【税理士試験】簿記論合格は簿記論を知ることから!勉強法や受験攻略を解説します

2020年10月5日

簿記論は、税理士試験の必須科目の一つです。

この記事では、簿記論の基本から試験の特徴、そして受験時の攻略法などを解説します。

簿記論の一発合格を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。

【税理士試験】簿記論の基本

以下で税理士試験と簿記論の基本事項について確認します。

既に知っている内容かもしれませんが、再度、勘違いしている内容がないかを確認するために一読してください。

税理士試験の特徴と受験

税理士試験の特徴

まず税理士試験は、必須科目の「会計学」と選択必須科目の「税法」から構成されています。

「会計学」には、簿記論と財務諸表論が内包されます。

「簿記論」は、計算問題が主なので、計算力のみが求められるのに対し、「財務諸表論」は実践的な内容なため、論理も必要です。

他方、「税法」は、選択必須科目2科目から1科目選択する、かつ、選択科目7科目から2科目選択することが必須になります。

つまり、税理士試験は、「会計学」2科目と「税法」3科目の合計5科目を受ける試験のことです。


税理士試験の科目はどれも学習に時間を要するものばかりなので、おそらく5科目同時合格は不可能です。

税理士試験は1年に1回しか実施されないので、税理士試験に合格して税理士になるには時間が長くかかると覚悟しておきましょう。

科目別合格制度

上述しましたが、税理士試験はどの科目も学習するのに時間を要する科目ばかりです。

このため、科目別合格制度を設けています。

一度、合格した科目は、その後の税理士試験では既に合格したものとし、受験する必要がなくなります。

5科目全てを完璧に仕上げることは、なかなかできることではありません。

税理士試験に合格するには、全力で取り組む科目を事前に絞って、少しずつ確実に合格科目を増やすことが一番の近道だと言えます。

簿記論は日商簿記とは別物

簿記論と日商簿記を混同している方が、時折見られます。

しかし、日商簿記と簿記論は別物です。

日商簿記1級(簿記論合格相当の実力と言われている)を持っていたとしても、慢心せずに再度学び直してみましょう。

基礎力はあるはずなので、簿記論の傾向さえ掴めば、他の受験者より少ない学習時間で合格する可能性が高いです。

出題範囲の違い

簿記論の出題範囲は、日商簿記と9割くらい被っていると言っても過言ではありません。

重複している部分が多くあります。

特に簿記論の商業簿記は、日商簿記よりも遥かに難しく、癖のある問題が出るとされています。

このため、簿記論は試験のある程度の傾向を掴んだ後でも、油断は大敵です。

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簿記論はどのようにキャリアに役立つ?

