹介していきます。
目次
会社を設立してからの消費税の免除期間
消費税は起業して2年間免除になるケースがあります。
2011年の税制改正で要件が少し厳しくなったものの、これから説h4明する要件を満たしていれば免除になります。
会社設立をして消費税が免除できるケース
消費税の納入義務がある課税事業者となる基準は、基準期間の課税売上高が1000万円以上であるということが原則となっています。
そして、この基準期間というのは2期前の期間を指しますが、会社を設立したてであれば2期前の基準期間がないので、課税売上高も0円となるため、会社設立の1期目は基本的に消費税が免除となるのです。
しかし、以下で詳しく説明しますが、資本金が一定額を超えた場合は免除とならず、また、2期目に関してはそれに加えて条件があるので、しっかり要件を確認しましょう。
そして、個人事業主から法人化した場合も過去の実績がリセットされるため、条件に合えばこの消費税免除の制度をうけることができます。
会社を設立しても消費税が免除にならないパターン
会社を設立して1期目は基本的に消費税が免除になると述べましたが、1期目から免除にならない場合や、1期目次第で2期目が免除にならない場合もあります。
1期目から免除にならない場合
・資本金が1000万円以上の場合
消費税免税事業者制度は、消費税法第9条「小規模事業者に係る納税義務の免除」に規定されており、その名の通り小規模事業者が対象となっているものです。
そのため、資本金が1000万円以上であれば小規模事業者とはみなされないため、会社設立の1期目から消費税納入の義務が生じるのです。
とはいえ、この資本金とは純粋に資本金のみを指します。
そのため、例えば自己資産が2000万円あった場合、全てを資本金としてしまうと基準額を超えてしまいますが、999万円を資本金として、残りの1001万円を会社へ貸し付けたという形にすれば、資本金を基準額以内に収めることができます。
また、会社法で「出資金の半分までは資本金に組み入れない」と定められているので、出資金の一部を資本準備金にすることで、資本金を低くすることも可能です。
具体例を挙げると、1998万円を出資金とすると、999万円を資本金、999万円を資本準備金とできるので、資本金を1000万円以内に収めることができます。
・大企業のグループ会社が出資した場合
大企業のグループ会社に出資してもらい新規設立した法人は、特定新規設立法人となり1期目から消費税を納税する義務が生じます。
ここでいう大企業とは課税売上高5億円以上の法人で、出資とはこの法人が当該の新規設立法人の株式を50%以上保有しているという意味になります。
ただ、この株式保有のルールや基準が複雑なため、気になる場合は税理士などに相談した方が良いでしょう。
・課税事業者選択届を提出した場合
次の項目で説明するように、消費税を納入した方が得になる場合もあるので、そう言ったケースでは1期目から免税になりません。
2期目から免除にならない場合
・期の開始前に増資し、資本金が1000万円を超えた場合
先ほど資本金が1000万円以下であることが免税となる条件であると述べましたが、1期目は資本金を1000万円以下にしていても、途中で増資して1000万円を超えてしまった場合は免税対象から外れてしまうので、増資のタイミングには気をつけた方が良いでしょう。
・特定期間の売上高が1000万円以上
特定期間とは、法人の場合、全事業年度開始後6ヶ月間を指します。
この間の売り上げが1000万円を超えた場合は、消費税納税の義務が生じます。
・特定期間の給与等支払額が1000万円を超えた場合
給与の支払額が1000万円を超えた場合も消費税が免税されなくなりますが、例えば給与の一部を下期のボーナスで支払う、外注費にできる業務委託を活用するといった処理の仕方によっては1000万円以下に抑えることも可能です。
消費税を免税する際の注意点
以上のような条件をクリアすれば、会社設立から2年間消費税が免税されます。
しかし、そもそも法人の消費税納税とは、売り上げで消費者から預かった消費税(売上税額)から仕入れなどで払った消費税(仕入税額)を引いたものになります。
つまり、売上税額より仕入税額の方が多い場合、逆に差額分が返金されるのです。
そして、これは消費税が免税されている事業者は対象とならないので、初期投資が大きい場合、消費税課税対象となった方がメリットがある場合もあるのです。
とはいえ、一度課税事業者を選択してしまうと2年あるいは3年の縛りが生じ、基準期間の課税売上高が1000万円以下でも消費税を納税することになってしまいます。
そのため、特に初期投資が高額となった場合、課税事業者となるかどうかは慎重に趣味レーションする必要がありますが、こういった計算には税の専門的な知識が必要なため、税理士などに相談する方が良いでしょう。
消費税の計算方法
