簿記は転職に有利?取得するメリットや簿記の概要について解説
2020年10月2日
よく聞く会計資格として簿記が挙げられます。
記帳などの基本的な会計技能知識として知られる簿記は、早い人だと中学生や高校生から取り始める人もいるようです。
そんな簿記資格ですが、転職では有利に働くのでしょうか?
また、有利な場合にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
このような疑問にお答えしつつ、簿記資格の転職の実態についてご紹介していきます。
簿記は転職に意味ないって本当?
簿記資格を持っている人やこれから取得を目指している人の中には、転職の際に役立つのか気になっている方もいると思います。
簿記は転職に意味ないという噂が本当か解説していきます。
簿記は転職に有利?
結論から先に言うと、簿記は転職でも有利に働きます。
ただし、簿記があるから絶対に優遇されるというわけではありません。
転職先では評価する中で、熱意やコミュニケーション能力など様々な事柄を考慮しています。
簿記もそのような転職先への数あるアピールポイントの1つくらいに考えておいた方がいいでしょう。
注意点としては、簿記があまり関係しない転職先へのアピールにはなりにくいことです。
資格を取得したことに関して一定の評価はあっても、実務に役立たないスキルであれば評価されにくいのは当然のことだと考えられます。
一般企業(経理)
簿記を活かした転職先候補の1つになるのが一般企業の経理部です。
業務内容としては、帳簿付けや決算業務など簿記知識の必要なものが多々あります。
そのため、財務会計を扱う経理部では簿記の知識が必要になり、実務に直結するため簿記需要の高い職場だと言えます。
基本的に評価されるのは簿記2級からであり、それ未満の級だと実務に対応できるレベルとみなされにくいです。
実務では基本的にパソコンを使う作業が多いので、簿記と合わせてパソコンスキルを抑えておいた方が良いでしょう。
税理士事務所・会計事務所
簿記知識が必要になる転職先として、税理士事務所や会計事務所なども挙げられます。
基本的には税理士の勤務先になりますが、簿記資格取得者であれば税理士補助として働ける確率があがります。
税理士補助は記帳代行や書類作成などを行い、税理士のサポートをしています。
勤務先によっては税理士試験の勉強と平行しながら働けることもあるので、キャリアアップを目指して試験合格を目指す方にもおすすめです。
転職時に簿記を取得しておくメリット
転職先についてはご紹介しましたが、簿記を取得しておくことでの具体的なメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
簿記を取得しておくメリットについてご説明します。
経理業務に有利
実務の面では記帳付けや財務諸表の確認など、経理業務がしやすいことにあります。
経理は企業のお金の流れを管理しなければならないため、しっかりとした決まりを守って正確に作業しなければなりません。
簿記は財務会計の基礎知識であり実践を想定したものです。
経理業務全般を網羅した簿記は実務をこなす上で、有利になると言えます。
適性があると見られる
会計業務は企業の財務を担うため、一定の適性が必要となります。
例えば、数字が苦手な方や正確性が劣る方などは経理職には向かないと判断されるでしょう。
簿記資格を取得することは、実践的な会計業務を行えると示すことができます。
財務会計に適性があると転職先にアピールすることに繋がるのは、メリットの1つだと言えるでしょう。
他の資格取得に活かすことが可能
簿記は財務会計の基本を学ぶことができます。
そのため、国家試験でありより難易度の高い税理士試験や公認会計士試験などを受験する上でベースになるでしょう。
特に税理士試験では「簿記論」という科目がありますので、直接的に役立つことにもなります。
また、税理士試験では簿記1級を取得することで受験資格が得られます。
大学での科目取得などの学歴や実務経験を必要とする職歴などと比べ、努力次第で比較的得やすい受験資格です。
そのため、税理士としてのキャリアを考えている方には簿記1級まで勉強しておくと税理士事務所などでも働きやすくなるのではないでしょうか?
