創業融資は、創業期の会社にとって非常に有効な資金調達の方法です。
しかし、創業融資を上手く活用できるかどうかには、自己資金の存在が大きく関わっています。
今回は、創業融資と自己資金の関連を解説します。
創業融資に必要な自己資金とは
創業融資とは
創業融資とは、会社の創業時または創業直後に、融資によって資金調達を行うことです。
融資の手段としては、日本政策金融公庫からの融資、自治体の制度融資、民間金融機関からの直接融資などが考えられます。
ただ、創業期は会社としての信用が低いため、民間金融機関から直接融資を受けられる可能性は低いです。
このため、一般的に創業融資として想定されるのは、日本政策金融公庫の融資、自治体の制度融資の2つになります。
自己資金とは?
自己資金の定義
自己資金とは、会社設立に関する用語で、文字通り「自分の持っている返済義務のない資金」のことです。
会社を設立する際は、基本的には自己資金から会社に出資することになります。
ただし、今自分が持っている手持ちの現金全てが自己資金として認められるわけではありません。
基本的には「預金口座に入金されており、かつ出どころが明確なお金」が自己資金として認められます。
このため、口座に入っていないタンス預金や、振込人の名義や振込の理由が不明確なお金は、自己資金として見なされません。
見せ金と自己資金
出どころの不明確なお金が自己資金として認められない理由は、そのお金が個人的な借金の可能性があるからです。
個人的な借金を自己資金として出資し、資本金額を大きく見せる行為を「見せ金」とよび、会社法で禁止されています。
足りない自己資金を補う方法
会社員時代や起業前に貯めた自己資金で起業することに不安がある場合、以下のような方法で自己資金を補うことができます。
家族からの贈与
家族から贈与され、返金する必要のないお金であれば自己資金としてカウントすることができます。
ただし、直接現金で手渡しされ、それを自身の預金通帳に入れた場合は、「出どころの不明なお金」として自己資金と見なされない可能性があります。
こうしたリスクを未然に防ぐためにも、きちんと家族と贈与締結書を締結したり、家族の口座から直接自身の口座に振込を行ってもらうことが大切です。
退職金
退職金も、返済する必要のないお金の一つです。
ただ、こちらも振込の理由を明確に提示しない場合、自己資金として見なされない可能性があるため、職金の源泉徴収票などを一緒に提示する必要があります。
第三者割り当て増資
第三者割当て増資は、すでに株式会社を設立している場合にのみ活用可能な方法です。
出資者を募り、出資額に応じた株式を発行することで、直接会社に資金を調達することが可能になります。
出資者には出資比率に応じた経営権を譲渡する必要がありますが、出資されたお金は返済する必要がないため、自己資金として換算することができます。
みなし自己資金
みなし自己資金も、すでに株式会社を設立して事業を開始している場合に活用可能な方法です。
すでに事業を開始し、機械設備などに資金を投じている場合は、その投じた分の金額を自己資金として換算することができます。
創業融資成功のために自己資金はいくら必要?
自己資金は多いほど有利
融資とは、利子付きで一定期間お金を借りることです。
このため、事業が失敗しそうな会社・返済される可能性が低い会社には、どの金融機関も融資をしません。
しかし、創業前後の会社はまだ事業を本格的に開始していないため、金融機関は返済能力の有無を推定しづらいです。
このため、創業融資を行っている金融機関は創業期の会社の返済能力を測る一つの指標として、「自己資金額」を重視します。
自己資金を多く集められる会社ならば、設立早々資金が底をつく可能性も少なく、万が一事業が危機に瀕しても色々な方法で資金を捻出できる可能性が高いと考えるからです。
つまり、創業融資を受けるにあたっては、自己資金額が多ければ多いほど有利になります。
自己資金額の目安
では一体、創業融資を受けるためにはどれくらいの自己資金額が必要になるのでしょうか。
例えば、日本政策金融公庫のホームページには、日本政策金融公庫の新創業融資を受けるためには、最低でも融資額の10分の1の自己資金が必要であることが記載されています。
つまり、300万円の融資を考えている場合は、最低でも30万円は自己資金を用意する必要があるということです。
ただ、この10分の1というのはあくまでも最低ラインであるため、確実に融資を受けるためには、融資額の3分の1程度は自己資金を用意しておくのが安全です。
300万円の融資を考えている場合は、100万円前後は用意しておくべきでしょう。
まとめ
会社設立直後に創業融資を受けられるかどうかで、その後どのように事業を拡大していくかが大きく異なります。
創業融資を確実に受けるためには、起業前からコツコツと自己資金を貯めておくことが大切です。
しかし、自己資金の額はあくまでも創業融資を受けるための条件の一つであり、自己資金が多ければ融資を確実に受けられるわけではありません。
融資を受けるためには、綿密な事業計画を作成し、融資担当者との面接でその計画を分かりやすく説明できなければなりません。
これができなければ、いくら自己資金を貯めても融資を受けることは期待できません。
ただ、創業融資の面接を通過するための対策に時間をつぎ込むことは、忙しい起業家にとって最善手とは言えません。
また、対策に時間をかけても我流では融資を受けられないリスクも高いです。
創業融資を受けるためには、資金調達の専門家に相談するのが一番確実です。
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