消費税の計算方法は2種類あります。
原則の消費税計算と簡易課税制度の消費税計算です。
詳しい計算方法は以下で説明しますが、どちらが得になるかはケースバイケースなので、事前に計算する必要があるでしょう。
原則の消費税計算
原則の消費税計算は以下の式になります。
(課税売上高×10% or 8%)−(課税仕入高×10% or 8%)=納付税額
この場合、売上の分も仕入れの分も、全ての消費税の区分を判定しなければいけないため、事務の負担が増えてしまうというデメリットがあります。
簡易課税制度の場合の消費税計算
簡易課税制度の場合、原則の消費税計算とは全く異なる式になります。
(課税売上高×10% or 8%)−((課税売上高×10% or 8%)×みなし仕入率)=納付税額
この場合、本来払った仕入に係る消費税を計算する必要はありません。
売上に係る消費税を計算し、それにみなし仕入率を掛けるだけです。
みなし仕入率に関しては、以下の項目で述べます。
では、この簡易課税制度にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
簡易課税制度のメリット
計算が簡略化できるため、事務の負担を軽減できる
簡易課税制度を選択した場合、仕入に係る消費税を計算しなくても良いため、経理上の手間は大幅に省けます。
また、売上金を元に計算しているため、期内に大体の納税額を推定できることもメリットと言えるでしょう。
経費が少ない法人は得になる場合が多い
みなし仕入率は概算で設定された割合なので、それよりも実際に掛かった経費が少ない場合は得になる場合もあります。
簡易課税制度のデメリット
事業形態によっては逆に計算が複雑になる
みなし仕入率は業種によって異なるため、いくつかの業種を一つの法人で行っている場合はかえって計算が複雑になるケースもあります。
また、複数事業を行っている法人は特例計算をする必要があり、それによって計算が煩雑になってしまうこともあります。
経費が多い場合は損をする場合もある
簡易課税制度だと、実際に使った経費は計算されないため、設備投資などで経費が多く掛かった場合は逆に損をしてしまう可能性もあります。
簡易課税制度が対象になる場合とその手続き
簡易課税制度は、この制度を受けようとしている期間の基準期間の売上が5000万円以下であれば選択することができますが、適用を受けたい期間の開始日前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。
また、一度届出を出すと原則として2年間は簡易課税制度が適用になるので注意が必要です。
みなし仕入率
みなし仕入率は原則として以下の区分になります。
事業形態 | みなし仕入率 | 業種 |
---|---|---|
第一種事業 | 90% | 卸売業 |
第二種事業 | 80% | 小売業、農林水産業(食用) |
第三種事業 | 70% | 鉱業、建設業、製造業、農林水産業(非食用) |
第四種事業 | 60% | 飲食店業(1、2、3、5、6、以外の事業) |
第五種事業 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業、サービス業 |
第六種事業 | 40% | 不動産業 |
消費税に関する届出について
以上のように、簡易課税制度を利用するにも届出を提出する必要がありますが、そのほかにも消費税に関して様々な届出があります。
消費税課税事業者届出書
基準期間における課税売上高が1000万円を超えた場合、事由が生じた時点で提出する必要があります。
消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書
基準期間における課税売上高が1000万円を下回った場合、事由が生じた時点で提出する必要があります。
消費税課税事業者選択届出書
本来基準期間における課税売上高が1000万円以下であれば消費税は免税されますが、これまで述べたように課税事業者となった方が得をする場合があるので、その場合はこの届出を出せば課税事業者となることができます。
消費税課税事業者選択不適用届出書
上の届出を提出し、課税事業者となっていたけれど、それを取りやめたい場合提出する届出です。
ただし、事業を廃止した場合以外は課税事業者となった日から2年間は免税事業者となることはできません。
消費税の新設法人に該当する旨の届出書
基準期間がない新設法人でも、資本金が1000万円を超えた場合はこの届出を提出し、消費税を納税する必要があります。
ただし、法人設立届出書にその旨が記載されていれば、この届出を提出する必要はありません。
消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書
上の項目で説明した「大企業のグループ会社が出資した場合」にあたります。
