• HOME
  • 法人登記とは?手続きや費用、必要書類を徹底解説! 

法人登記とは?手続きや費用、必要書類を徹底解説! 

起業を考えている方にとって、最初の大きなハードルが、会社設立の手続きでしょう。

中でも、法人登記は会社設立のために必須となる、非常に重要な手続きです。

今回は、法人登記について、法人登記の取得手順や、登記前にやるべきことなどを、解説していきます。

会社を設立したいけど、手続きに関する知識がないという方は必見です。

法人登記(会社登記)とは?

法人登記とは、商号(社名)や本社所在地、代表者氏名、事業の目的など、会社の概要を法務省の部局である法務局に登録し、一般に開示できるようにすることです。

法人登記は法律で義務づけられており、会社が法人登記を行うと法務局より登記事項証明書が発行されます。

会社が銀行口座を開設するためには、この登記事項証明書を銀行に提出する必要があります。

また、法人登記を行っていないと、印鑑証明書も発行できません

このように、法人登記は会社としての信用を担保する効果を持つため、会社設立において必須の手続きとなります。

法人登記にかかる一般的な期間

では、法人登記を完了するにはどれくらいの日数が必要なのでしょうか。

一般に株式会社の設立日は、「法人登記申請を提出した日」になります。

登記申請自体は、専門家に依頼すればおよそ2,3日で完了することが出来ますので、会社設立自体は短い期間で十分に出来るということになります。

しかし、気をつけておきたいのが、法人登記申請を提出しても、それが受理されるまで登記事項証明書や印鑑証明書を受け取る事が出来ないという点です。

会社を設立しても、登記事項証明書がなければ銀行口座の開設等が出来ないため、会社としての取引が開始できるのは、登記完了日以降ということになります。

一般に登記申請から完了までには、一週間から10日ほどかかります。

よって、申請の準備と合わせて2週間程度を登記にかかる期間として想定しておくことで、余裕をもって取引が開始できることになります。

申請から完了までにかかる期間は各法務局によって多少異なります。

登記完了予定日は各法務局のホームページに出ているので、設立のスケジュールを立てる際は予め確認することをオススメします。

法人登記の更新とは

法人登記は、登記が完了すればそれで終わり、という訳ではありません。

定期的に更新する必要があります。

役員変更登記など

会社の役員(取締役、監査役)を変更した際は、役員の変更登記をする必要があります。

平成18年以降、株式会社の役員の任期を最長10年まで伸張することが認められました。

このため、どんな会社でも最低10年に1回は員の変更登記をする必要があるのです。

役員の変更登記をせずに放置した場合、過料に処せられる場合や、最悪の場合法務局から解散と見なされることもありますので、必ず早めの登記を心がけましょう。

関連記事:会社設立に必要な法務局での手続き方法は?法人登記に必要な書類

法人登記の前にやるべきこと

法人登記を行うことで会社設立となりますが、法人登記の前に何点か済ませておくべきことがあります。

会社の基本事項を決める

本店(ヘッド・オフィス)の所在地・住所を決める

拠点となる事業所の住所を決めます。

自宅やマンションの一室を事務所として登記することも可能です。

最近では、実際のオフィスを持たずに住所だけを借りるバーチャルオフィスなどもあります。

本店所在地を変更する場合は定款も変更する必要があり、管轄の法務局も変わってしまうため、長期的に拠点となる場所をしっかり定めましょう

会社の目的を決める

何を目的として会社を作るのか、どのような事業を行うのかを明確にします。

この事業目的は定款にも記載するため、簡潔にまとめられるようにしておくとよいでしょう。

事業目的の数に制限はありませんが、あまりに多いと会社のイメージがぼやけてしまうため、10個程度にはおさめるのがオススメです。

会社の商号(社名)を決める

会社の顔となる商号、すなわち社名を決定します

基本的には自由ですが、文字・記号の制限や、同一商号かつ同一所在地の企業がないこと、などの条件がありますので注意が必要です。

