会社設立を考えている方や、会社設立をしたばかりの方の中には、法人決算について詳しく知らない方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、法人決算についてその目的や具体的な方法を解説します。
法人決算の目的とは?
決算とは、会社の一年間の取引内容や業績などを書類にまとめる一連の作業のことです。
通常、事業年度終わりの決算月から2ヶ月以内に行います。
全ての法人は決算を行うことを義務付けられていますが、その目的は大きく4つです。
株主総会で使用する
全ての法人は、決算月終了後3ヶ月以内に、株主総会を開催しなければなりません。
これは、会社の所有者であり出資者である株主に会社の業績を報告するためです。
この株主総会で、会社の業績をまとめた決算書を使用します。
納税申告をする
会社が納めなければならない税の多くは、会社の利益や取引の量によって決まります。
このため、決算書類を作成することで納税額を算定し、決算月終了後2ヶ月以内に確定申告を行う必要があります。
銀行からの融資を有利にする
銀行から融資を受ける際は、銀行に対して返済能力があることをアピールしなければなりません。
このとき、決算書類を提出することで銀行に資産内訳やキャッシュフローを理解してもらい、健全な会社運営をアピールすることができます。
会社の業績・運営を数値化する
決算業務を行わなければ、会社の業績や資産が前年と比べてどう変化したのか分からず、来年度以降はどうすべきか、といったビジョンが立てられません。
決算業務を行うことで会社の「健康状態」を明らかにし、経営計画の立案に役立てることができます。
法人決算の期日・時期は?
決算月は、会社が設定した事業年度の最後の月です。
では、決算月や事業年度はどのように決めればよいのでしょうか。
多いのは3月や9月
決算月で多いのは3月や9月、12月です。
それぞれ、多く設定されている理由な以下のようになっています。
(参考:国税庁ホームページ)
3月
3月が多い理由は大きく分けて2つです。
一つは、日本では4月〜3月で年度が区切られる文化があることです。
国や自治体もほとんど3月を決算月にしています。
このため、国や自治体とつながりの深い大企業が決算月を3月に設定し、その流れで3月を決算月を3月に設定する会社が多くなっています。
9月
3月を決算月に設定する会社が多いため、3月は税理士が非常に忙しくなります。
また、4月は新卒入社の手続きなどで、イベント続きの会社も多いです。
このため、税理士の繁忙期を避けて9月に決算月を設定する会社が多くなっています。
12月
1年の区切りがよいことから、12月を決算月に設定する会社も多いです。
また、個人事業主の確定申告は12月が締日になっているため、個人事業主から法人化した会社では12月決算が特に多くなっています。
決算月を決めるポイント
自社の繁忙期を避ける
決算業務は、非常に工数のかかる作業です。
このため、繁忙期に決算期が被ると手が回らなくなってしまうリスクがあります。
1期目はなるべく長くとる
資本金を1,000万円未満で会社設立をした場合、会社設立から最大2事業年度は消費税の納税義務が免除されます。
このため、1期目が短いと消費税の納税を回避できる期間が短くなってしまいます。
事業年度はなるべく長くとるのが賢明です。
法人決算に必要な書類一覧
決算書類は、以下の合計9種類作成する必要があります。
- 総勘定元帳
- 領収書綴り
- 決算報告書
- 勘定科目明細書
- 法人税申告書
- 消費税申告書
- 法人事業概況説明書
- 税務代理権限証書
- 地方税申告書
この中でも、総勘定元帳と領収書綴りは国税庁の税務調査が入った際に使われるため、最大7年間の保管義務が設定されています。
法人決算の流れ
決算の準備を行う
決算作業を実際に行うのは事業年度末から翌期首がメインですが、決算作業に本格的に取り組む前に日々準備しておく必要があります。
日々の記帳をサボらず正確に行うことを心掛けたり、決算整理の前に試算表を作ることで、決算業務の工数を多少減らすことができるはずです。
決算整理仕訳を行う
決算整理仕訳決算書作成の前に、未処理の取引を綺麗に整理するための作業です。
棚卸資産の評価や減価償却費用の計上、貸倒引当金の計上などを行います。
決算書を作成する
貸借対照表、損益計算書など、上場企業では「財務諸表」と呼ばれる決算報告書を作成します。
申告書を作成し納税する
決算報告書をもとに、法人税申告書、消費税申告書、地方税申告書を作成します。
申告期限は全て決算月終了後2ヶ月以内であるため計画性を持って取り組む必要があります。
また、法人税や消費税は税務署、地方税は地方自治体と、それぞれ納める機関が異なるため注意が必要です。
申告書を提出後、金融機関にて税金を納付し、法人決算は完了します。
まとめ
決算とは、会社の一年間の取引内容や業績などを書類にまとめる一連の作業のことを指します。
決算業務で作成した書類は、納税の申告や株主総会における業績報告に使います。
法人の決算月は自由に決めることができますが、個人事業主から会社設立をする方は、12月を決算月に設定する方が多いです。
元々12月を期末として確定申告していた個人事業主の方にとっては、12月を決算月にする方が業務がスムーズに行えるからです。
しかし、決算月を12月に設定することで損してしまう場合もあります。
例えば資本金1000万円以下で設立された企業は最大2期消費税の納税が免除されますが、6月に会社を設立して第1期を12月末までに設定した場合、第1期が非常に短くなってしまい、節税のメリットが薄くなってしまいます。
このように、決算月の設定一つとっても損をしてしまうリスクを抱えています。
こうした「損をしてしまう会社設立」をなくすために、個人事業主の方の会社設立をサポートしているのが、経営サポートプラスアルファです。
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