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個人事業主と法人の違いとは?3つの側面からメリット・デメリットを解説

今回の記事では、個人事業主と法人の違いについて解説します。

独立・起業をする際の2つの方法

独立して自分で事業を始める際、まず個人事業主として事業を運営するか、法人を設立するかを考えなければなりません。

現在の状況や目指す地点によって、事業を個人事業主でやるべきか、法人でやるべきかは変わってきます。

今回は、「開業・設立手続き」「税金」「会計・経理業務」の3つの側面から個人事業主と法人のメリット・デメリットを比較します。

起業を考えている方、個人事業主から法人成りすべきか悩んでいる方は必見です。

【1】開業・設立手続きについて

それでは、早速、個人事業主と法人の違いを解説していきます。

まずは、開業・設立する際の手続きについてです。

手続きの煩雑さの違い

開業や設立の手続きは、個人事業主の方が圧倒的に簡単です。

税務署に開業届を出すだけで個人事業主として活動を開始できるため、1日で終了します。

一方で、法人を設立する際の手続きは非常に煩雑です。

まずは、設立準備として発起人や所在地、商号を決定し、定款の作成と認証をしなければなりません。

その後、最大11種類に及ぶ登記書類を作成し、登記申請を行います。

これらの手続きは個人でやろうと思えば最短でも一週間は必要です。

また、登記が完了した後も税務署や自治体に書類を提出し、社会保険に加入しなければいけません。

手続きの費用の違い

手続きの費用でも個人事業主に軍配があがります。

開業届を出すだけなので、個人事業主の開業費用は0円です。

一方で、法人を設立する場合には、設立費用が安い合同会社でも登録免許税6万円がかかります。

株式会社に至っては、登録免許税15万円に加えて定款の認証手数料5万円がかかるため、最少でも20万円の設立費用が必要です。

【2】税金について

開業の手続きに関しては個人事業主の方が簡単でお得でしたが、税金の面ではどうでしょうか。

必要な税金の項目は法人の方が多い一方で、一定以上の所得があれば法人の方がお得になる場合が多いのが現状となっています。

必要な税金の違い

税金の項目の違い

個人事業主が納めなければならない税金は、「所得税」「住民税」「消費税」「個人事業税」の大きく4つです。

中でも負担が大きいのが、累進課税が適用される所得税です。

195万円以下の課税所得では税率5%ですが、195万円を超えると10%、330万円を超えると20%まで増加します。

一方で、法人が納めなければならない税金は、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「地方法人特別税」「消費税」「固定資産税」の6つです。

また、会社によっては利子や配当金に対して課せられる「所得税」や、「自動車関連税」を更に納めなければいけない場合もあります。

税金の金額の違い

上記のように、個人事業主は4項目の納税で済むのに対し、法人は最低でも6項目を納税しなければならないため、一見個人事業主の方が、納税額が少ないように見えます。

しかし、一定の所得額を超えると個人事業主より法人の方が、納税額が少なく済むのです。

その秘密は、個人事業主の所得税と、法人税の税率の違いにあります。

法人税の税率は、課税所得800万円以下で15%、800万円以下で23.9%と同額所得の所得税率より低くなっています。

このため、330万円以上の課税所得があれば、法人化した方が節税できるのです。

赤字を繰越できる期間の違い

赤字を繰り越すことで、翌年の見かけ上の利益を減少させ、節税に繋げる事が出来ます。

個人事業主では、「青色申告」という複雑な記帳方式をとることで、最大3年間赤字を繰り越すことが出来ます。

しかし、法人では9年間の赤字の繰越が認められており、この点でも法人の方が、節税効果が高いと言えます。

費用計上出来る項目の違い

個人事業主は、事業に関わる様々な費用を経費として計上できます。

消耗品費、旅費交通費、接待費、水道光熱費などが主な項目になります。

一方で、法人は個人事業主が計上できる項目すべてを経費として計上できる上、その他にも様々な項目を計上できます。

代表的なものが、「給料」と「住宅費」です。

法人では、個人事業主の場合では認められない自分への給料や自宅の賃料を経費として計上することが出来ます。

給料や賃料は支出の中でも大きな額を占める場合が多いため、かなりの節税効果が期待できます。

【3】会計・経理業務について

上記のように、法人の方が経費として計上できる項目も、納める税金の項目も多いです。

このため、必然的に法人の方が会計・経理業務も煩雑になります。

個人事業主は確定申告

個人事業主になると、1年に1度、事業の収支と課税所得額を計算し、税務署に提出する確定申告を行わなければなりません。

個人事業主の確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2つがあり、青色申告では控除が受けられる代わりに複雑な記帳が必要です。