商号は後々変更することが可能ですが、手続きや費用が必要となるため、基本的には変更のないことが理想です。

資本金を決める 

法律上では資本金は1円からでも認められますが、資本金が極端に少ないと事業計画に影響が出る可能性があります。

また、資本金が少ないと対外的な評価・信用を得にくい場合もありますので、最低でも初期費用と3ヶ月程度の運転資金は確保しておいた方がよいでしょう。

発起人の氏名・住所を決める

発起人とは、資本金の出資や定款の作成など、会社の手続きを行う人のことを指します。

発起人となった人は、会社設立後に株主として会社の運営に携わることになります。

法人用印鑑を作成する

法人登記申請の際には、申請書類に会社の代表印(法人実印)を押す必要があります。

あらかじめ準備しておきましょう。

このとき、今後の会社運営を考え、銀行印、社印、ゴム印など、日常業務に使用する印鑑も一緒に作成するのがオススメです。

印鑑証明書を取得する

法人登記申請の際には、印鑑証明書も必要です

印鑑の作成を済ませたら、早めに取得しておきましょう。

また、会社設立後に取締役会を設置する場合には代表取締役の印鑑証明書、設置しない場合には取締役全員の印鑑証明書が必要になります。

定款を作成する

定款とは会社の基本原則を示すもので、法人登記申請の前に、作成と公証人による認証を済ませておく必要があります。

設立後に変更が必要となった場合、定められた手続きを踏む事で内容を変更することも可能です。

定款に記載する内容としては、先ほど述べた会社の基本事項、すなわち本店所在地、事業目的、商号、資本金、発起人の氏名・住所に加え、株式会社の場合は発行可能株式総数などがあります。

資本金の払い込みをする

資本金額を決定したら、資本金を発起人名義の銀行口座に振り込みます

法人登記申請の際には、資本金が所定の銀行口座に振り込まれたことを証明するため、振込先の口座の通帳のコピーを提出する必要があります。

登記に必要な書類の内容

株式会社設立に必要な書類は少なく見積もっても9種類の書類を必要とします。

各書類においての概要と注意事項を解説していきます。

登記申請書

登記申請書とは会社の移転や、事業内容の変更などを伴った際に提出する書類を指します。

登記申請書にはいくつか種類があり、大別すると不動産登記と商業・法人登記に関する2種類に分かれます。

会社設立に関する登記申請書とは商業・法人登記に関する内容となっており、件数の多さでは登記事項の変更、消滅、廃止または抹消登記が最も多く、次いで本店又は支店の移動登記や、新しく会社を設立した際の届け出の順となります。

新たに会社を起業する際の申請書である設立登記申請書には会社の基本情報を記載いたします。

会社の商号や所在地、代表取締役の名前などの情報とは別に、登録免許税と課税標準金額いう聞きなれないワードが記載されています。

株式会社の場合、登録免許税とは資本金に対して、登記にかかる税金を指します。

資本金の0.7%を納める必要がありますが、計算が15万円以下の場合は一律で15万円の金額となります。

資本金が2,200万円以下は、登録免許税が一律15万円という事です。

課税標準金額とは資本金の事を表しています。

資本金とは会社の体力を表現する資金といわれており、同時に会社の運転資金を指しているわけです。

現在では1円から会社の設立が可能ですが、社会的な信用を表す金額と言われておりますので安すぎてもいけません

登記申請書には同時に提出する添付書類についての記載があります。

本で言えば目次にあたる書類ですので、提出前に漏れが無い事を確認する必要があります。

資本金の払込証明書

資本金の払込証明書とは、定款に記載されている資本金の金額が、実際に払い込まれているかを証明する書類です。

会社名義の銀行通帳は登記が完了しなくては作成ができない為、一般的には代表取締約の個人名義の通帳を使用する事がほとんどです。

この時に注意しなくてはいけない事は、残高を予めゼロにしておかなくてはいけない事と、複数の発起人がいる場合に誰からいくらの金額が振り込まれたかを明確にしておかなくてはいけない点です。

