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株式会社の資本金の平均は300万円?目安は?上位企業8社をランキングで紹介

会社を設立する際に必ず設定する必要があるのが、「資本金」です。

しかし、起業を考えている人でも資本金について誤った認識を持っている人は少なくありません。

今回は、資本金という言葉の意味や実際の資本金の相場、資本金を決める際に注意しておきたいポイントについて解説します。

資本金とは

資本金とは、一言で言えば「株主が会社に出資した金額の合計額」のことです。

会社設立時に創業者の自己資金から出資したお金も資本金になりますし、投資家やベンチャーキャピタルから受けた出資も資本金になります。

会社を設立したら、設立時の資本金を元に事業を運営していくことになります

2006年までは株式会社を設立する場合は1,000万円以上の資本金を設定しなければならないという規制がありましたが、現在では資本金1円からでも会社を設立できるようになっています。

「自己資本」と「資本金」は違う!

資本金とよく似た言葉として、自己資本がありますので覚えておく必要があります。

自己資金は、会社が所有する、返済する必要のないお金のことです。

事業活動を通じて自己資本の額は変動しますが、資本金額は変動しないと言えます。

つまり、事業活動によって内部留保された利益も自己資本に含まれるため、自己資本の額は事業活動を通じて常に変動します。

一方、資本金はあくまでも「出資された合計額」を示す概念であるため、追加出資を受けない限りは変動しないのが特徴です。

Aさんの例

例えば、Aさんが資本金1,000万円で会社を設立した場合、設立の瞬間は資本金も自己資本も1,000万円です。

しかし、翌年までにその会社が100万円の利益を出し、そのうち50万円を内部留保に回した場合は、自己資本は1,050万円になります。

一方資本金は1,000万円のままです。

このように、資本金と自己資本は似た表現ながら大きく異なる概念です。

日本企業の平均資本金金額は300万円

では、一体世の中の会社はどれくらいの資本金額で会社運営をしているのでしょうか。

総務省統計局のデータをみると、業種別の資本金額の相場感を把握することができます。

全産業の資本金額の相場

全産業の資本金額の割合を見てみると、300万円〜500万円の層と1000万円〜3000万円の層が一番多いのが分かります。

また、日本企業の平均資本金額は300万円程度です。

業界などによって違うのですが、300万円ほどの資本金にしている株式会社が多いです。

その理由は、300万円ほどあれば、事業を始めても数カ月は運営することができるからです。

事業運営にあまりお金がかからないなら、もう少し資本金の金額が少なくても問題ありません。

しかし、300万円以下の資本金で運営されている企業も、全体の5パーセントを占めており、少ない資本金でも多くの会社が運営できているという事実も分かります。

労働集約的で設備投資が少ない業種であれば、資本金額が少なくても会社を運営しやすいということが分かります。

日本企業上位8社のランキング

企業名 資本金
日本郵政 3500000(百万円)
ゆうちょ銀行 3500000(百万円)
三井住友フィナンシャルグループ 2339433(百万円)
みずほフィナンシャルグループ 2256767(百万円)
三菱UFJフィナンシャル・グループ 2141523(百万円)
東京電力ホールディングス 1643585(百万円)
NTTドコモ 949680(百万円)

資本金はあくまで企業の規模や影響力をはかる一つの指標にしかなり得ません。

このため、「資本金が多いから立派な会社だ!」と判断するのは早計です。

資本金が数億円でも、赤字系経営をしている会社はありますし、巨額の負債で困っている会社もあります。

むしろ、資本金が数億円ある会社こそ、取引が高額な傾向にあるため、赤字や負債が大きくなる可能性が高まるとも言えます。

このランキングでは、金融機関が多く登場します。

企業への貸付があるため、会社設立時に資本がないと経営できないからです。

このように業界によって適正な金額は異なります。

資本金額が高めの業種

電気・ガスなどのインフラ業、運輸業、鉱業といった巨額の設備投資が必要な業種では、資本金額が多い企業の割合が非常に高いことが見てとれます。

資本金額が低めの業績

情報通信業、福祉業といった業種では、資本金300万円以下の企業が比較的多い傾向にあります。

業界別資本金額の決め方のポイント

業界別資本金額を決めるためには、「イニシャルコスト」と「オペレーション」コストの二つに留意するとよいでしょう。

「イニシャルコスト」とは、会社設立の際に生じる初期費用を指します。

「オペレーションコスト」とは、創業後に必要となる会社の運用資金を指します。

会社を設立するためには、イニシャルコストに加えて、利益なしでも半年間会社を存続させることができるオペレーションコストを加味した資本金を設定するとよいでしょう。

資本金の平均額は約300万円とされていますが、起業する業界によって資本金の相場は異なる傾向にあります。

ここでは、各業界における資本金の相場について解説していきます。

金融

金融業界の資本金は、他の業界と比べて高額であることが特徴です。

金融業で起業する場合、少なくとも100億円の資本金の準備が必要となります。

そのため、金融業界での起業は、高額な自己資産を保持する方に限られてくるといえるでしょう。

金融業界の資本金のランキング上位とその金額は以下の通りとなっています。

  • 1.日本政策金融公庫:3.4兆円
  • 2.三井住友フィナンシャルグループ:2.3兆円
  • 3.みずほフィナンシャルグループ:.2兆円
  • 4.三菱UFJフィナンシャル・グループ:2.1兆円
  • 5.三井住友銀行:1.7兆円

