会社を設立する際、法人登記をどこにするかは重要な決定事項です。中でも、実家を法人登記の住所とする選択肢は、多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。
この記事では、実家を法人登記する際のメリットとデメリットについて詳しく解説し、さらにその際に注意すべきポイントについても説明します。
法人登記は実家でもできる
会社の本店所在地について制限は特に設けられていないので、実家を本店所在地として法人登記することはできます。
中には本店所在地がオフィス街などにないと契約しない考えもあるようですが、フリーランスとして法人成りする場合は気にする必要はないでしょう。
そのため、実家に住んでいる両親などが本店所在地として法人登記しても良ければという条件をクリアできれば、取引上で何か制限されることはないです。
とくに創業間もない頃はオフィスにお金を掛けるのも大変なので、わざわざ費用を出すことはありません。
実家を法人登記するメリット
1. 初期コストの節約
最も大きなメリットの一つは、初期コストの削減です。オフィスを借りる必要がなくなるため、賃貸料や光熱費などを大幅に節約することができます。特に、事業のスタートアップ期には資金を温存することが非常に重要です。実家を法人登記の住所にすることで、無駄な出費を抑えられます。
2. 登記手続きが容易
実家は既に存在する住所のため、新たにオフィスを探したり、契約手続きを行う必要がありません。このため、法人登記の手続きを迅速かつスムーズに進めることができます。また、実家が持ち家であれば、大家や管理者の許可を得る必要もなく、登記に関する制約が少ないのも利点です。
3. 住所変更のリスクが低い
実家は引っ越しの可能性が低いため、住所変更の手続きが不要になる可能性が高いです。これにより、将来的に法人登記の住所を変更する手間やコストを避けることができます。特に、レンタルオフィスを利用している場合、契約期間終了後にオフィスを移転しなければならないリスクがありますが、実家であればその心配はありません。
実家を法人登記するデメリット
1. プライバシーの問題
法人登記を実家にすることで、その住所が公的に公開されることになります。これにより、実家の住所が誰でも閲覧できる状態になり、プライバシーに関する懸念が生じます。家族にとっては、外部からの訪問や郵便物の受け取りなど、日常生活に影響を与える可能性があります。
2. 融資を受けにくくなる可能性
実家を法人登記の住所とした場合、登記場所と実際の営業場所が異なると、銀行などの金融機関からの融資が難しくなることがあります。特に、営業活動が主に別の場所で行われている場合、融資審査で不利に働くことがあります。また、営業場所と登記場所が離れていると、信用度が低下しやすくなる点も注意が必要です。
3. 信用力の低下
実家の住所で法人登記を行うと、特に都心から離れた地域の場合、取引先からの信頼を得ることが難しくなる可能性があります。オフィス街の住所と比較すると、信頼性が低く見られがちです。これが原因で、ビジネスチャンスを逃す可能性もあるため、事業内容や取引先に応じて慎重に判断する必要があります。
4. 許認可の取得が困難になる可能性
業種によっては、実家を法人登記の住所にすることで、許認可の取得が難しくなるケースがあります。特に、飲食業や医療関係の事業を行う場合、行政からの許認可が必要になることがあり、その際に実家の住所では基準を満たさない可能性があります。このため、事前に許認可の条件を確認し、問題がないかを確かめておくことが重要です。
5. 住宅ローン減税の対象外となるリスク
実家を法人登記の住所にした場合、その住宅が居住用ではなく事業用とみなされ、住宅ローン減税の対象外となる可能性があります。これにより、税務上のメリットを失うリスクがあるため、特に住宅ローンを利用している場合は、事前に税理士などの専門家に相談しておくことをおすすめします。
実家を法人登記すると許認可を受けられない?
業種によっては実家を法人登記したくても行政から認められないこともあるので覚えておきましょう。
居住部分と明確に区分したスペースの確保が必要、玄関に商号を表示しなければならないなど、業種によっては営業許可を得るための基準が設けられているケースもあるからです。
そのため、登記前に許認可条件を確認し、実家での法人登記に問題ないかを確認しておくといいでしょう。
実家で法人登記をするのがおすすめの人
実家で法人登記をするのがおすすめの人は以下になります。
- 一人で事業を行っている人
- 自分以外の人が実家に居住していない人
- 実家で事業を展開している人
理由をそれぞれ見てみましょう。
一人で事業を行っている人
一人で事業を行なっているならば、実家で法人登記をするといいでしょう。
事業を始める時、レンタルオフィスを借りる必要なくすぐに法人登記できますし、オフィスの賃貸料を払う必要もありません。
初期費用を大きく節約できるだけでなく、短時間で事業を始められるメリットがあるからです。
また、1人であればスペースもそこまで必要としないし、仮に自分が住んでいなくても両親などに協力を得られれば、郵便物管理の心配もないでしょう。
営業場所と実家が離れていると時間が掛かりますが、両親に会いに行く理由もできるためいいのではないでしょうか。
そのため、これから事業を1人で始める人には、実家で法人登記をおすすめします。
自分以外の人が実家に居住していない人
自分以外の人が実家に居住していなければ、迷わず法人登記をすべきです。
特に持ち家であれば自由にできるため、大家などの存在を気にする必要もありません。
郵便物の受け取りも問題ないですし、すぐに事業を始められるメリットは大きいです。
また、光熱費の一部を経費計上できるため節約もできます。
ただし、近隣住民に対してのケアは必要で、外部から多くの人が訪問するケースなどは気にするといいでしょう。
また、事業によってはスペース確保ができず認可されない場合もあるため、法人登記の条件を確認した上で進めて下さい。
実家で事業を展開している人
すでに実家で事業を展開しているならば、そのまま法人登記するといいでしょう。
事業を実家で行っているならば実績もあるため、安心して進められるメリットがあります。
ただし、同一住所に同一商号(会社名)は認められないので、違う屋号や社名にしなければなりません。
また似通った社名だとトラブルが起きる可能性もあるため、なるべく違いのわかるものにするといいでしょう。
まとめ
オフィスレンタル費用を節約でき、住所が決まっているのですぐに事業を始められるメリットだけでなく、光熱費の一部を経費計上できる点もお得です。
しかし、登記簿で実家の住所が公開されるプライバシーの問題や、もし実家に住んでいないと郵送物の管理面で手間が掛かる点は理解しておきましょう。
また、当然ですが実家に両親などが住んでいる場合は理解してもらう必要があります。
家族内の話なのでそこまで大きな問題にならないでしょうが、必ず確認してから法人登記をして下さい。
これから事業を始める人にとって実家で法人登記はおすすめなので、ぜひ参考にして下さい。
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相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。