その為、個人のプライベートの通帳よりも、新規で口座開設する事も珍しくありません。

振込が完了した後は、払い込みを証明する書面の作成を行います。

記載する内容は資本金の合計金額と、代表取締役の名前、本店の住所などの必要情報を記載致します。

添付する書類は振込まれた口座の通帳の表面と裏面のコピー、振り込まれた事が分かるページ(日時・金額・発起人)を添付します。

定款

定款とは会社の基盤について触れた書類となります。

定款には記入する内容には優先事項が設けられており、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項 の3つの記載事項があります。

絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなくてはいけない内容です。

商号(会社の名称)、目的 (会社の事業内容)、本店の所在地、設立に際して出資される財産や資本金に関する記述、資本金提供者である発起人の氏名または名称と住所、発行可能株式総数を記載しなくてはいけません。

相対的記載事項とは、定款に必ずしも記載しなければならない事項ではありませんが、定款に記載がなければ記載内容の効力が生じない事項を指します。

主に取締役会の設置や、役員の報酬に関する内容が含まれます。

任意的記載事項とは法律で違反しない範囲で会社が独自に設定する事が可能な事項です。

役員の人数に関する事項や、事業年度開始時期に関する定めなどが該当します。

定款に記載する内容が決まった後は、本社所在地を管轄する公証役場に申請する事で初めて定款としての効力を発揮します。

登録免許税納付用台紙

前述の通り、登録免許税とは登記にかかる税金を指します。

登録免許税を支払うには2つの方法があり、1つは法務局が指定する銀行口座への振り込みと、もう一つは収入印紙を使用した支払い方法です。

収入印紙を使用した場合、資本金から算出した登録免許税分の収入印紙を法務局の窓口で購入し、別紙に貼り付けます。

用紙には特に指定はない為、A4サイズのコピー用紙などでも問題はありません。

発起人の決定書

発起人の決定書には本店の所在地に関する決定を発起人全員で合意した上で定められているという証明を行う書類になります。

発起人全員の名前や所在地の記載が必要です。

代表取締役の就任承諾書

定款に基づき、取締役に選定された人物の承諾書を作成します。

取締役が複数存在した場合は、役員それぞれで承諾書が必要となりますが、取締役が1名の場合は同時に代表取締役を務める事となりますので、就任承諾書は1通のみの作成を行います。