上に示している通り、上位の資本金額が大きいことが特徴です。

IT系

IT業界の資本金は他の業界に比べて少ない傾向にあります。

資本金が少なくなる理由として、工場や設備を必要とする業界と比較して設備投資に要する費用が少ないことが挙げられます。

一般的には、30~50万円に資本金を設定する企業が多いとされています。

しかしながら、資本金が少ない場合、銀行からの融資を獲得しづらくなることがあります。

したがって、銀行からの融資を視野に入れて起業する方は、100万円前後~300万円の資本金を準備しておくと良いでしょう。

IT系で必要となるオペレーションコストとして、システム開発費や広告費が挙げられます。

これらのコストを考慮した上で、純利益無しでも最低半年間運営可能な資本金の試算をしておくことが重要であるといえるでしょう。

不動産・建設

不動産業界の資本金は、そのほとんどが1000万円以下となっています。

理由として、資本金が1000万円以内の場合、初年度の消費税納税が免除されるためです。

不動産業界の資本金の相場は、300万円~500万円とされています。

融資を受けることで資本金を大きく見せることもできますが、借入をすることで銀行からの信頼を失ったり、融資を獲得しずらくなることがあります。

借入無しで高額な資本金の準備が出来る場合を除き、借入は避けるようにしましょう。

建設業の場合は、500万円以上の資本金を準備することが望ましいとされています。

理由は、登記する際に、500万円以上の財産保持を証明することが建設業許可を得る要件とされているためです。

資本金が500万円未満であっても、建設業の登記申請をすることは“理論上は”可能です。

しかしながらその場合は、通帳残高証明書の発行や登記で続きで制約が多く設定されているため、500万円以上の資本金の準備をした方が良いでしょう。

インフラ

インフラビジネスとして、水道・電気事業が挙げられます。

この業界では、水道・電気等の工事・建設に関わるため、建設許可や資格を持つ人材が必要となります。

とりわけ、500万円以上の大規模の工事を視野に入れた事業を考える場合、建設許可を得ることが必要です。

許可を取る際、資本金の有無が主だった判断基準となるため、会社の資本金として最低でも500万円を準備すると良いでしょう。

インフラビジネスでは、特殊な技能を持つ人材の雇用は必要となります。

優秀な人材を確保するためには、十分な額を準備して会社の信用を示すことが重要であるといえます。

人材を確保し長期的に事業を存続するためにも、資本金を十分に準備した上で事業を立ち上げることが望ましいでしょう。

車や機械・電機

機械・電気等の重工業分野は大がかりな機械を用いるため、イニシャルコストは他業界と比較して大きくなる傾向にあります。

多額の先行投資に加えて、事業を存続する中で、メンテナンス費用をしたり事業拡大のために新たに機械を購入することになるため、長期的な事業の存続を視野に入れた十分な資本金準備が必要となります。

資本金の金額は、事業の規模や製造品によって大きく異なるため、具体的な数値を示すことは難しいですが、高額な資本金調達や長期的な見通しを持った資本金の確保をすると良いでしょう。

小売り

小売業の場合は、人件費や広告費、光熱費に加えて、商品の仕入代金の支払いが生じるためイニシャルコストにも留意が必要です。

小売業の資本金の相場としては、100~300万円となっています。

仕入れによって支払金等のオペレーションが生じる時期より遅れて、売上金が入るため、余裕を持って資本金を準備すると良いでしょう。

事業の規模によってもその額は異なりますが、半年間経営が可能な資本額を準備すると良いでしょう。

ちなみに、小売業界の資本金のランキング上位とその金額は以下の通りとなっています。

  • 1.イオングループ:1990億円
  • 2.クレディセゾン:759億円
  • 3.ヤマダ電機:710億円
  • 4.青山商事:625億円
  • 5.ローソン:585億円

全国展開する小売業になると資本金の額もとても大きくなります。

したがって、小売業については、事業の規模や事業を行う地域によって資本金の額が変動するため、事業の規模に合った資本金を準備すると良いでしょう。

まとめ

以上、資本金について説明してきました。

元々多額の資本金を準備する必要がある起業でしたが、現在は1円から起業することができるようになりました。

しかしながら、業種によっては多額の初期投資が必要になる上に、融資を得る場合は、資本金をある程度準備することが銀行から信用を得るために必要になってきます。

資本金の金額の目安は、事業を立ち上げる業界によって異なるため、予め十分に資本金を検討した後に起業することが必要となります。

しかしながら、資本金は業界によって異なる上に、認可が必要な業種については特殊な手続も必要となるため、適切な資本金の設定が難しいと感じる方も多いと思います。

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