ただし、どちらも十分個人で出来る範囲であり、法人と比べて会計・経理業務の負担は少ないと言えます。

法人は税理士を必要とすることが多い

一方で法人の場合は、複雑な法人決算書を作成し、申告を行う必要があります。

専門知識のない人が決算書を作成するのは非常に難しく、税理士を雇わなければならない場合がほとんどです。

その他の違い

社会的信用の違い

個人事業主と比べて、法人は社会的な信用力が非常に高いです。

中には、個人事業主とは取引を行わない法人も存在します。

このため、法人の方が他の法人に営業をかけやすく、出資や融資を受けやすいのが法人の強みです。

社会保険料の有無

個人事業主の場合は、従業員が5人未満の場合は社会保険の会社負担がありません。

一方で、法人の場合には、社長一人の会社でも、社会保険への加入が義務づけられており、健康保険・厚生年金を支払う必要があります。

また、従業員を雇っている場合には、上記の2つに加えて雇用保険・労災保険にも加入しなければなりません。

個人事業主から法人になるべきタイミング

ここまで、様々な側面から、個人事業主と法人の特徴を比較してきました。

では、一体個人事業主が法人になるべき状況、タイミングはどんな時なのでしょうか。

真剣に事業の拡大を目指す時

現状の事業や起業予定の事業を大きく拡大し、上場も視野に入れていきたい、と言った場合には、現状の課税所得に関係なく法人を設立すべきでしょう。

なぜなら、法人を設立することで、社会的信用力が高まり、資金や人材の調達がしやすくなるからです。

一方で、事業の拡大をそこまで求めていない方に関しては、課税所得が少ない状況で気軽に法人を設立することはオススメできません。

まずは個人事業主として、安定した所得の確保を目指すのが先決です。

課税所得が700〜900万円を超えた時

課税所得が330万円を超えると、所得税率が法人税率を上回るため、法人化を検討すべきフェーズに入ります。

しかし、課税所得330万円を超えたら即法人化をすればよいというわけではありません。

法人化をすれば社会保険への加入義務が生じ、また経理業務の工数が増すため税理士を雇う必要が生じる可能性もあります。

また、事業規模が少なく経費計上する項目が少ない状態で法人化をしても、法人が持つ経費計上のメリットを十分に享受出来ません。

そのため、課税所得がもう1、2段階税率が上がる695万円〜、900万円〜に到達し、支出項目も増えてきた段階で、法人化を検討するのが一般的です。

法人設立を簡単に行うには

いかがでしたか。

個人事業主、法人にはそれぞれメリット・デメリットが存在するため、一概にどちらが良いと言える訳ではありません。

ただし、事業を大きく拡大したい人や、課税所得が700万円を超えた人は、法人化を検討するべきです。

しかし、法人を設立しようと思っても、簡単に設立できるわけではありません。

法人を設立するためには、印鑑や定款の作成、最大11種類にも及ぶ登記書類の準備など、様々な手順を踏む必要があります。

中には、会社を設立する手続きに工数を割いて事業が疎かになってしまう起業家も少なくないのです。

そこでオススメしたいのが、会社設立の専門家の活用です。

経営サポートプラスアルファ(KSP)は、経理と財務を中心に、会社設立のコンサルティング・お手伝いをしている経理・財務・経営の専門家です。

会社の経営を財務戦略からサポートしており、会社を設立するにあたって必要な準備・手続きの一切をお任せいただくことが可能です。

法人化を検討しているものの、会社設立の手続きに不安がある個人事業主の方にはまさにうってつけです。

会社設立に必要な手続きのお手伝いだけでなく設立後の成長戦略に関することもプロの財務・経営コンサルタントにご相談いただけます。

ぜひお気軽にお問い合わせください。