この場合も事由が生じた時点で提出する必要がありますが、法人設立届出書を出した際に、所要の事項が記載されていた場合は提出する必要はありません。
消費税簡易課税制度選択届出書
上の項目で説明したように、簡易課税制度の適用を望む場合はこの届出書を提出する必要があります。
新規に開業した事業者は、開業した課税期間の末日までにまでにこの届出を提出すれば開業した日が属する課税期間からこの制度の適用をうけることができます。
消費税簡易課税制度選択不適用届出書
上の届出を提出し、簡易課税制度の適用を受けていた事業者がその適用を取りやめる場合、もしくは事業を廃止した場合提出する届出です。
ただし、事業を廃止した場合をのぞいて、簡易課税制度の適用を受けてから2年以内は取りやめることはできません。
任意の中間申告書を提出する旨の届出書
直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない年税額)が48万円以下の事業者は中間報告の義務はありませんが、この届出を出して自主的に中間申告、納付することができます。
提出期日は、この適用を受けようとする6月中間申告対象期間の末日となっています。
任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書
上の書類を出した事業者が任意中間報告の取りやめを行う場合に提出する届出書です。
提出期日は、この適用を取りやめようとする6月中間申告対象期間の末日です。
消費税課税期間特例選択 ・変更届出書
消費税の課税期間は、法人であれば通常は事業年度になりますが、3月または1月ごとに区分した期間に短縮したい場合、この届出を提出します。
提出期日は、この特例の適用を受けようとする「短縮に係る課税期間(3月または1月ごとに区分した期間)」の初日の前日になります。
ただし、新規開業事業者の場合、この届出を出した日の属する3月または1月ごとに区分した期間から、この特例の適用を受けることが可能です。
また、この特例の適用を受けた場合、事業を廃止した場合以外、特例の効力が生じた日から2年間は他の課税期間の特例を受けることができないので注意が必要です。
消費税課税期間特例選択不適用届出書
上の届出を出し、特例の適用を受けていた事業者がその取りやめを申請する時に提出する届出です。
なお、事業年度の途中でこの特例の取りやめを申し出た場合、その適用しないこととした課税期間の開始日以降、その事業年度が終了する日までが一課税期間となります。
消費税課税事業者選択 (不適用 )届出に係る特例承認申請書
やむを得ない事情により、期限内に「消費税課税事業者選択 (不適用)届出」を提出できなかった場合、この届出と「消費税課税事業者選択 (不適用)届出」を出せばその課税期間から消費税課税事業者を選択あるいは選択をやめることができます。
提出期限はやむを得ない事情がやんだ日から2カ月です。
また、この場合のやむを得ない事情とは以下を指します。
- 震災、風水害、雪害、凍害、雷害、雪崩、崖崩れ、地滑り、火山の噴火などの天災および火災やその他人災で自己の責任によらない事由により届出の提出が困難であったことが認められる場合
- 上記の災害に準ずるような状況あるいはその事業者の責任に起因しない事由で届出が提出できない状態であったことが認められる場合
- その課税期間の末日前(約1カ月)以内に相続があったことにより、その相続人が新たに届出を提出できる個人事業者となった場合
- 以上に準ずる事情で提出が困難であったことが税務署長に認められた場合
消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書
上述と同様のやむを得ない事情により期限内に「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出」を提出できなかった場合、この届出と「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出」を提出すれば、その課税期間から消費税簡易課税制度を選択あるいは選択をやめることができます。
提出期限は止むを得ない事情がやんだ日から2カ月となります。
災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書
災害などやむを得ない事由によって被害を受けた事業者が、その被害を受けたことにより、災害などの生じた日の属する課税期間等について、消費税簡易課税制度の適用および不適用の選択を希望する場合提出する届出です。
この届出を提出することにより、災害の生じた日の属する課税期間等の初日の前日に「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出」したものとみなされ、その課税期間から消費税簡易課税制度の適用あるいは不適用を受けることができます。