簿記の概要
簿記は4つの階級に分かれています。
難易度も段階的に高くなり勉強範囲も徐々に広くなるなど、それぞれに違った特徴があります。
各階級の簿記試験の概要に加え、転職でどのように判断されるかも確認していきましょう。
簿記初級
簿記初学者のために基本事項を押さえておく目的で開設されたのが簿記初級です。
商工会議所のホームページでは、簿記初級について以下のように書かれています。
「簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用することができる。」
簿記初級は100点中70点を取ることで合格となり、40分間の試験です。
試験の実行から合否までの全てがインターネットで完結します。
ただ、2017年に始まった試験で認知度が低く、その他の級と比べて難易度も低いため転職ではなかなか有利になりません。
場合によっては、履歴書に書かない方がいいかもしれません。
簿記3級
商工会議所のホームページでは、簿記3級のレベルを「業種・職種に関わらずビジネスパーソンが身につけておくべき『必須の基本知識』として、多くの企業から評価される資格」と定めています。
簿記3級は商業簿記の分野を120分で7割以上得点することができれば合格となります。
実は簿記3級ではまだ転職で有利になるとは考えがたいです。
転職で簿記をアピールポイントにするには、少し物足りなさが残ります。
そのため、その他に優れる部分を積極的にアピールしたり、他の強みと組み合わせたりして付加価値を付ける必要があるかもしれません。
簿記2級
商工会議所のホームページでは簿記2級のレベルを以下のように紹介しています。
「経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を取得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル」
簿記2級は商業簿記と工業簿記を120分間で解く試験で、70%以上が合格ラインです。
転職に関して、簿記2級から転職で重宝されはじめます。
実務を行うのに十分な知識があると判断され、転職先でも好印象を持ってもらえる階級だと言えるでしょう。
簿記1級
簿記1級のレベル商工会議所のホームページで確認すると、次のようになっています。
「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計球や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。
」
簿記1級は商業簿記と会計学で90分、工業簿記と原価計算で90分の試験です。
1科目4割以上で、合わせて7割を超えていなければなりません。
転職においては業務に問題ない能力を持っていると判断され、有利に働くでしょう。
また、この資格を取得することで税理士試験の受験資格が得られるのも大きな特徴です。
税理士としてのキャリアをスタートさせたい方にとってはまさに登竜門のような試験だと言えます。
簿記優遇の転職事例
実際に簿記が有利になる求人とはどういったものなのでしょうか?
簿記優遇の転職事例についてご紹介します。
簿記2級未経験者歓迎
基本的には簿記2級から求人が出されており、必須条件に定めている所も多いです。
簿記2級と同じように、経理職などで必要と定められている条件には以下のようなものがあります。
✓簿記2級以上
✓税理士科目合格者優遇
✓税理士事務所・会計事務所での勤務経験がある方優遇
このように簿記はいくつかある条件の1つです。
簿記を取得したからといって必ず転職が上手くいくというわけではないので、その他のスキルを磨いたりアピールしたりすることも必要になります。
簿記1級未経験者歓迎
実は簿記1級を最低条件にしている企業はあまりありません。
多くの場合、簿記2級が必要条件で簿記1級取得者は歓迎、と言う求人が目立ちます。
有利になるのはもちろん簿記1級ですので簿記1級を取るに越したことはありません。
しかし、給与や待遇面では簿記2級の求人とさほど違いがないケースが大半です。
場合によっては、税理士試験の合格などを目指して勉強した方が転職では有利になることもあります。
簿記にプラスして取るべき資格は?
簿記は財務会計の基礎知識だとお伝えしてきました。
より難易度の高い資格である公認会計士資格や税理士資格の足がかりともなるでしょう。
もし、余力があるのであればこれらの資格取得を目指せると、転職でもより有利に働くはずです。
公認会計士資格
公認会計士は会計のスペシャリストとして企業の財務会計に携わります。
受験資格は要りませんが、難易度が高い国家試験です。
公認会計士は需要が高く、企業から会計事務所、監査法人など様々な場所で重宝されます。
この試験でも基礎として簿記知識が必要になってきますので、全くの初学者と比べると勉強はしやすいでしょう。
税理士資格
税理士は主に税理相談など、税務関係の業務を独占業務とする税務のエキスパートです。
より税務に特化した人材だと言えますが、業務内容には会計知識を問われるものも多く、会計知識が必須です。
簿記1級を取得することで受験資格が得られるため、簿記試験の延長としても勉強しやすいかもしれません。
まとめ
今回は簿記が転職に役立つのかについて解説してきました。
簿記取得が有利な転職先としては、一般企業の経理部や税理士事務所、会計事務所で補助として働くなどが考えられます。
主なメリットは、経理業務がしやすい、経理業務に適性があると判断される、他の資格取得に活かすことが可能の3つです。
簿記資格は4段階で構成されていますが、転職に有利だと言えるのは2級と1級になります。
実際の求人でも簿記2級を必須条件とし、1級を歓迎する内容のものが見られました。
他に経理業務への転職に有利な資格として公認会計士資格と税理士資格があります。
この中でも特に税理士資格は簿記1級取得者が受験資格を得られる試験であるため、より前向きに取得に向けて勉強できる資格かもしれません。
簿記は転職の役に立ちますが、決定打とはなりにくいです。
自分が持つパソコンスキルやコミュニケーション能力など、その他のスキルも一緒にアピールすることでより転職に効果的だと考えられます。
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