公認会計士が税理士登録するには?メリットや登録までの流れと費用、必要書類なども説明

2020年10月5日

公認会計士が税理士になれる制度のことを知っていますか?
税理士登録を行うことで、公認会計士資格を持っている人が税理士として働けます。

税理士事務所や会計事務所の中には、公認会計士が独立開業したケースもあるようです。

今回は公認会計士の税理士登録に関して、メリットや登録までに必要な準備について詳しく説明していきます。

公認会計士が税理士登録するメリット

公認開始として働いているにも関わらず、わざわざ税理士登録をするメリットはあるのでしょうか?
公認会計士が税理士登録するメリットについて解説します。

対応範囲が広がる

公認会計士は財務書類などを監査し第三者に証明することが独占業務です。

そのため、会計分野に特化した人材だと言うことができます。

税理士登録をすれば税理士の独占業務である、税務代行や税務相談などの税務業務を行えるようになります。

企業の財務会計において、税務は切り離せない存在です。

会計のエキスパートである公認会計士が税務を行えるようになることで、多角的な視点から企業財務を捉えられるようになります。

取り扱える業務量が増える

公認会計士の基本的な業務は監査です。

監査業務は大企業をクライアントとして対応することが多く、母体数が少ないため新しい顧客を獲得することが難しくなっています。

税理士登録をすれば税務業務に携われるため業務の幅が広がり、中小企業やベンチャー企業なども顧客とすることができます。


また、独立して税理士事務所を開設することも可能になります。

キャリアを考える上で選択肢が増えることにも繋がるでしょう。

他の税理士と知り合える

公認会計士は税理士登録をすることで、税理士として働くことができます。

税理士になれば税理士会にも登録することが可能です。

税理士会には地域の税理士が多数在籍しており、その方々と知り合うこともできます。

様々な人たちと関われることで、新たな情報を得ることができたり経験豊富な先輩に相談したりすることもできるかもしれません。

関連記事

会計士より税理士の方が多い理由は?会計士と税理士の特徴を比較

公認会計士が税理士登録するまでの流れ

公認会計士が税理士登録するまでの流れはどのようになっているのでしょうか?
税理士登録にはおよそ3ヶ月間と時間がかかるため、事前に流れを確認して準備しておく方が良いでしょう。

1ヶ月目

まずは必要な書類を集めて作成しなければなりません。

提出しなければいけない書類は数十枚程度あるため、場合によって書類を集めるだけで2~3週間かかることもあります。

期日は毎月の月末なため、書類を揃えるのは遅くともその月の初めから集めた方がいいでしょう。

また、書類によっては税理士会や市役所など受け取る場所が変わるので、しっかりとチェックして取りこぼしがないように気をつけてください。

2ヶ月目

書類が受理されると、次の月には面接が控えています。


税理士会から面接日時を指定したはがきが送られますので、郵便物の確認が必要です。

仕事の事情は考慮されませんので、有給を取るなどして面接を受けられるように調整してください。

面接が終わると、審査におよそ1ヶ月かかります。

落とされることはほとんどないようなので、安心して結果を待ちましょう。

3ヶ月目

審査が終了し問題ないと判断されれば、税理士会から税理士登録通知が郵送されます。

税理士証票交付式の日程を指定されていますので、日程を空けるようにしましょう。

税理士証票や税理士バッジなどを受け取り、正式に税理士として認められます。

交付式の後は懇親会もありますので、他の税理士の方と親睦を深めることができます。

税理士登録する際の費用

税理士登録には費用がかかり、決して安くはありません。

しかし税理士として働くことは、長い目で見るとメリットばかりです。

税理士登録や税理士資格の維持にかかる費用をご紹介します。

登録時

どこで税理士登録するかによっても違いがありますが、登録時の費用は総額で20万円~30万円程度となっています。

内訳として、全国共通して支払う必要があるのが以下の2点です。

・「登録免許税」 6万円
・「登録手数料」 5万円

また、所属する税理士会に支払う費用があります。

所属する税理士会によって金額の幅はありますが、大まかな費用は以下の通りです。

・「税理士会の入会金」 3万円~5万円程度
・「税理士会館の建設費用」 2万円程度
・「登録時研修費用」 5千円~1万円程度
・「税理士会の年会費」 5万円~10万円程度
・「税理士会支部の年会費」3万円~8万円程度
・その他費用(手数料や郵送費など) 数千円~数万円程度

維持費

税理士登録を維持するためには、所属する税理士会にもよりますが、およそ10万円~15万円が必要です。

費用の内訳としては以下のようになっています。

・「税理士会の年会費」 5万円~10万円程度
・「税理士会支部の年会費」 3万円~8万円程度

公認会計士が税理士登録するための必要書類一覧

税理士登録用の種類はとても多く、漏れがないように準備するのは大変です。

あらかじめ必要書類について知り、こつこつと集めておくといいでしょう。

公認会計士が税理士登録するために必要な書類を一覧形式でご紹介します。

書類 概要 提出先
税理士登録申請書(5通) 生年月日や名前など基本事項 税理士会・ホームページ
登録免許税領収証書 料金支払いの証明 郵便局・銀行
写真(3葉) 3ヶ月以内の証明写真 写真屋・証明写真機など
本籍記載の世帯全員分の住民票の写し マイナンバー記載なし
コピー不可
本籍地の市役所・区役所など
身分証明書 本籍地の市区町村発行で3ヶ月以内のもの 本籍地の市役所・区役所など
資格証明する書面 登録証明書(公認会計士の場合) 日本公認会計士協会
履歴書 第3号様式 税理士会・ホームページ
誓約書 第4号様式
税理士法第4条・第24条に該当しないことを示すため
税理士会・ホームページ
直近2年分の確定申告のコピー又は住民税の(非)課税 (所得)証明書 適正な申告納税を行っているか確認するためのもの 市役所・区役所など
はがき 税理士登録された際に登録年月日および登録番号を通知するためのもの 税理士会(申請書受付時に提出する場合もあり)