代表取締役のみ承諾書内の文言が選任から選定に変化致しますので注意が必要です。

印鑑届出書

会社を設立した際には、個人と同じように印鑑の作成を行います。

今後会社として様々な書類に使用する実印登録を行う為の届け出となります。

印鑑証明書

会社の登記登録時には役員全員の印鑑証明が必要となります。

登記すべき事項を記録したCD-RまたはFD

登記申請に記載する事項を電子媒体など用いて控えとして提出を行います。

テキストファイルを使用してファイルを作成し、電子媒体に保存をしましょう。

テキスト作成時にはいくつか注意点が必要です。

作成するPCのOSやファイルのタイトル名、入力時の使用する文体など細かな指定があります。

テキストファイル作成時には法務省の公式ホームページを参考にする事をお勧め致します。

法人登記をする際の手続き

必要な書類が用意できれば申請を行います。

法人登記をする際の手続きの方法について解説を行います。

手続きの方法

法人登記を申請する際には、本社の所在地がどこの労務局の管轄にあたるかを事前に調べておく必要があります。

現在では様々な方法で手続きが可能となっています。

どのような申請方法を選ぶにしても、必要書類の不備や提出漏れがあってはいけません

また法人登記を行う前段階でいくつか用意しておくものがあります。

順番を追って細かく説明を致します。

まずは定款の作成です。

次に印鑑の作成を最優先に行います。

定款の作成は公証役場で認証してもらわなくては登記登録ができない為です。

代表者や会社の印鑑の作成は、法人の口座を開設する際や、登記申請書に捺印を行う必要があります。

法務局を訪ねる

法務局の商業法務窓口へ直接持参して申請を行う事ができます。

メリットとしては他の方法に比べると、書類の不備が少なく確実性は増すという点です。

一般的な流れとしては、必要書類と申請書を窓口に持参します。

登記官と呼ばれる専門の担当者によって審査が行われ、書類に不備がなければ無事手続きが完了します。

会社設立の登記登録などは比較的大きな規模の法務局しか担当できない為、都市部の場合混雑が予想されます。

窓口の状況によっては待ち時間なども想定されますので時間には余裕も持った行動が必要となります。

もし提出書類に不備があった場合は、法務局から電話で連絡があります。

これを補正といい、登記官から指摘を受けた箇所を指定された期間内に手直しを行い、再度提出する必要があります。

郵送を使う

直接窓口に訪れず法人登記をするには郵送という手段もあります。

郵送にて法人登記を申請するメリットは、人込みや待ち時間に縛られない事でしょう。

デメリットは申請書類が届いて受理された日が会社の設立日となります。

特定の日付を会社の設立日に指定したい場合は、郵送以外の申請方法をお勧め致します

また申請書類に不備が見つかり、補正の指示がある場合も直接窓口で申請した場合と同様に、法務局から補正箇所と再提出の期限について電話で連絡があります。

郵送による補正では補正書という書類を別途作成しなくてはいけません。

補正書とは、どの部分を補正したかをまとめた書類で、再提出する際には、申請書類一式と合わせて送付する必要があります。

会社にとって重要な書類を扱う為、書類の所在が分かる配達記録が残る送付方法をお勧め致します。

オンライン申請

現在では登記登録においてもオンライン化の取り組みが始まっています。

登記手続きを管轄する法務省の公式ホームページでも、オンライン申請のページが設けられています。

オンライン申請の最大のメリットは受付時間が窓口よりも長く、待ち時間に縛られない事です。

朝8時30分から夜の21時まで申請が可能です。

法務省の公式ホームページから申請用総合ソフトをインストールし、必要事項を記入していきます。

窓口での受付締め切り時間は17時までとなっている為、オンライン申請でも17時以降に到着したデータは翌営業日扱いとなります。

手続きにかかる時間

書類や持ち物に不備が無ければ申請自体は1~2日で完了しますが、受理されるまでは平均で1~2週間の時間を要します。

また会社設立登記の申請時に注意しなくてはいけない事は、会社登記登録には期限があります

資本金の払い込みから日付換算して2週間以内に申請が必要な事ですので早めに行いましょう。

法人登記をする際の費用

法人登記をする際にかかる費用はどのような会社・法人格を設立するかによって大幅に異なります。

それぞれの会社の特徴とメリット・デメリットについて解説をしていきます。

株式会社を設立する場合

以前は株式会社を設立する際には最低の資本金が1,000万円以上必要でした。

一般的に株式会社の定義は株式を発行して経営に必要な資金を集める会社のことを指します。

2006年に会社法が制定されて以来、株式会社の設立での最低資本金制度は撤廃されました。

会社設立に必要な役員の人数も3名以上から1名以上に変更されました。

法定費用

株式会社を設立する場合、まずは会社の概要ともいえる定款を公証役場にて認証をしてもらう必要があります。

認証には40,000円分の収入印紙を別紙に張り付ける費用と、公証人に支払う費用が50,000円となっています。

電子定款を使用すると収入印紙代の40,000円は不要となります

また資本金に対して発生する登記登録免許税が150,000円もしくは資本金の0.7%の金額のどちらか高額の方を納付する必要があります。

概算では株式会社を設立する最低限度の資金は200,000~240,000円の費用が掛かります。

その他の費用

登記にかかる法定費用とは別で、会社を運営していくうえで必要となる経費がいくつか存在します。

まずは会社の印鑑の作成は必須となります。

相場で5,000円前後の金額となります。

登記が完了すれば、法人用の口座の作成が可能となりますので、社印は作成する必要があります。

また経営状態に関わらず社会保険の支払いは発生しますので概算を出しておく必要があります。

細かな必要経費としては会社設立時に必要な個人の印鑑証明発行費(300円×必要枚数)や新しい会社の登記簿謄本発行費(500円×必要枚数)、その他備品や資材の購入など様々な勘定項目に分類された費用を計算に含める必要が予想されます。