この届出は、災害などやむを得ない事由がやんだ2カ月以内に「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出」と合わせて提出する必要があります。
このような届出は条件が適用される期間や提出期限、条件などそれぞれ異なる場合もあります。
また、情報が更新されることもあるので国税庁HPや税務署の発行する一覧表などを確認するようにしましょう。
また、わからないことがあれば、税務署や税理士に問い合わせた方が安心です。
新型コロナウイルスによる消費税などの対応措置
昨今の新型コロナウイルスの流行により、経済的な打撃を受けた事業者も多いことでしょう。
そのような事業者に向けた消費税などの特例制度があります。
納税を猶予する特例制度
新型コロナウイルスの影響により、事業の収入が前年同期に比べて20%以上減少し、一時的に納税が困難となっている場合、1年間、国税の納付が猶予されます。
担保は不要で、延滞税もかかりません。
現時点では令和2年2月1日から令和3年2月1日までに納期限が到来する国税が対象となっており、基本的に申請は締め切られました。
ただし、緊急事態宣言の発令による事務作業の遅延や納税者自身の新型コロナウイルス感染などのやむを得ない事情がある場合、この特例の申請が受け付けられることもあるので、所轄の税務署の徴収担当に問い合わせてみましょう。
また、国税局猶予相談センターも問い合わせ先となっているので、悩んだ場合は早めに相談してみると良いでしょう。
課税選択変更に関わる特例
これまで説明した通り、本来であれば、消費税課税事業者を選択あるいはやめる場合、その課税期間の開始前に届出を提出する必要がありますが、新型コロナウイルスの影響を受けてこの変更を望む場合に限り、課税期間の開始後でも課税事業者を選択あるいはやめることができます。
この特例を受けられるのは、令和2年4月30日以降に申告期限が到来する課税期間において、新型コロナウイルスの影響により令和2年2月1日から令和3年1月31日までの期間内で1カ月以上の任意の期間の収入が著しく減少(前年同期比約50%)した場合で、その課税期間の申告日までに申請書を提出することが必要です。
また、この特例によって課税事業者になった場合、2年間継続する必要はなく、課税事業者を選択した課税期間の次の課税期間にその選択を取りやめることも可能です。
ただし、免税事業者になることができるのは、その課税期間の基準期間の課税売上高が1000万円以下の事業者に限ります。
欠損金還付の繰り戻しによる特例
この制度は消費税ではなく、法人税を対象としたものですが、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者への救済措置として特例が認められるようになりました。
欠損金の繰越し還元制度は、元々資本金1億円以下の中小企業にのみ適用されていましたが、適用対象企業が資本金10億円以下の企業にまで拡大されました(ただし、資本金が10億円を超える大企業の100%子会社などは除外されます)。
欠損金の繰越し還元制度とは、青色申告する法人で前年度は黒字でも、経営悪化などにより当年度赤字になった場合、前年度に納付した法人税の還元を受けることができる制度です。
適用されるのは、令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金になります。
手続き期限は、欠損金額が生じた事業年度の確定申告の期限までとなっていますが、新型コロナウイルスの影響で期限内の手続きが難しい場合は、個別対応してもらえる場合もあるので、税務署に相談しましょう。
また、新型コロナウイルスの直接的な影響により欠損金額が生じた場合は、災害損失欠損金の繰越しにより法人税の還元が認められる場合もあります。
災害損失欠損金の繰越し還元制度とは、災害によって損失が生じた場合、災害のあった日から1年を経過する日までの間に終了する事業年度または災害のあった日から6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた欠損金をその災害欠損事業年度開始の日の前の1年(青色深刻をする法人であれば2年)以内に開始した事業年度に繰り越して、法人税の還元を受けることができる制度です。
新型コロナウイルスの影響による欠損金には、
- 飲食業者の食材の廃棄損
- 感染者が確認されたことにより破棄することとなった器具や備品などの除去損
- 消毒のための支出
- 感染予防のためのマスクや消毒液
- 空気清浄機などの費用
- イベント等の中止によって破棄した商品の破棄損
などが該当します。
以上のような税制上の措置は随時更新される可能性があります。
