会社を設立するとき、まずは会社の種類・形態を選ばなければなりません。
今回は、株式会社をはじめとする会社形態の4種類について特徴やメリット・デメリットを解説します。
会社形態は4種類ある
現在設立できる会社の形態は、「株式会社」、「合同会社」、「合資会社」、「合名会社」の4つです。
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 合名会社
株式会社
株式会社とは、その名の通り株式を発行する会社のことです。
出資をしてくれた人(株主)には株式が与えられ、出資者はその出資比率に応じて会社の所有権を得ることができます。
出資者は有限責任です。
出資者である株主が必ず経営を担う必要はなく、株主総会で任命された取締役が実際の経営のトップに立つという「所有と経営の分離」を特徴としています。
資金調達の幅広さや信用性の高さから現在最も人気のある会社形態で、日本で新しく設立される会社の約8割が株式会社です。
合同会社
合同会社は、2006年の新会社法に伴い、有限会社に代わる会社形態として導入された、最も新しい会社形態です。
出資者は株式会社と同じく有限責任ですが、出資者は原則として経営に携わらなければなりません。
意思決定のスムーズさと設立費用の安さから、今では株式会社に次いで人気の会社形態となっています。
ちなみに2006年の合同会社の導入に伴い有限会社の設立は出来なくなり、既に存在する有限会社に関しては全て株式会社へ移行となりました。
ただし、名前の変更は義務付けられていなかったため、今でも「有限会社●●」という名前を持つ会社は存在します。
合資会社
合資会社とは、有限責任社員と無限責任社員から構成される会社形態です。
このため、会社設立時には最低2人が必要です。
会社が負債を負った際に責任は無限社員が全て負うことになるため、非常にリスクが高い会社形態と言えます。
合名会社
合名会社は、無限責任社員のみから構成される会社形態です。
非常にリスクが高く、設立されることはほとんどありません。
会社というより、個人事業主の組合という側面が大きいです。
有限会社は現在設立できない?
会社法が2006年に大幅に改定され、有限会社は設立できないこととなりました。
2006年の会社法改定により、株式会社設立の条件が緩和され、株式会社も資本金1円から設立できるようになり、有限会社の存在意義がなくなったため、現在は設立できないこととなりました。
株式会社の特徴
株式会社のメリット
社会的信用度が高い
株式会社は、他の3つの会社形態に比べて知名度が段違いです。
このため、取引先や顧客、採用において社会的信用が非常に高いのがメリットになります。
事業内容や給料が同じ会社が2つあったとして、名前だけが「株式会社●●」と「合同会社●●」だった場合、殆どの人が株式会社の方に応募することでしょう。
資金調達の幅が広い
株式会社の場合、株式を発行できるため資金調達の幅が広いです。
出資して会社が成長した後に株式を売却すればキャピタルゲインが狙えるため、多くの投資家からの出資が期待できます。
また、「所有と経営の分離」により、出資したからといって経営に参画しなければならないという制約がないことも出資を受けやすい理由の一つです。
株式会社のデメリット
設立費用が高い
株式会社は、他の会社形態に比べて、設立費用が高いです。
合同会社・合名会社・合資会社は6万円から設立できますが、株式会社の場合は最低でも20万円が必要です。
会社運営に関する規定が多い
株式会社の場合、株主総会や取締役会の開催、取締役の人気や権限などに関して、詳細な規定が定められています。
このため、会社運営のスムーズさ、機動力に関しては他の会社形態に劣ると言えます。
株式会社に向いてる人
上場を目指す人
株式会社は、設立費用は高いですが、社会的信用が高く、上場も狙える会社形態です。
このため、多少の設立費用をかけても会社を大きく成長させたいという人は株式会社を設立するのに向いています。
信用力が重視される業界で起業する人
多少の設立費用がかかることから、株式会社は他の会社形態と比較して、信用力が高いことが特徴です。
信用力が重視される企業では、株式会社がオススメです。
合同会社の特徴
合同会社のメリット
設立費用が安い
上述の通り、合同会社は最低6万円から設立することができます。
このため、設立費用に多くの金額を避けない場合でも、比較的気楽に設立することが可能です。
意思決定のスピードが早い
合同会社は、出資者が原則として経営に参画する必要があります。
このため、経営判断をする際に株主の意向を仰ぐ必要がなく、スピーディーに意思決定ができます。
合同会社のデメリット
信用力が弱い
合同会社は株式会社に次いで人気の会社形態ですが、その設立数は株式会社の4分の1程度です。
さらに、合同会社は一番新しくできた会社形態であることも影響して、社会的信用力が弱いという難点があります。
社員(出資者)の退社で資本金が減少する可能性がある
合同会社は、資金を出す出資者と、経営を行う社員が同一です。
このため、もし出資をしている社員が退社する場合、資本金の払い戻しを求められるケースがあります。
合同会社に向いている人
合同会社は、意思決定のスピードと設立費用の安さが特徴です。
つまり、簡単に設立・運営ができるということに強みがあります。
このため、一刻も早く事業を法人化したいという人に向いています。
合資会社・合名会社の特徴
合資会社・合名会社に関してはメリットが少ないため、デメリットから紹介していきます。
合資会社・合名会社のデメリット
無限責任である
合資会社・合名会社のデメリットとして、最も大きなものが、出資者が無限責任であることです。
会社が倒産して多額の負債を抱えた場合、自らの出資額に関わらず、会社の全負債の責任を負うことになってしまいます。
設立に2人必要
これは、合資会社だけに該当するデメリットです。
合資会社の場合、設立に有限責任社員と無限責任社員が一人ずつ必要になるため、一人で起業することができません。
合資会社・合名会社のメリット
設立費用が安く、会社運営の自由度が高い
合資会社・合名会社のメリットは、設立費用が安く、会社運営の自由度が高い点です。
ただ、これは合同会社にも言えることです。
さらに、合資会社・合名会社の場合は後述のようにかなり大きいデメリットが存在するため、合同会社を差し置いて合資会社・合名会社を設立するメリットは、はっきりいって存在しません。
合資会社・合名会社に向いている人
合資会社・合名会社に向いている人は基本的にはいません。
合資会社、合同会社のメリットは全て合同会社で享受できるものになるため、意思決定のスピードや設立費用の安さから合資会社・合名会社の設立を考えている場合は、合同会社を設立するのがオススメです。
まとめ
会社の形態は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4つです。
しかし、会社を設立する際にはどの形態でも良いわけではなく、それぞれ向いている人、向いていない人が存在します。
例えば上場して世界的に大きなビジネスをしたいと考えている場合は、合同会社では実現できません。
一方、設立費用を安く抑えたいならば、合同会社を設立するべきです。
また、合名会社、合資会社の設立は基本的にはオススメできません。
もし設立する会社の形態を迷ったら、会社設立の専門家に相談するのはいかがでしょうか。
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