合同会社を設立する場合

皆さんは有限会社という言葉を聞いた事がありますのでしょうか。

有限会社とは会社法が2006年に制定されて以降は新規の有限会社設立は廃止されています。

現在の有限会社は2006年以前に設立されており、会社法の制定後は、株式会社に変更をした場合か、特別有限会社として存続をしている2パターンに分かれます。

会社法が制定されて事により、もともと小規模向けだった有限会社の存在意義がなくなり、新規の有限会社設立が廃止された背景があります。

そこで知名度をあげ、登記登録件数が伸びているのが合同会社です。

合同会社は自由度が高く、起業リスクが少ない為、起業家たちの間で一時期ブームとなっていました。

全体の比率は株式会社の比率は75%を占めています。

有限会社は25%から17%まで減少し、2006年には1%も満たなかった合同会社の数が現在では全体の約5%となっています。

法定費用

合同会社の設立に掛かる法定費用についてですが、合同会社の場合、定款の認証義務がない為、費用はゼロです。

その為、収入印紙代の40,000円と、登記登録免許税の60,000円のみです。

登記登録免許税は株式会社設立と同様に資本金の0.7%と比較して金額の高い方を納付する必要があります。

合同会社でも電子定款を用いれば、収入印紙代の40,000円は不要となります。

株式会社の設立と比較すると初期費用を抑えられる事が特徴的です。

その他の費用

合同会社でも設立に掛かる法定費用とは別に、初期費用は当然発生します。

株式会社同様に印鑑の作成や、社会保険の加入は義務付けられています。

必要経費としては会社設立時に必要な個人の印鑑証明発行費(300円×必要枚数)や新しい会社の登記簿謄本発行費(500円×必要枚数)や備品の購入などが考えられるでしょう。

株式会社と合同会社を比較して

起業するにあたって、株式会社と合同会社ではどちらが良いのでしょうか。

それぞれの違いを比較してみましょう。

まずコスト面では、定款の認証費用と登録免許料の金額の違いから合同会社の方が低予算で設立が可能です。

次に株式会社は株式を発行し、公開する事は任意となっていますが、合同会社はそもそも株式を発行していません。

その他にも登記上での出資者の呼び方や、役員の任期など様々な違いがあります。

どちらを選択する上で、最も重要な事は事業計画に適した会社設立の選択を行う必要があるという事です。

例えば大規模な事業を考えているのであれば、取引先から得られる社会的信用は必要不可欠です。

前述の通り、株式会社と合同会社ではまず登録件数で大幅な違いがあります。

法人の登録件数は株式会社が全体の75%を占めている中で、合同会社は5%という点では未だに認知度が低いという事になります。

その為、社会的信用はどうしても株式会社の方が高いと判断されるでしょう。

業種や事業規模、将来性を鑑みてどちらが適しているかで判断を行う必要があります。

また合同会社と似た言葉で合資会社や合名会社という言葉があります。

大きな違いは社員(出資者)の構成と責任の範囲の広さがあります。

まず合同会社は有限責任者のみで構成されている事に対して、合資会社は万が一会社が倒産した際の負債を社員の出資額の範囲内で補填を行う責任がある有限責任社員と、自身の財産を含め際限なく負債に対して補填する責任を持つ無限責任社員で構成されます。