また、細かい条件があったり、手続きの遅延が認められる場合もあるので、必ず財務省HP(新型コロナウイルス関連)や国税庁HP(新型コロナウイルス関連)で最新情報を確認すると共に、わからない場合は税務署や税理士に相談してみましょう。
消費税の申告と納付
ここまで消費税の免除や計算法、各種手続きについて説明してきましたが、次に実際に消費税を申告し、納付する際の方法などについてみていきましょう。
納税の期間
法人の場合、申告期間および納付期限は、事業年度終了の翌日から2カ月以内になります。
また、課税期間の短縮を選択している場合は、短縮した各課税期間が終了してから2カ月以内となります。
ただし、申告期限日が土日祝日に当たった場合、その翌日が期限になります。
申告を間違えた場合や忘れた場合
申告の内容を間違えていた場合
申告を提出した後に、計算間違いなど間違いが発覚した場合は、申告内容を修正することが可能です。
税額を多く申告していた場合は「更正の請求」を、少なく申告していた場合は「修正申告」を行うことになります。
また、どちらも確定申告書等作成コーナーで書類作成することができます。
修正申告は税務署から更正を受けるまでいつでもできますが、法定納限日の翌日から納付日までの期限について延滞税がかかることもあるので、なるべく早く提出しましょう。
さらに、国税庁や税務署から調査の通知を受けた後に修正をした場合や更正を受けた場合は、追加で納める税額の他に過少申告加算税または重加算税がかかることもあり、修正申告はなるべく早く行う、間違いのないように申告するということが肝心です。
また、更正の請求は法定申告期限から5年以内という期限があるため注意が必要です。
申告を忘れた場合
申告を忘れてしまった時もできるだけ早めに申告しましょう。
期限がすぎてからの申告を「期限後申告」といいます。
期限後申告をした場合や、申告をせずに税務署から所得金額の決定を受けた場合は、本来納める税金の他に無申告加算税または重加算税がかかることもあるので気をつけましょう。
また、期限後申告の場合、申告書を提出した日が納付期限となり、法定納付期限の翌日から納付日までの延滞税を合わせて納める必要があります。
ただし、災害などで納付が遅れた場合は、納付の猶予や期限の延長制度があるので、早めに税務署に相談しましょう。
消費税を納付する方法
納付の方法はいくつかあるので、自分にあった方法を選びましょう。
電子納税(e-tax)
電子納税(e-tax)を使えば、消費税以外にも全ての税目でダイレクト納付、インターネットバンキングによる納付が可能となります。
金融機関に行く必要がなく、いつでも払い込め、多額の現金を持ち歩く必要もないというメリットがあります。
電子納税(e-tax)を利用するには、届出の提出などの事前手続きが必要になるので、利用したい場合は早めに手続きを済ませておきましょう。
振替納税
振替納税の場合も手続きが必要です。
納期限までに所轄税務署または金融機関に口座振替書を提出しましょう。
この手続きは税目ごとに必要ですが、一度手続きを行えば、以後振替納付が使えるので手間が省けます。
クレジットカード納付
専用のWeb画面からクレジットカードで納付することもできます。
Web上で済むので簡単ですが、税額に応じた手数料がかかります。
また、金融機関や税務署窓口ではクレジットカードは使えません。
コンビニ納付
国税庁のホームページから納付に必要な情報をQRコードにして印刷すれば、コンビニで納付することが可能です。
コンビニであれば、夜間休日でも納付できる点がメリットです。
ただし、コンビニでの納付は30万円以下になっている点は注意が必要です。
窓口納付
納付書と現金を持っていけば、税務署や金融機関で納付することもできます。
ただし、申告書の提出後に納付書の送付や納税通知書などのお知らせはないので気をつけましょう。
以上のように、様々な納付法がありますが、それぞれメリット、デメリットがあるので、事前にきちんと確認してから期限内に納付することを心がけましょう。
消費税以外の法人にかかる税金
会社を運営するには消費税以外にも様々な税金がかかります。
それぞれ間違いのないように計算し、きちんと申告、納税しましょう。
法人税
法人税とは、普通法人税や協同組合等が事業によって得た利潤に課される税金です。
そのため、利益が出なかった年、すなわち赤字の年には納税する必要がありません。
また、税金を納める納税者と税金を負担する担税者が異なる消費税のような間接税とは異なり、法人税は直接税になります。
それゆえ、担税者である法人自身が税額を計算し、納税しなくてはいけません。
また、法人税は以下の3種類に分類されています。
各事業年度の利益に課される法人税
一般的に法人税として認識されているのは、この法人税でしょう。
これは、各事業年度の利益に課される税金です。
各連結事業年度の利益に課される法人税