日商簿記1級を取得した人の中には、キャリアアップとして税理士試験を受験し、簿記論に挑戦する人も多いです。

企業の経理を志望する場合、簿記論は必要ありません。

日商簿記1級で「経理業務のプロフェッショナルで、経営管理や経営分析をする能力がある」と十分に判断されるからです。

一方、会計事務所や税理士事務所を志望する場合、5科目の内、簿記論だけでも取得しておくと大きなプラスになるため、効果的です。

もちろん、簿記論1科目だけでなく、他にも合格している科目があれば、採用される可能性は更に高くなります。

また、転職の場合も同様に、税理士試験に合格した科目数が多いほど、転職が簡単になったり、企業の選択肢が増えたりとメリットがあります。

しかし、税理士試験に合格する見込みを考慮しての採用になるので、年齢が上がるほど「予め合格している科目数」の基準が高くなります。

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簿記論の特徴

簿記論は、日商簿記とは違うと前述しました。

では、具体的に簿記論がどのような試験なのかを見ていきます。

試験時間内に解き終わらない

簿記論の試験は2時間ですが、問題量が多く、内容も難しいので、時間内に解き終えることは不可能です。

つまり、問題中に解かない方が良い問題、所謂「捨て問」が含まれています。

「解き終わらない!」と焦らずに、解ける問題で確実に点を取ることを意識するのが大切です。

日本の簿記試験一の難問題

簿記論の問題は、日本の簿記試験一の難問題だと言われています。

なぜなら、問題作成委員会が毎年変わるので、傾向を掴みづらく、癖が強い試験になってしまっているからです。

過去問を解いても、同じような問題がでる可能性は低いと考えましょう。

合格点の変動がある

簿記論の合格点は、絶対評価ではなく相対評価です。

このため、「○点だから合格」とはならないので、受験者の上位10%〜15%程度に入る必要があります。

しかし、税理士試験は受験するための条件が設定されているので、誰でも受けられるわけではありません。

このため、母集団である受験者のレベルが高くなります。

自分が「よく解けた」と感じたときは、恐らく周囲の人間も「よく解けた」と感じています。

よく解けたから合格するという訳ではないことを覚えておきましょう。

簿記論勉強法

上記の簿記論の特徴を踏まえて、勉強法についてお話しします。

平均学習時間は450〜500時間

日商簿記1級を既に取得した方の簿記論の平均学習時間は、450〜500時間程度と言われています。

しかし、もちろん各々の実力や学習効率によって、必要学習時間数は大きく変動し、中には1000時間以上かけた方もいます。

平均学習時間とあなたの必要学習時間は異なることを念頭に置いておきましょう。

独学でも合格できる?

簿記論を受験する方の多くは、予備校や通信講座を利用しています。

しかし、書店では簿記論の教科書や問題集を目にします。

結論から言うと、独学での簿記論合格は不可能ではありません。

しかし、予備校や通信講座を利用する人より厳しい道のりにはなります。

なぜなら、試験情報が不足する可能性が高いからです。

予備校などは、今まで大量の合格者を輩出し、効率の良い勉強法や独自のノウハウがあります。

これらを吸収した人と同じ土俵で戦うには、元々の実力が他の受講生より高くない限り、より多くの勉強時間が必要になることを覚悟しましょう。

演習問題を中心に計算力アップを目指す

簿記論は、純粋に計算力が求められる科目なので、受験までに計算力アップを目指す必要があります。

このため、演習問題を中心に取り組むことをオススメします。

演習を通じて、基本項目は確実に取れるようにしておきましょう。

簿記論受験の攻略

最後に簿記論を受験する際の攻略法を紹介します。

今まで培ってきたものを全力で発揮するには、受験の仕方も大切になります。

簡単な問題を選んで解く

上述しましたが、簿記論の試験は「捨て問」を含んでいます。

このため、「簡単な問題をいかに多く解くことができるか」が鍵になります。

難しすぎる問題で消費した時間で、簡単な問題が複数問解ける可能性があります。

簡単な問題を選択して解くためには、問題の取捨選択能力が必須です。

問題の取捨選択能力を養う

問題の取捨選択能力を養うには、答案練習会(答練)に参加するのが効果的です。

答練は、模試のようなもののことで、本番の予行練習をすることができます。

計算ミスで「取れたはずの問題を落としていた」など、次に活かし、本番は万全の体制で迎えることができるようにしましょう。

実力者は一問に囚われすぎないように注意が必要

実力者は、問題が解けることで本来「捨て問」だったものに時間をかけて取り組んでしまうことがあります。

この場合、実際は自分より実力の低い者が、簡単な問題をより多く解いていたことから、結果的に点数で負けて不合格になってしまう可能性があります。

実力者の方ほど問題の取捨選択能力を鍛えて、答案に時間がかかるかどうかを判断して効率的に問題を解きましょう。

ケアレスミスをなくす

試験を受ける中で、一番もったいないのが「ケアレスミス」です。

難しい問題を捨てて、簡単な問題で多くのケアレスミスをしてしまうと目も当てられません。

難しい問題を解かない分、時間を多少かけてでも確実に簡単な問題で点数を取るようにしましょう。

まとめ

「簿記論」は、税理士試験の必須科目の1つで、税理士になるためには誰もが合格する必要があるものです。

税理士試験は、年に1度しか実施されていないため、科目別合格制度を利用して5科目全ての合格を長いスパンで目指します。

しかし、「簿記論」だけの合格でも会計事務所や税理士事務所への転職では、高評価を得ることができます。

簿記論は、日商簿記1級と同程度の難易度と言われていますが、出題範囲が多少違ったり、試験の性質が異なったりするため、「別物」と捉えてください。

特に試験時間内に解き終わらない問題量が出るため、問題の取捨選択能力を鍛えて「捨て問」を見分けられるようになってから受験することをオススメします。

この取捨選択能力を独学で鍛えることも不可能ではありませんが、大抵の受験者は予備校や通信教育を通じて勉強法やノウハウを教わっているため、相対評価で合格者が決まる簿記論の試験では、苦戦を強いられることを覚悟しましょう。

「簿記論の試験の特徴をどれくらいよく知っているか」ということは、合否に大きく関係します。

「簿記論」を知り、勉強法を工夫して、受験時の対策をして、万全の大勢で合格を勝ち取りましょう!

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