一方合名会社は無限責任社員のみで構成されている会社を指します。

呼び名こそ似ていますが、社員の責任の範囲が全く異なりますので自身の会社をどのような構成で設立するか検討する際には注意が必要です。

法人登記後に必要な手続き

会社の登記登録が完了した後は、会社が事業を展開する為の準備を行わなければいけません。

その為にまず各所へ書類提出と届け出を行います。

提出先は多岐に渡り、税務署、都道府県、市町村、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどです。

各所の提出する書類の概要を解説していきます。

税務署に届出を出す

税務署に提出する届け出は、その名の通り経営する事で発生する税金に関する書面が多いです。

会社設立後に提出を行う書類の中では最も種類が多いです。

届け出ごとに期限も異なる為、それぞれの書類の特徴と提出期限も踏まえて解説を行います。

法人設立届出書

法人設立届出書は原則会社設立から2か月以内に、本社所在地の管轄する税務署に提出する必要があります。

書類の作成は税務署に提出する分と、会社で保管する分で2部作成します。

届出書の用紙は、国税庁の内国普通法人等の設立の届け出よりダウンロードします。

申請書には主に定款に記載されている内容と重複します。

添付書類は定款のコピー、株主名簿、設立時の貸借対照表、登記事項証明書の4点となります。

青色申告の承認申請書

確定申告や節税の為に用いられる青色申告。

法人化にあたり、青色申告を申請し承認される事で、メリットを享受する事ができます。

青色申告は法人化する事により自動で受けられる制度ではありません。

申請書を作成し、税務署に届け出を提出する必要があります。

法人の場合、青色申告申請書は会社設立3か月以内もしくは、適用させたい年度の前日までと比較して、早い方が期限となります。

青色申告の申請を行うことで、受けられるメリットは個人事業主と法人で異なりますが、共通して受ける事ができる制度は、欠損金の繰越控除と繰り戻し還付です。

欠損金の繰越とは事業が赤字で決算した場合、個人事業主であれば3年、法人であれば9年間の繰越が可能となります。

例えば初年度の決算が赤字でマイナス20,000円の損失が発生したとします。

翌年に黒字反転して15,000円の利益が発生した場合、本来であれば黒字反転した15,000円に対して法人税が発生する所を、前年のマイナスから相殺する事で、黒字が発生した年の課税対象は0円となります。

また次の年も黒字であれば残りの5,000円分を利益から差し引いた金額が課税対象となるわけです。

白色申告ではこの繰越しができない為、節税効果が見込めない事がわかります。

また欠損金の繰り戻しとは、繰越しとは逆で、前年が黒字経営で翌年が赤字反転した場合に収めた税金が返還される手続きを指します。

青色申告の承認申請所は税務署の窓口で直接受け取るか国税庁のホームページからダウンロードする事ができます。

給与支払事務所等の開設届出書

給与支払事務所等の開設届出書とは会社で従業員を雇用し給与を支払う場合に必要な届け出です。

会社設立から原則1か月以内の提出が義務付けられています。

この届出書は従業員を雇用する上で特に源泉徴収と深く関わりがあります。

源泉徴収とは従業員の支払う税金を予め給与から天引きし、会社が預かる事で代わりに納税する仕組みを指します。

従業員の納税を行う台紙を送付してもらう為にはこの手続きが必要となります。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書とは、給与を支払う従業員の雇用人数が10人未満の事業主に適用されます。

本来従業員の所得税は事業主自らが翌月の10日までに払い込みをしなくてはいけません。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を行う事で、年間12回の払い込み作業を、1月と7月の年2回に減らす事ができます。