この法人税は、グループ企業全体で法人税を申告する場合のものです。
退職年金積立金に課される法人税
この法人税は、退職年金業務などを行う信託会社や保険会社に課されるものです。
この場合、払い込まれた掛金はその年度に計上されますが、課税されるのは退職金や年金を払う時になります。
このようなタイミングのずれに対して課される法人税で、「特別法人税」とも呼ばれています。
そして、法人税の計算式は以下のようになります。
課税所得×法人税率−控除額=法人税額
課税所得とは「益金」から「損金」を引いて求めます。
この益金と損金とは、「売上」と「経費」と似ていますが、必ずしも一致するものではないという点に注意が必要です。
法人住民税
法人住民税も法人税と同じく、各事業年度の利益に対して課される税ですが、この場合は会社設立時に登録した事業所のある地方自治体の地方税となります。
この法人住民税は、以下の2種類から構成されています。
均等割
法人の従業員数や資本金など、規模に応じた税額が定められています(下記表参照)。
この税は赤字であっても課税される点は注意が必要です。
資本金 | 従業員数 | 道府県民税 | 市町村民税 |
---|---|---|---|
1000万円超から1億円以下 | 甘い | 赤色 | 赤色 |
50人超 | 12万円 | ||
1000万円超から1億円以下 | 50人以下 | 5万円 | 13万円 |
50人超 | 15万円 | ||
1億円超から10億円以下 | 50人以下 | 13万円 | 16万円 |
50人超 | 40万円 | ||
10億円超から50億円以下 | 50人以下 | 54万円 | 41万円 |
50人超 | 175万円 | ||
50億円超 | 50人以下 | 80万円 | 41万円 |
50人超 | 300万円 |
(注)東京23区内にある法人は市町村民税分も含んだ都民税を納付することになります。
詳しい税率などはこちらを参照ください。
法人税割
こちらは法人税額を基準に算出されます。
都道府県民税で法人税額の5%、市町村民税で法人税額の12.3%ですが、条例によってこの1.2倍まで課税することができ、多くの自治体では資本金が1億を超える法人などにこのように多めに課税しているようです。
法人事業税
法人事業税は、法人事業税と同じく、会社設立時に登録した事業所のある地方自治体の地方税です。
基本的に以下の表の基準で算出されますが、条例によって1.2倍まで課税することができるので、自社のある自治体に確認することか必要です。
所得 | 税率 |
---|---|
所得400万円まで | 課税所得の5% |
所得400万円超から800万円以下 | 課税所得の7.3% |
所得800万円超 | 課税所得の9.6% |
固定資産税
固定資産税は、会社設立時に固定資産として登録した土地、家屋、償却資産に対して課税されるものです。
土地や家屋などはそのままの意味ですが、償却資産は具体的に思い浮かばないこともあるかもしれません。
これは、時間の経過とともに価値が減少する資産のことで、具体的にはOA機器や大型特殊車両、機械設備などといった事業で使う設備などが該当します。
納期は、4月、7月、12月、2月の4回(ただし東京都は、6月、9月、12月、2月)になります。
固定資産税の計算は、土地、家屋、償却資産のそれぞれで評価方法が異なり、減額制度も様々あるので、困った場合は税理士などプロに相談すると良いでしょう。
税金のことは税理士に相談すべき?
このように消費税やそれ以外にも様々な税金があり、それぞれ必要な手続きや計算方法が異なります。
税金に関してわからないことがあった場合、相談するのはやはり税金の専門家である税理士でしょう。
では、税理士は実際にどのようなことをしてくれるのでしょうか。
税理士が行ってくれること
決算書や確定申告の書類作成
決算書や確定申告書類の作成など税務処理は、会社を経営する上で必須業務の一つです。
もちろん、自社の決算を知ることは今後の経営方針を決める上で重要な指針になるので、経営者自身もしっかりと把握していることが求められますが、細かな法律や手続きの変更などを常にアップデートすることは大変です。
そのため、専門家である税理士に書類の作成を任せれば、早く正確にできる上に、その時間を他の業務に当てることができます。
そして、こういった税務代行や税務書類の作成は、税理士資格が必須の独占業務なのです。
記帳代行
記帳業務は、2014年から白色、青色申告ともに提出が義務付けられるようになりました。
毎月の伝票や領収書を整理し、会計ソフトに入力するといった会計業務は、忙しい時期には負担となるでしょう。
そういった場合も、会計業務を丸ごと税理士に任せることができます。
税務調査の対応
税務調査というと脱税を摘発されるといったイメージもあるかもしれませんが、調査の対象になる会社は明確には決まっておらず、悪質な脱税が疑われる場合の強制調査出なければ、基本的には任意聴取になります。