※主な書類について記載していますが、ホームページで確認したり税理士会に問い合わせたりするなど、必ずご自身でも必要な書類について確認しましょう。

税理士登録時の面接

税理士になるためには、面接も必要です。

書類に不備がなければ提出した次の月に面接が予定されるでしょう。

日時・場所

税理士会登録調査委員会から日時と場所について書かれたハガキが送られてきます。

休日・平日に関わらず指定されていますので、場合によっては仕事を休む必要もあります。

基本的には税理士会の支部で行われることが多いです。

印鑑と申請書類のコピーを持ってくるように指示されていると思いますので、忘れないように準備しておきましょう。

面接内容

税理士登録時の面接は、最終確認のようなもので基本的に落ちることはありません。


雰囲気も和やかである場合が多く、気負わずに素直に望むと良いでしょう。

内容としては以下のことを聞かれることが多いようです。

・税理士になろうと思った動機
・現在の業務内容
・今後行いたい業務など、大まかなキャリアプラン
・部活の勧誘

公認会計士の税理士証票交付式

面接が終了し審査に通過すると、税理士証票交付式を経ていよいよ税理士としてのキャリアがスタートします。

税理士のスタートラインとなる、税理士証票交付式について確認していきましょう。

日時・場所・持参する物

税理士証票交付式も平日・休日に関わらず執り行われます。

基本的に場所は税理士会館で毎月開催されますが、参加人数は数名から百名程までと時や場所によって大きく異なるようです。

当日持って行くものとしては以下のようなものが挙げられます。

・印鑑・朱肉
・筆記用具
・税理士会会費口座振替依頼書
・税理士協同組合加入申込書
・税理士会データ通信協同組合加入申込書
・住民票・印鑑登録証明書(ICカード申請用)
・日本税理士共済会団体保障申込書

一例として載せていますが、必ず送られてきたハガキを見て良く確認しておくようにしましょう。

税理士証票交付式の内容

多くの場合、お昼頃から式が始まり約3時間半程度だと言われています。

全体への話や税理士会の紹介などが行われた後、書類の記入や手続きなどがあるようです。

この際に税理士証票や税理士バッジなどを受け取ります。

その後は税理士バッジを付けた状態で集合写真を撮り、懇親会という流れです。

お酒を飲んだり食事をしたりしながら同じく税理士となった人たちと交流することができます。

これら一連の流れが終われば、晴れて税理士として働けるようになります。

公認会計士の税理士登録は廃止されるのか?

基本的に公認会計士の独占業務は監査であり、税理士の独占業務は税務関係の業務だとされています。

公認会計士は財務会計を網羅的に勉強しており税金についても学んでいる関係で、税理士登録をすることができる状況にあります。

しかし、税理士試験に合格した人の立場からすると、領域を侵されているようなイメージになります。

また、公認会計士試験は税理士試験に比べると税務分野の勉強範囲が狭いです。

これらの観点から公認会計士が税理士登録できる制度に反対の声が上がっています。

現在の所、公認会計士が税理士登録を廃止する決まりはありません。


対応としては、研修を行うことでより税理士間の差を縮めるようにしています。

税理士登録において公認会計士が研修を必要とする旨の以下の文は国税庁のホームページに記載してあります。

「平成29年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者については、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を終了した公認会計士となります。

関連記事

税理士の年収は本当に低い?平均年収や低いと言われる理由、他の国家資格との比較について

まとめ

今回の記事は公認会計士の税理士登録について確認してきました。

そもそも公認会計士が税理士登録するメリットとしては、①対応範囲が広がる②取り扱える業務量が増える③他の税理士と知り合えるの3つがあります。

税理士登録は1ヶ月目に書類申請、2ヶ月目に面接、3ヶ月目に税理士証票交付式が主な流れです。

これらを経ることで正式に税理士として働くことができるようになります。

公認会計士の税理士登録に関しては反対意見もあるものの、現在は廃止に向けた動きがあるわけではありません。

公認会計士の方は研修を受けて、税理士として働く選択肢を選ぶことでキャリアの幅も広がるでしょう。

当社は財務戦略の面から企業をサポートしている会社です。

ベストベンチャー100に選ばれた実績を持ち、300社以上の企業と顧問契約を結んでいます。

公認会計士や税理士の知識を活かして働ける当社に興味を持っていただけた方は、以下のボタンよりお申し込みください。

関連記事

税理士が経営コンサルティングをすることは可能?転職やキャリアアップしたいなら

コメントは受け付けていません。