事業主にとっては作業効率が大幅にあがる内容となっていますので該当する場合は申請を行いましょう。

棚卸資産の評価届出書

棚卸資産の評価届出書とは決算時の会社に残された在庫や商品などをどのような方法で数値化するかを申請する届け出となります。

製造業などであれば、期末で会社に残っている製品や資材に対してどのような計算方法で数値化して申請を行うかと考えていただければわかりやすいかもしれません。

予め、評価方法を定めておくことで利益の操作を防ぐための届け出という事になります。

提出期限は会社設立1期目の確定申告の締め切りまでが期限となります。

仮に提出をしない場合は、最終仕入原価法が適用されます。

最終仕入原価法とはその期の最後に仕入れた原価を元に計算をされる計算方法で、多くの中小企業をこの原価法で棚卸資産の計上を行っています。

減価償却資産の償却方法届出書

減価償却資産の償却方法届出書とは、事業を行う上で必要となる物品や設備などの固定資産に対して経費として計上する際に、耐用年数から算出した金額をどのような方法で計上するかを申告する届け出です。

購入した時と耐用年数ギリギリの物品が同じ価値ではないという考えからこの計上方法が取り入れられています。

減価償却には定額法と定率法があり、固定資産の耐用年数から資産の購入金額を割り、年度ごとに経費として計上する方法が定額法です。

定率法は耐用年数から初年度が最も高い利率で経費を算出し、年数を重ねる毎に計上される金額が少なくする計上方法を指します。

同じ物品であれば最終的に経費に計上する金額は変わりません。

例えば、300万円の設備を購入して、耐用年数が5年だったとします。

減価償却の考え方は年数が経過するにつれて資産価値が低下するという考え方か適用されている為、定額法であれば300万円÷耐用年数5年で50万円が毎年の経費として算出されます。

多額の設備投資を一括で計上してしまうと赤字反転してしまう可能性もあります。

取引先企業が赤字で決算したとなれば、関係性の強い企業は良い顔をしません。

最悪の場合融資打ち切りや、契約解除なども想定されます。

減価償却という考え方を用いる事で正しい利益の算定が可能という事がわかります。

年金事務所に届出を出す

年金事務所に提出する届け出は従業員やその家族へ保険を適用する為の書類が多いです。

どの書類も資格取得から5日以内に提出が義務づけられています。

健康保険・厚生年金保険新規適用届

法人の場合、厚生年金保険及び健康保険の加入が法律で義務づけられています。

また個人事業主であっても、クリーニング業、飲食店、ビル清掃業などの一部のサービス業を除いては5名以上の従業員が稼働している場合は厚生年金保険及び健康保険の加入が必要となります。