とはいえ、きちんと税金を納めていたつもりでも、やはり様々な書類の提出なども求められるため、その対応には負担がかかるでしょう。
このような税務調査の対応も税理士にお願いすることができます。
必要な書類の準備や税務調査官とのやりとりも代行してもらえるので、心理的、事務的負担を大きく軽減することができます。
また、税理士が決算申告書に規定の書類を添付する「書面添付制度」を頼めば、税務調査の際も先に税理士への意見聴取が行われ、これだけで調査が終了する場合もあります。
顧問税理士が頼むメリット
このように税理士は様々な税務処理を代行してくれますが、税理士を頼む際には決算書の作成などを単発で頼むスポット的な依頼方法と継続して顧問税理士として契約するパターンがあります。
困っている業務だけ頼むという形でも十分税務処理の負担は減りますが、顧問税理士を頼めば様々な形でサポートを受けることができます。
正しく節税を行ってくれる
これまで見てきたように、会社の経営には消費税だけではなく様々な税金がかかります。
そのため、多くの経営者は節税に大きな関心を持っているでしょう。
とはいえ、よくわからないまま節税を行ってしまうと脱税とみなされ、逆に罰金などがかかってしまうかもしれません。
また、知らないうちに多く税金を払ってしまう可能性もあります。
そのため、税金の専門家である税理士に相談することが正しい節税の近道と言えるでしょう。
ただし、節税を行うには長期的に経営を見た方が効率的であるため、顧問税理士として常に会社の収益を確認してもらった方がより高い節税効果が望めます。
税務に関する相談ができる
税務相談は税理士の独占業務です。
そのため、税に関する疑問がある場合は税理士に相談する必要があるのです。
顧問税理士として契約していれば、日常的な疑問などは基本的に追加料金なしで相談に乗ってもらえます。
税理士事務所によっては、電話やメール、税理士自身が会社まで足を伸ばしてくれることもあるので、より気軽に相談できるでしょう。
また、会社の経営状況を常に把握してくれるので、より的確なアドバイスがもらえます。
正確な書類作成を行ってくれる
ここまで見てきたように、申告書などは様々な種類があるので、正確に書類を作成するにはきちんとした知識が必要です。
特に税務申告書などに誤りがあった場合は、書類を再提出しなければならず、さらに追加課税などのペナルティが課される場合もあります。
専門家である税理士に頼めば、事務の手間も省ける上に正確な書類を作成してもらえるので安心です。
資金調達の相談に乗ってもらえる
このように税務の相談だけではなく、資金調達など経営面でもサポートを受けることができます。
資金調達には、銀行など金融機関からの融資の他に、補助金や助成金、ベンチャーキャピタルから出資を受けるなどといった方法があります。
顧問税理士として日頃から経営状態を把握してもらえば、どの方法がよいかアドバイスをもらえるでしょう。
また、実際に融資を受ける際に、決算書などに顧問税理士の記名や印があることによって金融機関の信頼も上がります。
会社設立の際は経営サポートプラスアルファにご相談ください
この記事では会社設立時の消費税免除制度や、その他消費税を含む会社経営に関わる税金について紹介しました。
会社設立時には、資本金が1000万円以下などの条件を満たせば、最長2年間消費税が免税されます。
ただし、これには様々な条件がある他、初期投資の額などによっては消費税を納めた方が得になることもあるので、どちらを選択するか事前にきちんと計算してから決めた方がよいでしょう。
また、消費税を実際に納める際も2通りの計算方法があり、どちらが得か、負担が少ないかはその法人ごとに異なるので、こちらも選択する前にしっかり比較検討する必要があります。
さらに、昨今の新型コロナウイルスの景気対策で様々な税制上の措置が取られているので、早めに確認し、税務署や税理士などに相談しましょう。
その他にも様々な税務上の処理や手続きがありますが、それを全て把握し、自分で行うのは難しいことです。
また、節税しようとして、知らないうちに脱税してしまう可能性や、反対に、知らないうちに多く払って損していることもあります。
このような事態を避けるためには、顧問税理士をつけて、相談に乗ってもらうことが必要です。
経営サポートプラスアルファなら、こういった税務上の問題から書類の作成まで、会社設立に関する全てを相談できます。
また、その後の経営に関わる税務のことまで、お客様のお話をじっくりと伺いながら、提案型の税理士として最適な提案を行い、しっかりと経営をサポートしていきます。
弊社では電話やLINE、対面・ZOOMでの無料相談を受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。