従業員を雇用した事実が発生した5日以内の提出が義務付けられています。

健康保険被扶養者(異動)届

社会保険の加入条件を満たす従業員を雇用する場合、扶養する家族がいる事が考えられます。

雇用した従業員の家族などを被扶養者としての認定を受ける為に必要な届け出となります。

地方自治体に届出を出す

法人設立届出書

税務署に提出した法人設立届出書と同様の届け出の提出を行います。

法人を設立した事を地方団体に対して申請を行う為の届け出です。

この手続きを行う事で、税金関係の書類が送付されるようになります。

提出期限は税務署同様2か月以内ですが自治体によって異なる為、本社所在地を管轄する自治体の情報を調べておくことをお勧め致します。

労働基準監督署に届出を出す

労働保険 保険関係成立届

従業員を採用し、労働保険に加入する場合は、労働基準監督署に労働保険の保険関係成立届を提出する必要があります。

専用の記入用紙がある為、管轄の労働基準局に郵送もしくは窓口に立ち寄る必要があります。

労働保険 保険関係成立届は従業員を1人でも雇用する場合は必ず提出が必要な届け出となります。

労働基準監督書に提出する労働保険とはすなわち労災保険を指しています。

従業員が勤務中もしくは通勤中に怪我や事故にあった際の給付を受ける為です。

労災保険の保険料は全額会社負担となります。

また保険関係成立届の提出期限は労働者を雇用してから10日以内に提出する必要があります。

労働保険 概算保険料申告書

労働保険 概算保険料申告書とは労働者を雇用してから50日以内に提出が義務付けられている届け出です。

労働者の賃金に対して、事業者ごとの利率を掛け合わせて算出します。

事業者によって利率が異なり0.25~8.8%まで区分けされています。

事業者がどの利率に該当し、賃金を参照し最終的な保険料の算出を行います。

ハローワークに届出を出す

ハローワークが提出窓口となっている労働保険が雇用保険を指します。

雇用保険とは従業員が失業や、育児・介護などで働くことが困難になった場合に給付される保険です。

雇用保険が適用される対象従業員は1週間の所定労働時間が20時間以上または31日間以上の稼働が見込める場合の両方の条件にあてはまる必要があります。

雇用保険 適用事業所設置届

雇用保険 適用事業所設置届は雇用保険に該当する従業員を雇った場合に、提出の必要があります。

提出期限は労働者を雇い入れた日から10日以内の提出が義務づけられています。

雇用保険 適用事業所設置届には労働保険番号を記入する欄があります。

労働保険番号とは労働基準局監督署にて保険関係成立届が受理されなくては発行されない番号ですので、ハローワークで申請を行う前に労働保険番号の取得が必要となります。

雇用保険 被保険者資格取得届

雇用保険 被保険者資格取得届とは労働保険加入条件を満たした労働者が加入する際に記入し、申請する為の届け出です。

登記の代行を行ってくれる司法書士とは

登記登録のサポートを行ってくれる職種は、司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士などのいわゆる士業と呼ばれる事業者です。

同じ士業でもそれぞれの得意分野は異なります。

また依頼する上で掛かる費用も異なります。

一般的には登記手続きを全て丸投げで代行してもらえるのは司法書士のみとなります。

行政書士は手続きの代行はできませんが、飲食業、介護事業、古物商、運送業、建設業など許認可が必要な分野で起業する際などに必要な特別な申請を代行してもらえます。

税理士は得意分野が決算です。

顧問契約を前提に契約をすれば、経営に関する的確なアドバイスを受ける事ができ割安で契約も可能です。

社会保険労務士は雇用保険や厚生年金などの主に従業員に関する保険関連の手続きのサポートを受ける事ができます。

会社を起業し様々な申請を代行してもらえる司法書士は非常に魅力的ですが、企業によって最適なサポートを受ける士業は当然異なります。

業者を決める際には自身の会社の業況や資金状況も考慮して依頼しましょう。

司法書士の独占業務

前述の通り、司法書士は登記に関する手続きを得意とします。

書類作成から法務局への申請も含めて全ての申請を代行してもらえるスペシャリストと言えるでしょう。

複雑な書類作成を不備無く提出する事は素人ではなかなか困難かと思われます。

司法書士に依頼する事で経営者の負担は確実に軽減します。

また司法書士であれば電子定款を所有していますので、自身で申請を行う際に発生する認証手続きの40,000円も掛からなくて済む為、初期投資も抑えやすくなります。

司法書士に会社設立を依頼した場合の流れ

司法書士は基本的に登記に関する手続きを全て代行してもらえます。

更に会社の住所や事業、役員など、会社情報が変更になる際の手続きも行うことができます。

また会社の顧問として契約をすることも可能です。

司法書士に任せられる業務の幅はとても広いので、起業時に信頼できる司法書士に顧問を依頼する事でスムーズな会社運営が可能です。

会社設立でお困りの際は経営サポートプラスアルファへ

会社設立に関する手続きや届け出は多岐に渡ります。

オンラインで完結するものもあれば、実際に窓口に出向かなければ手続きのできない届け出もあります。

届け出書類には複雑な内容も多く含まれていて、苦労する場合が多いです。

資金繰りや経営戦略で多忙の中でも、経営サポートプラスアルファには手続きを代行するサービスが存在します。

経営サポートプラスアルファは経済産業省から専門知識と実績面で高く評価され、認定されています。

会社設立からその後のサポートまでを受けられる専門家集団です。

またこれから起業をする上で、不明な点や不安な点を経営サポートアルファでは無料相談が何度でも利用可能です。

行政書士、司法書士、税理士、社労士、弁護士によるワンストップサービスを提供しています。

会社設立でお困りの際はぜひご相談ください。